楽音とは、聴き手が明確な音高をもち、持続的で、しばしば繰り返しを伴う波形として知覚する音である。音楽と音響学の双方において、この語は、単純でほぼ正弦波に近い音から、声や楽器によって生み出される豊かで複雑な音の混合まで、幅広い現象を含む。聴き手は楽音を音高、持続時間、大きさ、音色などの属性によって捉え、演奏者は技法や表現によってそれらを形づくる。
物理的基礎
物理的には、多くの楽音は振動する物体によって生じ、空気や他の媒質に圧力変化をつくり出す。純音は、1つの周波数での単一の正弦波振動としてよく近似できる。ほとんどの音楽音は複合音であり、基本周波数と、付加的な周波数成分(部分音または倍音)から成る。これらの成分どうしの相互作用が、楽音のスペクトルの釣り合いと時間的な振る舞いを決める。
特徴と知覚
楽音を説明する際に用いられる主な属性には、次のようなものがある。
- 音高: 低い音から高い音へと楽音を並べる知覚的属性で、周波数と密接に関係し、音楽の文脈では音高として論じられることが多い。
- 大きさ: 楽音の知覚される強さ。心理音響学における大きさは、周波数成分とレベルに依存し、測定と知覚については大きさを参照。
- 音色: 同じ音高と大きさをもつ2つの楽音を区別するスペクトル的・時間的特性。しばしば音の色や音色と呼ばれる。
- 持続時間と包絡: 楽音の時間的推移であり、立ち上がり、持続、減衰を含む。これらは知覚や楽器の識別に強く影響する。
種類と変調
単純音と複合音の区別に加えて、楽音は周期性や倍音構造によっても異なる。調和的な楽音では、部分音が基本音の整数倍に並び、しばしば音高を感じやすく、音楽的に聴こえる。非調和的な音は、単純な整数倍にならない成分を含み、打楽器に多い。演奏者はさらに、ビブラート、グリッサンド、アーティキュレーション、過渡的な雑音などを加えて、表現効果を作り出す。
音楽における位置づけと用途
楽音は旋律と和声の構成要素である。楽音の連なりは旋律を形づくり、同時に鳴る楽音は和音を構成し、音色の組み合わせは管弦楽的な色彩を生む。記譜された音符は、意図された音高と持続時間を示す記号だが、演奏者はそれを特定の大きさ、音色、アーティキュレーションを伴う楽音として実現する。調律体系や平均律は、音階や和声の中で楽音が互いにどう関係するかに影響する。
生成と技術
楽器、人の声、電子システムは、それぞれ異なる仕組みで楽音を生み出す。加算合成、減算合成、周波数変調などの合成法は、単純な成分を意図的に組み合わせて複雑な楽音を形づくる。録音や増幅は、音の属性を精密に制御することを可能にし、作曲家や演奏者の表現の幅を広げてきた。
用語と区別
一般的な用法では、「tone」は関連語と重なることがある。「note」は通常、記譜された、または概念上の音高と持続時間を指し、「timbre」は音高と大きさから色彩を切り分け、「noise」は一般に明確な周期構造の欠如を意味する。これらの区別を理解することは、分析、楽器設計、演奏のいずれにも役立つ。