Versus EPは、アメリカの歌手Usher(アッシャー)による初のエクステンデッド・プレイ(EP)で、2010年8月24日にLaFace RecordsとJive Recordsからリリースされました。本作は、前作Raymond v. Raymondの「最終章」と位置づけられ、アルバムで提示したテーマを拡張しつつ、ダンス寄りのポップ曲や伝統的なR&Bまで幅広いスタイルを収めています。歌詞の中では、アッシャー自身のシングルファーザーとしての日常や人間関係が語られる場面もあり、個人的な要素が色濃く反映されています。
背景と制作
本EPは、前作セッションと並行して制作された楽曲や追加曲を集めた形で発表されました。制作陣には多彩なプロデューサーが参加しており、R&Bの土台にポップ/ダンスの要素を融合させることが意図されました。サウンド面ではクラブ向けのアップテンポ曲と、スロウなR&B曲の両立が図られています。
主なプロデューサー
- Polow da Don
- Jim Jonsin
- Rico Love
- Drumma Boy
- Jimmy Jam and Terry Lewis
- Tha Cornaboyz
- Max Martin
これらのプロデューサー陣により、クラブ寄りのダンス・ポップから伝統的なR&Bまで、多彩な音作りが施されています。
シングルと楽曲の特徴
このEPからは2曲のシングルがリリースされました。Hot Tottie と 「DJ Got Us Fallin' in Love」です。特に「DJ Got Us Fallin' in Love」はダンス・ポップ寄りのアップテンポな楽曲として広く支持され、クラブやラジオで頻繁にかけられるヒットとなりました。一方で「Hot Tottie」などはR&Bの要素を残しつつ、現代的なプロダクションでまとめられています。
チャート成績と販売
Versusはアメリカの公的アルバムチャートであるビルボード200にて初登場4位を記録し、初週に約4万6千枚を売り上げました。これによりアッシャーにとって6作目の全米トップテン入りアルバムとなりました。国際的にも一定の成功を収め、カナダでトップ20、フランスでトップ30、ドイツやベルギーでトップ40入りを果たし、オランダのアルバムチャートにもランクインしました。シングルは国やフォーマットによって差はあるものの、特にダンス寄りの楽曲が世界的に商業的成功を収めています。
批評
批評家の評価は概ね賛否が分かれる内容でした。多くの評論家はEPのポップ寄りの方向性について「アルバムの持つR&Bらしさが薄まった」といった批判を向ける一方で、アップテンポ曲のキャッチーさやアッシャーのヴォーカル・パフォーマンス、洗練されたプロダクションを評価する声もあり、総じて「賛否混在(mixed)」の評価に落ち着いています。商業的に成功したシングルがあった点は肯定的に受け止められました。
まとめ
Versus EPは、Usherが既存のアルバム作品を補完する形で発表した短編的作品で、ポップ/ダンスとR&Bを橋渡しする試みが見られます。商業的には成功を収め、複数の国でチャート入りを果たしました。批評面では方向性について議論を呼びましたが、アッシャーの幅広い音楽性と商業的な手腕を示す一作となっています。