付加価値税(VAT)とは|定義・仕組み・計算方法と免税品の例
付加価値税(VAT)の定義・仕組み・計算方法をわかりやすく解説し、子供用書籍や衣類など免税品の具体例と対応方法まで紹介。
Value Added Tax : 頭文字をとって"VAT"や"V.A.T."と呼ばれることが多い。これは、欧州連合(EU)で広く使われている用語ですが、世界各国で導入されている間接税の英語名です。仕組みとしては、いくつかの国で課される売上税のようなものですが、課税の段階や控除の方法が異なります。
付加価値税(VAT)の定義と基本原理
付加価値税(VAT)は、財やサービスの各生産・流通段階で「付加された価値」に対して課される間接税です。事業者は販売のたびに税を上乗せして消費者に請求しますが、事業者自身は仕入れ時に支払ったVAT(仕入税額=input tax)を販売時に受け取ったVAT(売上税額=output tax)から差し引いて、差額を税務当局に納めます。結果として、最終的に税負担を受けるのは流通の最後にいる最終消費者です。
仕組み(段階ごとの流れ)
- メーカー(生産者)は問屋に商品を売る際に付加価値税を上乗せして請求し、受け取ったVATから自分が仕入れで支払ったVATを差し引いて納税します。
- 問屋(卸売業者)は小売店に販売する際にVATを請求し、販売で受け取ったVATからメーカーに支払ったVATを差し引いて納税します。
- 小売店は最終消費者に対してVATを請求し、受け取ったVATから問屋に支払ったVATを差し引いて納税します。
このように、各事業者は自分の「付加価値分」だけを税として負担し、帳簿と請求書によって仕入税額控除を行います。
計算方法(具体例)
一般的な計算方法は次の通りです:VAT納付額 = 売上にかかるVAT(output tax)− 仕入れにかかったVAT(input tax)。
例(税率20%の国を想定):
- メーカーが問屋に売る:販売価格(税抜)100 → VAT 20 → 請求額 120。メーカーの納付額 = 20 − 0 = 20。
- 問屋が小売店に売る:販売価格(税抜)150 → VAT 30 → 請求額 180。問屋の納付額 = 30 − 20 = 10。
- 小売店が最終消費者に売る:販売価格(税抜)200 → VAT 40 → 請求額 240。小売店の納付額 = 40 − 30 = 10。
最終的に税務当局に納められる合計(20+10+10=40)は、最終消費者が負担したVAT(200の20%=40)と一致します。
サービスと商品の区別
VATは物品だけでなく、多くのサービスにも課税されます。例えば自動車整備業者(ガレージ)の場合、以下のように扱われます:
- 自動車のスペアパーツを販売する場合:スペアパーツは「商品」に該当するため、通常VATが課されます。
- スペアパーツの取り付けなどの作業を行う場合:取り付け作業は「サービス」に該当し、その作業料金にもVATがかかります。
免税品・軽減税率の例(国によって異なる)
すべての商品・サービスに同じ税率が適用されるわけではありません。多くの国では生活必需品や教育・医療などに対して軽減税率や免税(zero-rate/exempt)を設けています。例としてよく挙げられるもの:
- 子供用の衣類や靴(多くの国で軽減または免税扱い)
- 書籍や新聞(印刷物は軽減税率またはゼロ税率のことが多い)
- 基本的な食料品(一部は非課税や軽減税率)
- 輸出:多くの国で輸出品はゼロ税率(輸出に対してVATを課さないが、仕入税額は控除できる)となる
注意:具体的に何が免税・軽減の対象になるかは国ごとに異なり、同じ「子供服」でも扱いが違う場合があります。最新の適用範囲は各国の税務当局の規定を確認してください。
事業者の義務と請求書(インボイス)
- 事業者は一定の売上高を超えるとVAT登録(課税事業者)を行う義務があります。登録閾値は国によって異なります。
- 課税事業者は売上にかかるVATを請求書で明示し、仕入れにかかったVATの証憑(請求書・領収書)を保存する必要があります。
- 経理書類により仕入税額控除を行い、所定の期間(通常は月次または四半期ごと)で納税申告を行います。
輸出・免税とゼロレートの違い
「免税(exempt)」と「ゼロ税率(zero-rated)」は異なります。ゼロ税率は売上に対して税率が0%であるため、輸出などでは売上にVATはかかりませんが、仕入れにかかったVATは控除できます。一方、免税(exempt)は売上にVATがかからず、かつ仕入れで支払ったVATを控除できない場合があり、事業者の負担が増えることがあります。
まとめ(ポイント)
- VATは各流通段階で付加された価値に課される間接税で、最終的な負担者は最終消費者。
- 事業者は売上に係るVATと仕入に係るVATの差額を税務当局に納める(仕入税額控除)。
- 税率や免税・軽減の適用範囲、登録要件は国ごとに大きく異なるため、具体的な取り扱いは各国の税法を確認する必要がある。
- 請求書の発行や保存、正確な会計処理が求められるため、事業者は税務管理を適切に行うことが重要。
質問と回答
Q: 付加価値税とは何ですか?
A: 付加価値税はVATまたはV.A.T.とも呼ばれ、欧州連合内で販売される商品やサービスの価格に加算される税金です。
Q: VATはアメリカの消費税と似ていますか?
A: VATは、商品やサービスの販売に付加される税金という点で、米国の売上税に似ています。
Q: VATは誰が支払うのですか?
A: 商品の製造者はVATを政府に支払い、卸売業者はVATから製造者に支払った税金を差し引いた金額を政府に支払い、販売店はVATから卸売業者に支払った税金を差し引いた金額を政府に支払います。最終的には、顧客がVATの全額を支払うことになります。
Q: すべての人がVATを支払わなければならないのですか?
A: はい、商品またはサービスの販売に携わるすべての事業者または個人は、VATを請求し、いくらかの税金を支払ったことを示すインボイスを発行しなければなりません。
Q: VATはすべての商品に加算されるのですか?
A: いいえ、全ての商品にVATが加算されるわけではありません。子供の本や衣類はVATが免除されます。
Q: サービスにVATを課す企業があるのはなぜですか?
A: 物品ではなくサービスを提供する企業でも、サービスに対してVATを課す場合があります。例えば、ガレージのオーナーは、顧客の車にスペアパーツを取り付ける費用にVATを請求するかもしれません。
Q: VATの計算は簡単ですか?
A: いいえ、VATの計算は複雑です。なぜなら、商品やサービスの販売に携わるすべての事業者や個人は、VATを請求し、税金を支払ったことを示すインボイスを発行しなければならないからです。
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