座標。37°05′41″N 76°28′54″W / 37.09472°N 76.48167°W / 37.09472; -76.48167
トーマス・ジェファーソン国立加速器施設(TJNAF、一般にはジェファーソン研究所またはJLabと呼ばれる)は、米国バージニア州ニューポートニュースに位置する国立研究所です。施設は州間高速道路64号線の256番出口付近にあり、電子ビームを用いた核・ハドロン物理学の研究を主に行っています。2006年6月1日より、Southeastern Universities Research Association, Inc. と CSC Applied Technologies, LLC の合弁会社である Jefferson Science Associates, LLC によって運営されています。1996年までは Continuous Electron Beam Accelerator Facility(CEBAF)と呼ばれ、この名称は現在でもメイン加速器や関連設備の名称として広く使われています。
1984年に設立されたJLabには約675名以上の常勤職員がおり、これまでに世界中から延べ2,000人以上の研究者が同施設を利用してきました。研究所の使命は以下のとおりです(要旨)──「核物質の基本構造を解明するために必要な最先端の科学施設と機会を提供し、先進技術の産業応用に協力し、教育と公共アウトリーチを通じて国および地域社会に貢献すること」。
加速器の概要と特徴
JLabの中心は CEBAF と呼ばれる連続電子ビーム加速器です。CEBAFは、超伝導高周波(SRF)空洞を備えた2本の線形加速器(リニアック)を往復形(レーストラック)で結合し、電子ビームを複数回循環させて所望のエネルギーまで加速します。主な特徴は以下の通りです:
- 高占有率(ほぼ連続波)の電子ビームにより、高精度な散乱実験が可能。
- 高偏極電子ビームを供給でき、スピン依存過程の研究に強みを持つ。
- ビームエネルギーはアップグレードにより最大12GeVに到達。
- 柔軟なビーム供給により、複数の実験ホールへ同時にビームを分配可能。
実験ホールと主要 detector
CEBAFは複数の実験ホール(従来の Hall A、Hall B、Hall C に加え、アップグレードで設けられた Hall D)を持ち、各ホールは異なる検出器群や計測手法に特化しています。代表的な装置例:
- Hall A:高分解能分光器や大型受容角検出器を用いた精密測定向けの施設。多用途の実験機器を据え付け可能。
- Hall B:大受容角多目的検出器(アップグレード後はCLAS12など)を用い、準構造解析や多粒子最終状態の測定に強みを持つ。
- Hall C:高精度分光器群を備え、精密な断面積測定や分光学的研究に適している。
- Hall D:12GeVアップグレードに伴い新設されたホールで、GlueX実験など中間子分光学やクォーク結合の研究を主に行う。
主な研究分野
JLabでは以下のような核・ハドロン物理学の課題を中心に研究が進められています:
- 陽子・中性子(核子)の内部構造(電磁フォーミクター、GPDやTMDなどの分布関数)
- クォーク拘束とハドロン分光学(異常な状態やグルーオン励起状態の探索)
- スピン構造とスピン依存反応の解明
- 標準模型の精密検証(例えばパリティ非対称性実験)
- 加速器・検出器技術の開発と産業応用(SRF技術など)
12GeV アップグレード
CEBAFのアップグレード計画では、加速器本体へのより高性能な磁石と電源の導入、新しいSRF空洞やビームラインの改良、さらに新実験ホール(Hall D)や既存ホールの検出器の強化が行われました。これにより、従来の6GeV級から最大12GeVでの運転が可能となり、より高エネルギー側でのハドロン分光学や深部構造探査が可能になりました。大規模な改修・設置工事は2010年代にかけて実施され、その後12GeVでの運転が実現しています。
運営・利用者プログラム
JLabはユーザー施設として世界中の大学・研究機関と共同で実験を行っており、ビームタイムの配分はピアレビューと提案審査に基づいて行われます。研究所は常勤スタッフに加え、多数の大学院生やポスドク、客員研究者を受け入れており、機器開発やデータ解析、理論との共同研究が活発に行われています。
教育・アウトリーチ・産業連携
JLabは教育活動や一般向けアウトリーチにも力を入れており、学校向けプログラム、公開講座、見学ツアーなどを通じて科学教育に貢献しています。また、SRF技術や加速器技術を中心とした産業連携・技術移転も行われ、医療や産業分野への応用も進められています。
以上のように、トーマス・ジェファーソン国立加速器施設(JLab)は、CEBAFという連続電子ビーム加速器を核に、基礎核物理学研究と技術開発・教育を結びつける重要な国立研究拠点となっています。



