懸濁液とは?化学的定義・性質と例|エマルジョン・エアロゾルとの違い
懸濁液の化学的定義・性質・具体例を図解で解説。エマルジョン・エアロゾルとの違いもわかりやすく比較。
化学では、懸濁液は2つ以上の成分の混合物である。懸濁液では、非常に小さな固体の断片が液体の中に混ざっているが、溶けることはない。そのままにしておくと、固形物は液体から分離して、底に落ちるか、上に上がる。水中の砂や水中の小麦粉は、懸濁液の一例である。懸濁液は、含まれているものによって、すぐに分離することも、長い間浮遊していることもあります。
定義と主な性質
懸濁液とは、液体中に固体粒子が分散している状態を指します。一般に粒子径が比較的大きく(目安として約1 μm以上)、粒子は完全に溶解していないため時間とともに沈降(または浮上)します。主な特徴を挙げると:
- 粒子の大きさ:懸濁液はコロイドと比べて粒子が大きく、重力による沈降が起こりやすい。
- 光の散乱:濁りが生じ、光を散乱するため視覚的に不透明または半透明に見える。
- 不均一性:マクロスケールで見れば組成が均一でないため、時間経過で分離しやすい。
- 可逆的な分離:撹拌すると再び分散するが、凝集・沈降が進むと元に戻しにくくなることもある。
エマルジョン・エアロゾルとの違い
よく混同される他の分散系との違いを整理します。
- ある液体が別の液体の中に浮遊している状態をエマルジョンといいます。例として牛乳があり、液体—液体の微小な滴が分散した系です。エマルジョンは界面活性剤などで安定化されることが多いです。
- 液体が気体の中に浮遊している場合、それはエアロゾルです。代表例は霧やスプレーで、微粒子や液滴が空気中に分散しています。エアロゾルは吸入による健康影響や飛沫感染などの観点で重要です。
- まとめると、懸濁液は「固体粒子が液体中に分散」しているのに対し、エマルジョンは「液体滴が別の液体中に分散」、エアロゾルは「粒子や液滴が気体中に分散」している点が異なります。
分離・安定性に影響する要因
懸濁液の安定性は次の要因で左右されます:
- 粒子サイズ:小さいほどブラウン運動の影響で沈降しにくい。
- 粒子密度と液体密度の差:密度差が大きいと沈降(または浮上)が速くなる。
- 溶液の粘度:粘度が高いほど粒子の移動が遅くなり安定化する。
- 表面電荷と界面活性:粒子表面の電荷や吸着した分散剤(ペプチザー)によって互いの凝集が抑えられる。
- 機械的影響:撹拌や振動、温度変化が凝集・再分散に影響する。
安定化の方法(工業・実用例)
- 界面活性剤や分散剤の添加で粒子間の相互作用を制御する。
- 増粘剤を加えて液相の粘度を上げ、沈降を抑える。
- 粒子を微細化することで沈降速度を低下させる(ミリング、超音波処理など)。
- 制御されたフロック形成(選択的にゆるい凝集体を作る)で沈降後も再分散しやすくする方法。
具体例と用途
- 日常例:水と砂、水に溶けない粉を混ぜたもの。
- 工業・製品:塗料、インク、セラミックスリップ(成形用懸濁液)、化粧品の一部。
- 医薬品:経口用懸濁剤(サスペンション)—薬効成分を均一に投与するために用いられることがある(使用前の攪拌が必要)。
- 食品:一部のソースやドレッシングは成分によっては懸濁的性質を示す(エマルジョンと混同されることがある)。
観察・測定方法
- 光学顕微鏡で粒子の形状・大きさを観察する。
- レーザー回折法や動的光散乱(DLS)などで粒子径分布を解析する(DLSは特に小さな粒子・コロイドに有効)。
- 遠心分離で沈降速度や分離しやすさを評価する。
- 分散安定性試験(経時的濁度、沈降高さの測定など)。
注意点・安全性
懸濁液そのものは一般に液体中の固体なので、吸入リスクはエアロゾルに比べ低いですが、取り扱い中に飛散してエアロゾル化する場合や、有害物質の懸濁液では皮膚や環境への影響に注意が必要です。廃棄や処理は成分に応じて適切に行ってください。
まとめ
懸濁液は「固体粒子が液体中に分散している系」で、粒子の大きさや密度差、粘度、表面特性などで安定性が決まります。エマルジョン(液体中の液体)やエアロゾル(気体中の粒子・液滴)と区別され、塗料や医薬品など幅広い応用があります。用途に応じて界面活性剤や増粘剤、粒子制御などで安定化を図ることが重要です。

小麦粉を水に溶かすと懸濁液になる
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