タンブラン(タンブーラン)とは:プロヴァンスの太鼓と18世紀舞曲の歴史
タンブラン(タンブーラン)の起源と楽器的特徴、18世紀フランス舞曲史やラモー・ゴセック・ビゼーらの作品における役割を詳しく解説。プロヴァンス太鼓の魅力を紹介。
タンブランは、18世紀にフランスで流行した音楽(舞曲)です。プロヴァンス地方の民族舞踊が元になっており、フランス語で太鼓を意味する名にちなんで、太鼓の連打音を模したリズムを特徴とする楽曲群を指します。ジャン=フィリップ・ラモーは、オペラの中でいくつかのタンブーランを作曲しており、舞台音楽や組曲の一部分として広く演奏されてきました。このほか、フランソワ・ジョゼフ・ゴセックやモーリス・デュルフレもタンブーランを作曲している。
タンブーランとは、プロヴァンス地方の特殊な太鼓という意味もあります。長い円筒形をしており、通常は片手に持ったスティック(バチ)で片面を打って演奏します。伝統的には小さな笛(galoubet/ガロベ)と組み合わせて、短いメロディと太鼓のリズムで地域の舞踊を伴奏しました。オーケストラ作品でも民族色を出すために用いられ、たとえばビゼーのアルレジエンヌ組曲第2番などでプロヴァンス風のリズムや音色が取り入れられています。
歴史と発展
タンブラン(タンブーラン)はプロヴァンスの郷土舞踊から生まれ、18世紀にパリの舞台や宮廷音楽へ取り入れられました。田園的で活発な二拍子系のリズムが特徴で、短く繰り返されるアクセントが「太鼓の音」を模します。バロック期から古典派にかけて、オペラのバレエ場面や組曲の舞曲として用いられ、民謡的な色合いを演出するために編曲されました。
楽曲上の特徴
- リズム:明快で反復的なアクセントを持ち、2/4拍子や類似の単純拍子で書かれることが多い。
- 構成:短いフレーズの反復やコール・アンド・レスポンス的な構造で、踊りと一体になりやすい。
- 色彩:伴奏的にドローンや低音の持続を用いることがあり、太鼓の打撃音を模した打楽器によって民族的雰囲気が強調される。
楽器としてのタンブラン(タンブーラン)の特徴と奏法
プロヴァンスのタンブランは細長い円筒形で、片側または両側に皮を張ったタイプがあります。肩から掛けて演奏することが多く、一方の手に持ったバチで皮面を叩き、もう一方の手で打音を補助したり、時にミュートして音色を変えます。演奏はシンプルな反復パターンが中心で、民衆の踊りや祭礼での伴奏に適しています。
代表的な作曲例と近現代への影響
ジャン=フィリップ・ラモーはをはじめとする18世紀の作曲家たちがオペラや管弦楽の中にタンブーランを取り入れ、舞台上の地方色を強めました。フランソワ・ジョゼフ・ゴセックもこのスタイルを用いたほか、後世の作曲家たちがプロヴァンス風のリズムや打楽器効果を引用する例も見られます。近現代の作曲家にも影響を与え、民俗音楽の復興や民族的色彩の演出として参照され続けています。
混同に注意すべき点
英語の「tambourine(タンバリン)」や一般的な小型打楽器と混同されがちですが、プロヴァンスのタンブラン(タンブーラン)は形状・奏法ともに異なります。タンバリンはシンバル状の金属製ジングル(ジングル付き枠)を持つ打楽器であるのに対し、タンブランは円筒形で打面を打つ太鼓です。オーケストラ・スコアでは作曲者の意図に応じて代用されることもありますが、郷土色を忠実に再現するには専用のタンブランを用いるのが望ましいです。
現在の状況
今日でもプロヴァンス地方の民俗音楽や祭礼でタンブランは使われており、フォークダンス団体や民族音楽の復興運動のなかで受け継がれています。また、クラシックの演奏会や映画音楽で「プロヴァンス風」の場面を表現する際に、タンブランのリズムや音色が引用されることがあります。
参考として、本項目で触れた作品や作曲家の名前(ジャン=フィリップ・ラモーはなど)を手掛かりに、原典や録音でタンブランの音色や舞曲としての使われ方を聴き比べると、特徴がより分かりやすくなります。
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