なめし(皮革なめし)とは:工程・種類・クロムと環境問題
なめし(皮革なめし)の工程・種類からクロム使用と環境問題、対策やクリーン技術まで分かりやすく解説。
なめし(皮革なめし)は、動物の皮(一般に「皮」と呼ばれることが多い)を革に変える一連の化学的・機械的処理を指します。なめしを施すことで革は強度や柔軟性が増し、色も定着しやすくなり、細菌や分解作用に対する耐性が向上します。
なめしの一般的な工程
工場や職人の規模によって工程は異なりますが、典型的な流れは以下のとおりです。
- 原皮の保存(塩蔵・凍結):屠畜後の腐敗を防ぐために塩漬けや冷凍で保存します。
- 浸漬(ウォッシング):塩分や汚れを除くために水に浸して戻します(6時間〜数日)。
- 石灰処理(脱毛・膨潤):石灰や硫化物で毛や余分な脂肪・結合組織をゆるめます。
- 削皮・刮ぎ(フレッシング):肉残りや余分な組織を機械で取り除きます。
- 脱石灰・調整(deliming / bating):pHを下げ、酵素処理で皮を柔らかくします。
- なめし本体(タンニング):皮を安定化させるためにクロムやタンニンなどの薬剤で処理します。
- 中和・再なめし・脂入れ(fatliquoring):酸・アルカリの調整、必要に応じた再なめしと油脂の導入で柔らかさと耐久性を付与します。
- 乾燥・仕上げ:平干し、機械乾燥、塗装、バフィングなどで最終的な外観と機能性を整えます。
なめしの種類と特徴
- クロムなめし:工程が短く、柔らかく色落ちしにくい革が得られるため、現在の皮革産業で最も一般的です。なめしに用いられる薬剤は一般に硫酸クロムなどのクロム(III)化合物で、本文中では硫酸クロム([Cr(H2O)6]2(SO4)3)の表現が見られます。
- 植物性(タンニン)なめし:何世紀にもわたり、オークやモミの木などから採取したタンニンを用いて行われてきました。耐久性と独特の風合い、経年変化(エイジング)が特徴で、鞄や靴、工芸品などに好まれます。
- アルデヒドや合成薬剤によるなめし:ホルマリン類や合成有機酸などを用いる方法で、特定の用途向けの革(例えば水に強い、難燃性など)を作る際に用いられます。
においと立地
なめし工程の一部(特に石灰処理や硫化物の使用、未処理の有機物の分解)は強い臭気を伴うことがあり、そのため多くのタンナー(皮革なめし業者)は町のはずれや工業団地に立地しています。
環境問題と対策
なめし工場からの排水や固形廃棄物は周辺環境への重大な影響源になり得ます。具体的には:
- 高い生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)、懸濁物質。
- 硫化物、アンモニア、塩分などの有害成分。
- クロム含有廃水や泥(特にクロムなめし由来)—クロム(III)自体は比較的毒性が低いが、条件によっては酸化されて毒性の高いクロム(VI)に変わる恐れがある。
- 皮の端材やスラッジなどの固形廃棄物。
こうした汚染は、適切な水処理と廃棄物管理で大幅に低減できます。具体的な対策例:
- 一次処理(沈殿、篩過)と二次処理(生物処理)を組み合わせた排水処理施設の設置。
- クロム回収とリサイクル(凝集・沈殿、電気化学的回収など)。
- 硫化物の酸化処理や脱窒処理による有害ガスおよび水質負荷の低減。
- 閉ループ(循環)システムや膜分離、逆浸透を用いた水再利用。
- 酵素や有機酸などを用いた低公害な代替プロセスの導入。
しかし、こうした設備や技術は初期投資と維持費が必要で、開発途上国では、世界銀行が水処理施設に補助金を出しているにもかかわらず、十分に普及していないことが指摘されています。クリーン技術に関する情報は、各国政府や民間の業界団体、国際機関から提供されることがあります。
安全性(クロムについて)
クロム(III)は多くのクロムなめしで用いられる形態で比較的安全とされますが、酸化や高温条件でクロム(VI)が生成されると有害であり、発がん性や皮膚障害の原因となるため、排水や廃棄物の管理、作業者の保護が重要です。定期的な水質検査と適切な中和・回収処理が必要です。
用語の説明
タンナーとは、皮革をなめす作業を行う職人やその職業(あるいはその事業体)を指します。かつては手仕事で行われていましたが、現在は機械化された工場も多く存在します。
なめし工場(皮なめし工場)とは、原皮の受入れから最終的な革の仕上げまでのなめし工程を行う施設のことです。工場内では前述のような複数の処理工程が時間差で行われます。
まとめ
なめしは動物の皮を耐久性ある革へと変える重要な加工工程であり、用途に応じてクロムなめしやタンニンなめしなどの手法が選ばれます。一方で工程に伴う臭気や水質汚濁、クロム管理などの環境課題があり、適切な技術と規制、廃水・廃棄物処理の導入が不可欠です。消費者や企業による持続可能な調達、業界のクリーン技術導入が広がることが望まれます。

タンナー

なめしのイラスト、17世紀に出版された本より
質問と回答
Q:タンニングとは何ですか?
A:なめしとは、動物の皮を丈夫にし、色を変えることで、革にすることです。
Q:なめし革はどのように動物の皮膚を保護するのですか?
A:なめすことで、動物の皮膚はより柔軟になり、細菌によるダメージを受けにくくなります。
Q:動物の皮をなめす前に、どのような手順を踏むのですか?
A:動物の皮をなめす前に、動物の体温が体外に出る前に、動物を殺して皮を剥ぐ必要があります。次に、皮の内側の組織と外側の毛を除去します。皮の中の塩分を取り除き、6時間から2日間、水に浸す。
Q:昔の人はどんな物質を使ってなめしたのですか?
A:昔は、オークやモミの木から取れるタンニンという天然物質が使われていました。
Q:皮なめし工場はどこにあるのですか?
A:なめし革工場は、その臭いのために、通常、町の端にあります。
Q: 皮なめし工場から発生する環境問題は何ですか?A: 皮なめし工場から流出する液体は、工場からの流出に適した水処理方法で適切に処理されないと、河川に流出し、大きな汚染を引き起こすことがあります。世界銀行が水処理施設に助成金を出しても、発展途上国にはこの方法がない場合があります。
Q: タンナーの仕事とは何ですか?A: タンナーとは、なめし工場で動物の皮を扱い、硫酸三クロム([Cr(H2O)6]2(SO4)3)に浸すなどの工程を経て、革に仕上げる仕事です。
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