ワルツとは:3/4拍子の舞曲・音楽 — 起源・特徴・代表作と踊り方

3/4拍子の魅力を解説:ワルツの起源・特徴・代表作(シュトラウス等)と踊り方、ウィーン&イングリッシュワルツの違いをわかりやすく紹介。

著者: Leandro Alegsa

ワルツの音楽は3/4拍子(1小節に3拍)で書かれることが基本で、社交ダンス用の舞曲であると同時に芸術音楽としても発展しました。代表的な作曲家にはヨハン・シュトラウス1世やヨハン・シュトラウス2世(有名な美しく青きドナウの作曲者)などがいます。ワルツは劇場や舞踏会、サロン、さらに交響曲やバレエの中でも重要な役割を果たしてきました。

起源と歴史

ワルツの起源は18世紀末のドイツ語圏にあり、当時の民衆舞踊であるランダー(Ländler)などが発展して生まれたと考えられています。19世紀にウィーンを中心に社交舞踏として洗練され、オーケストラ作品としても人気を博しました。特にシュトラウス一家はウィンナーワルツを確立し、ワルツはヨーロッパ各地の舞踏会で定着しました。20世紀に入るとテンポを遅くしたイングリッシュ・ワルツ(スロー・ワルツ)が普及し、現代の競技ダンスではインターナショナル・ワルツとして標準化されています。

音楽的特徴

  • 拍子:基本は3/4拍子で、1拍目に強いアクセントが来ることが多く、パターンは強-弱-弱です。
  • 伴奏スタイル:ピアノやギターなどでは「oom-pah-pah」と呼ばれる伴奏が典型的で、1拍目に低音(ルート)を、2拍目と3拍目に和音の上声を置く形がよく使われます(ワルツは1小節に1つのコードがあるのが一般的で、特にこの伴奏法が多用されます)。
  • テンポと表情:ウィーン・ワルツは比較的速く回転的で、イングリッシュ/スロー・ワルツはゆったりとして起伏(rise and fall)を強調します。
  • 形式:短い反復フレーズや転調を含む大きな楽曲構成(序奏—主部—トリオなど)として書かれることが多く、オーケストレーションでは弦楽器の旋律やハープ、木管の色彩が際立ちます。

代表作と作曲家

  • ヨハン・シュトラウス2世美しく青きドナウ皇帝円舞曲(Kaiser-Walzer) など
  • ヨハン・シュトラウス1世:シュトラウス家の先駆者として多くの舞曲を作曲
  • フレデリック・ショパン:ピアノ・ワルツ(短い作品群だが芸術性が高い)
  • ピョートル・チャイコフスキー:バレエ曲中のワルツ(『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』など)
  • ヨハネス・ブラームス、モーリス・ラヴェルなど:ピアノ曲や管弦楽曲の中でワルツ形式を用いる例がある

ワルツの踊り方(基本)

ワルツには主に「ウィーン・ワルツ」と「イングリッシュ/スロー・ワルツ(インターナショナル・ワルツ)」の2種類があります。踊り方のポイントを簡単にまとめます。

  • 基本のカウント:3拍子の1-2-3のリズムで動きます。通常、1拍目で踏み出し・重心移動がはっきりします。
  • ボックスステップ(スロー・ワルツでよく使われる):6拍(2小節)で1セット。リーダーは左足で前に出る→右へサイドステップ→左足を右足に寄せる、次に右足で後退→左へサイドステップ→右足を左足に寄せる、という繰り返しです。フォロワーはその逆を踏みます。
  • ウィーン・ワルツの回転:連続した自然回転と逆回転(ナチュラルターン/リバースターン)で構成され、ステップは速く滑らかに回ることが求められます。体幹の引き上げと安定したホールドが重要です。
  • リズム表現:スロー・ワルツでは「rise and fall(上げ下げ)」が特徴で、膝の使い方や軸足のコントロールで優雅な流れを作ります。
  • 姿勢とフレーム:上体はリラックスしつつもしっかりとしたフレーム(腕と肩の形)を保ち、相手との連携を崩さないことが大切です。

実践的な練習法と注意点

  • まずは拍を正確に数える(「ワン・ツー・スリー」)練習。足を動かす前に体で拍子を取ると安定します。
  • 伴奏の低音(1拍目)を意識して重心を乗せ、2・3拍で細かい足の配置を整えるとワルツらしい「乗り」を得やすいです。
  • 鏡で姿勢を確認し、ホールドの形や頭の位置、腕の角度をチェックしましょう。回転中は視線のスポッティング(首の向きを利用した視点固定)を使うと安定します。
  • 音楽をよく聴き、フレーズやブレイクに合わせて動きを変化させることで表現力が増します。

ワルツと舞台芸術

ワルツはバレエ曲やオペラ、映画音楽にも頻繁に登場します。舞台上では舞踏会シーンやロマンティックな場面を演出するのに適しており、実際にバレエも数多くあります。 また、現代のポップスや映画音楽にもワルツのリズムや和声が取り入れられ、ジャンルを超えて広く影響を及ぼしています。

まとめ

ワルツは3/4拍子を基盤にした豊かな音楽・舞踊文化で、民衆舞踊に由来しながらもウィーンやヨーロッパの社交界で洗練され、作曲家や舞踏家によって多様に発展してきました。基本のリズムと伴奏パターンを理解し、姿勢やフレーム、リズム感を身につけることで、音楽と一体になった美しいワルツが踊れます。

ヨハン・シュトラウスの「こうもり」のワルツの一節Zoom
ヨハン・シュトラウスの「こうもり」のワルツの一節

質問と回答

Q: ワルツは何拍子で書かれていますか?


A: ワルツは3/4拍子で書かれています。

Q: ワルツはダンス音楽としてのみ扱われるのですか?


A: いいえ、ワルツはダンス音楽であると同時に芸術音楽でもあります。

Q: 最も有名なワルツ作曲家は誰ですか?


A: シュトラウス一家、特にヨハン・シュトラウス1世とヨハン・シュトラウス2世が最も有名なワルツ作曲家でしょう。

Q: ワルツの1小節には通常いくつの和音がありますか?


A: ワルツは通常1小節に1和音です。

Q: ワルツの伴奏法は?


A: 特にワルツに関連する伴奏法は、コードのルートを1拍目に、上の音を2拍目と3拍目に演奏します。

Q: ワルツの起源と元の名前は?


A: 18世紀後半のドイツで、ランダーと呼ばれる民族舞踊が起源とされています。

Q: 現在、ワルツは何種類あり、どのように呼ばれていますか?


A: 現在では、ウィーン・ワルツとイングリッシュ・ワルツまたはスロー・ワルツ(現在ではインターナショナル・ワルツと呼ばれることが多い)の2つの形式で踊られています。


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