トロント地下鉄・RT(Toronto Subway and RT)は、カナダのオンタリオ州トロントにある主要な高速輸送(RT)鉄道システムで、トロント市交通委員会(TTC)が運営しています。1954年にヨンジストリート地下の最初の区間が12駅で開業して以来、都市の拡大に合わせて路線網が拡張され、カナダ最大級の高速輸送ネットワークへと成長しました。

路線構成と駅数

システムは主に以下の路線で構成されています。

  • Yonge-University Line(一般にLine 1として知られる)
  • Bloor–Danforth Line(Line 2)
  • Scarborough RT(Line 3、RTとして分類される)
  • Sheppard Line(Line 4)

年ごとの拡張で総延長や駅数は変動します。かつては総延長約68.3km、駅数69駅とされた時期もありましたが、2017年の北西方向への延伸(トロント–ヨーク・スピアディナ延伸)で新たに6駅が増設されました。延伸区間の新駅は次のとおりです:

  • Downsview Park
  • Finch West
  • York University
  • Pioneer Village
  • Highway 407
  • Vaughan Metropolitan Centre

この追加により、路線網の駅数・総延長はさらに増加し、システムの利便性が向上しました。

歴史の概略

トロント地下鉄は1954年に最初の区間が開業して以来、段階的に延伸・改良が行われてきました。2000年代以降も延伸計画と建設が進められ、2006年3月23日にはオンタリオ州が一部工事に対して資金拠出(約6億7,000万ドル)を発表しています。この拠出はプロジェクト総費用の一部であり、延伸工事は複数の出資主体と公的支援を組み合わせて実施されました。完成時の総事業費は当初の見積よりも変動することが多く、大規模な公共インフラ事業として数億〜数十億カナダドル規模に達することが一般的です。

利用状況と近年の動向

この地下鉄システムはカナダで最も乗客数が多い路線網の一つです。過去の統計では、2010年時点で平日平均の乗客数は約948,100人と報告されていました。その後、都市人口増加や通勤需要の変化により利用者数は変動し、2010年代後半にはさらに増加傾向にありました。一方で、COVID-19流行によって一時的に利用者数が大幅に落ち込み、その後は徐々に回復しています。

運営・車両・技術面

運営はTTCが一括して行い、運賃収受にはPRESTOなどの非接触型カードシステムが導入されています。車両は路線ごとに異なる規格(地下鉄車両とRT車両)を用い、定期的な更新・整備が行われています。また安全性向上や輸送能力増強のため、信号更新(自動列車制御など)や駅の近代化工事が進められています。

アクセシビリティと将来計画

TTCは段階的に駅のバリアフリー化を進めており、エレベーターの新設や改良、視覚・聴覚支援装置の導入などを行っています。さらに、既存のRT路線の扱いや新たな延伸計画、将来的な路線再編成(既存のRTを置き換える地下鉄延伸など)については継続的な議論と計画が進行中です。特にScarborough地区の輸送改善は長年の課題であり、代替輸送、延伸事業、長期計画の組合せで対応が検討されています。

トロントの地下鉄・RTは市域の成長とともに進化しており、都市交通の中核を担う重要なインフラです。今後も利用者ニーズや技術進展に合わせた改良・拡張が続く見込みです。