ブラック・コルドロン(1985年映画)―ディズニーのダークファンタジーと評価
1985年ディズニーのダークファンタジー『ブラック・コルドロン』の制作秘話、批評、興行失敗とカルト的評価を詳解
黒い大壺は、ロイド・アレキサンダーのウェールズ神話風ファンタジー小説シリーズ「プリダイン物語」を原作とする1985年のアメリカ製ダークファンタジー・アニメ映画です。監督は前作「The Fox and the Hound」のTed BermanとRichard Richが務め、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによる作品としては従来の明るい作風から一線を画す意欲作でした。
概要
物語は、若き見習い兵士のタラン(青年)が、邪悪な角王(Horned King)によって世界が支配されるのを阻止するため、魔法の黒コルドロンの奪取を巡って仲間たちと冒険する、というものです。仲間には王女エイロニーウィ(Eilonwy)、吟遊詩人フルードゥール、怪しい小動物グルギなどが含まれ、原作から主要な設定や登場人物を取り入れつつ、映画用に筋を簡潔にまとめた脚色が施されています。
あらすじ(簡潔)
角王は黒コルドロンを使って不死の軍隊「コルドロン生(Cauldron-Born)」をよみがえらせ、国々を征服しようとします。タランとその仲間たちは、コルドロンを破壊または奪い返すために危険な旅に出ます。映画は戦いや緊張感のある場面、そして生死に関わるテーマを避けずに描いたため、従来のファミリー向け作品とは異なる重いトーンが特徴です。
製作と演出
本作は制作中に多くの編集とテスト上映を経ており、暗さや恐怖表現の扱いが大きな論点となりました。制作費は2,500万ドルと当時のディズニー長編アニメとしては高めの予算が投じられ、視覚効果の一部には初期のコンピューターグラフィックスを取り入れた場面もあります。また、音楽は映画的なスコアで緊迫感を高めており、これが作品のダークな雰囲気を補強しています。
興行成績と批評
公開当時、映画は観客や批評家の支持を十分に得られず、興行成績は振るいませんでした。北米での興行収入はわずか2100万ドルにとどまり、制作費を回収できない結果となりました。製作費と興行収入の差から、商業的には大きな失敗と見なされ、しばしばカルト映画的な評価と結び付けられます。公開当時は家族向けのイメージと暗い内容とのギャップが批判され、好意的な評価だけでなく厳しい批判も受けました。
その後の評価と影響
公開直後は不評でしたが、年月を経て本作のビジュアル表現や挑戦的なトーン、原作の暗めの世界観を踏まえた演出が再評価されるようになり、コアなファン層からは支持を受けるようになりました。こうした「異色作」が後のアニメーション表現の幅を広げる契機になったとも指摘されています。一方で、商業的失敗はディズニーのアニメーション部門に対する経営判断や方針転換のきっかけになり、スタジオ内部の改革と新しい人材登用につながった面もあります。
特徴と見どころ
- 従来のディズニー作品より暗くシリアスなトーン。
- 古代ケルト風の世界観と民話的要素を取り入れた設定。
- 一部に用いられた初期CGと実験的な映像表現。
- 物語の核心をめぐる緊迫した冒険と、仲間同士の絆が描かれる点。
まとめ
黒い大壺は公開当初は商業的に失敗したものの、独特のダークファンタジー表現や実験的な映像が後年に評価され、一定の支持を得た作品です。ディズニーの伝統的なイメージとは異なる試みとして、アニメーション史の一側面を語る重要な作品といえます。
キャスト
- グラント・バーズリー(ターラン役
- スーザン・シェリダン(エイロンウィー王女役
- ナイジェル・ホーソーン(フルーダー・フラム役
- ジョン・バイナー(ゴーギ/ドリ役
- ジョン・ハート(角のある王役
- フレディ・ジョーンズ(ドルベン役
- アイディール王役:アーサー・マレット
- オルドゥ役:イーダ・レイス・メリン
- アデル・マリス=モリー(オルウェン役
- ビリー・ヘイズ(オルゴッフ役
- フィル・フォンダカロ(クリーパー役
- ジョン・ヒューストン(ナレーター役
- ブランドン・コール(妖精1号役
- グレゴリー・レヴィンソン(妖精2号役
- リンジー・リッチ(妖精3号役
百科事典を検索する