ウィキペディアの管理者資格の申請に関する現在の議論については、Wikipedia:Requests for adminshipをご覧ください。
ウィキペディアの管理者とは、ウィキペディアのコミュニティによって選ばれた、信頼できる上級のボランティアです。管理者はアドミン、シスオペ、ジャニターとも呼ばれます。管理者は、管理者資格の申請に成功した後に任命されます。2020年5月現在、シンプル英語版ウィキペディアには17人の管理者がいます。管理者は、他の編集者にはない特別な権利を持っています。
ウィキペディアでは、管理者になることを「モップを与えられる(または取り上げる)」とよく言いますが、この言葉は他の場所でも使われています。
John Broughton氏は、著書『Wikipedia - The Missing Manual』の中で、多くの人がウィキペディアの管理者を審査員と考えているが、それはその役割の目的ではないと述べています。その代わりに、管理者は通常、「ページの削除」や「編集戦争に巻き込まれたページの保護」を行っていると言います。
定義と位置づけ
管理者(administrator, sysop)は、技術的に特別な操作を行う権限を与えられた一般の編集者です。彼らはウィキペディアのコミュニティが信頼して付与する権限を使い、サイトの秩序維持や維持管理(ジャニティング)を行います。管理者はコミュニティの代表として「法外な権力」を持つのではなく、既存の方針や合意に従って行動することが期待されます。
管理者の主な役割
- 荒らしやスパムの迅速な対処(急速な削除、ブロック、差し戻しなど)
- 編集戦争を防ぐためのページ保護や制限の実施
- ページの削除や復元(削除済みページの管理)
- ユーザーに対する一時的なブロック(規約違反や悪質な行為への対処)
- 紛争が激しいページでの中立的な調整や、必要に応じた上位者へのエスカレーション
- 日常的な保守作業(リンクの整理、テンプレート管理など)や、新規ユーザーの簡単な相談対応
技術的な権限(代表的なもの)
- ページ保護:編集や移動を制限して編集戦争や荒らしを抑える。
- 削除・復元:不適切な記事や明らかなスパムを削除し、誤削除の際には復元する。
- ブロック:特定のユーザー名やIPアドレスからの編集を一時的に禁止する。
- 差し戻し(rollback):直近の編集を簡単に元に戻し、荒らしや嫌がらせを即時に解決する。
- 移動(rename/move):ページ名の変更を行える(プロジェクト設定によっては制限あり)。
- 削除済み履歴の閲覧:通常の編集者が参照できない削除履歴やログの確認。
注:各ウィキプロジェクトごとに付与される具体的な権限や運用は異なることがあります(ローカル規則に従う)。また、より高い権限(例:利用者権限の付与や重度の個人情報削除、監査的な処理)は、ビューロクラットやスチュワードといった別の役職やグローバル権限が関係する場合があります。
選出方法(任命の流れ)
- 指名・申請:当人または他の利用者が管理者候補を指名・推薦する。英語版では「Requests for adminship(RfA)」などの手続きが用いられる。
- コミュニティによる審議:一定期間(プロジェクトによる)候補者の活動履歴、方針遵守、態度などについて議論・評価が行われる。
- 合意形成:形式的な多数決ではなく、コミュニティの合意(コンセンサス)によって評価されるのが一般的。賛否や懸念点が検討される。
- 付与:合意が得られたと判断された場合、権限を付与する担当者(ビューロクラットや既存管理者など)によって管理者権限が与えられる。
プロジェクトによっては手順や名称が異なり、自動的に与えられることはありません。公開の議論と透明性が重視されます。
資格・期待される行動
- 十分な編集実績と方針(中立性、削除基準、懲罰方針など)の理解。
- 他の編集者と建設的にやり取りできる態度(礼儀、説明責任、透明性)。
- 頻繁に活動していることが望ましい(ただし「不活動=自動的に権限剥奪」ではない)。
- 権限行使に際しては、常にコミュニティルールに従い、必要ならば判断理由をログや議論で説明すること。
任期と解除(取り消し)
管理者権限には通常の任期はなく、コミュニティが適切と判断するまで継続します。ただし、権限の濫用や重大なポリシー違反、コミュニティとの深刻な対立があった場合、コミュニティの要求や上位の管理者(例:スチュワード)によって権限が剥奪されることがあります(いわゆる「desysop」)。また、長期間の不活動を理由に権限が見直されるプロジェクトもあります。
留意点とよくある誤解
- 管理者は「上位の裁判官」ではなく、サイトの維持管理を行うボランティアです。権限は責任であり、独断的な運用はコミュニティから批判されます。
- 技術的な権限があるからといって方針を無視してよいわけではありません。重要な判断は原則として合意形成や方針に基づくべきです。
- プロジェクトごとに運用ルールや手続きが違うため、各ウィキのガイドラインを確認することが重要です。
以上がウィキペディアにおける管理者の定義・役割・権限・選出方法の概略です。管理者はコミュニティの一員として、透明性と説明責任を持ちながらサイトの質と安全を守る役目を担っています。

