ウッドブロック(打楽器)とは:構造・音色・奏法・歴史をわかりやすく解説

ウッドブロックの構造・音色・正しい奏法と歴史を図解で初心者にもわかりやすく解説。種類や演奏例、メンテ法まで網羅。

著者: Leandro Alegsa

ウッドブロックは、小型の打楽器です。一般に木で作られ、ドラムのように叩いて音を出します。内部が空洞になっているためよく響き、鋭く高いアタック音が特徴です。形状は様々で、伝統的には舟形や「木片」を彫り出したものが多く、近年は角柱状でレンガのような形をしたタイプもよく見られます。音色や用途に応じて、単体のブロック、セットにしたテンポルブロック(寺院ブロック)型、プラスチック製の「ジャムブロック」などのバリエーションがあります。

中国を起源とするため、しばしばチャイニーズブロック(Chinese block)やテンプルブロック(temple block)と呼ばれることもあります。歴史的には宗教儀式や寺院での合図として使われた経緯があり、欧米のオーケストラや映画音楽にも取り入れられてきました。

構造と種類

  • 素材:硬木(ローズウッド、メープル、オークなど)が一般的で、音の明瞭さや耐久性に優れます。合成樹脂製のジャムブロックは耐久性と安定した音程が利点です。
  • 形状:単一の長方形ブロック、舟形や球形に近い寺院ブロック型、複数サイズを揃えたセット型があります。内部の空洞形状や開口部の位置で共鳴が変わり、音色やピッチが決まります。
  • スリット(切れ目)や共鳴穴:スリットドラムに似た構造のものは、切れ目の長さや形で音程が調整されます。欧米のオーケストラ用ウッドブロックはシンプルな箱型で、叩く位置によって音色が変わります。

音色と奏法

ウッドブロックは短くはっきりしたアタックと持続の短い余韻を持ち、音程感は高めで「カッ」という明瞭な音が得られます。奏法による違いは大きく、以下の点で音色をコントロールできます。

  • 打つ位置:中央を叩くとやや低めで深い音、端寄りを叩くと鋭く高い音が出ます。
  • スティックの種類:スネアドラムのスティック、木琴のビーター、柔らかいマレットなどで音色が変わります。硬いスティックは明快で鋭い音、柔らかいビーターは丸みのある音になります。
  • 強弱とニュアンス:強く叩くとアタックが際立ち、弱く叩くとリズムのアクセントとして馴染みます。手でミュート(押さえる)して余韻を短くすることも可能です。
  • 複数のブロックを使う:音程の異なる複数のブロックを並べてメロディやリズムの色付けに使うことができます(テンポルブロックのセット等)。

歴史と用途

ウッドブロックは東アジアに起源をもち、寺院での合図や儀式で使われた木製の打楽器が前身です。欧米には19世紀末から20世紀初頭にかけて伝わり、オーケストラや吹奏楽、映画・舞台音楽で効果音的に用いられるようになりました。クラシックでは作曲家がアクセントやリズム効果として採用し、現代の映画音楽やポピュラー音楽でもリズムセクションの一部として登場します。大編成のオーケストラでよく聴く例としては、バーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」などが挙げられます。

使い方の実例と注意点

  • オーケストラや吹奏楽:リズムのアクセント、効果音、打楽器の色彩として使用。
  • 民族音楽・宗教儀礼:合図や拍子取りとして伝統的に利用。
  • ロック/ポップ/ラテン:パーカッシブなアクセントやグルーヴの強調に使われることがある。

注意点として、木材は温度や湿度の変化に敏感なので、ひび割れを防ぐために急激な環境変化を避け、適切に保管してください。また、金属製の強い先端で叩くと割れや音質劣化の原因になるため、用途に合ったスティックやマレットを選びましょう。

選び方と手入れ

  • 目的で選ぶ:明瞭な高音を求めるなら小型の硬木製、安定した耐久性や屋外使用が多ければプラスチック製(ジャムブロック)を検討。
  • サイズと音程:大きめはやや低めで豊かな響き、小さめは高くキレのある音。用途に合わせて選びます。
  • 手入れ:乾燥やヒビを防ぐため湿度管理を行い、表面の汚れは柔らかい布で拭きます。必要以上にオイルを塗らない方が自然な音色を保てます。

ウッドブロックは構造がシンプルながら、打ち方や材質で多彩な音色を生み出す打楽器です。オーケストラや吹奏楽の一部としてだけでなく、現代の様々な音楽ジャンルでもリズムを際立たせる重要な役割を担っています。

このウッドブロックは、チューブのような形をしていますZoom
このウッドブロックは、チューブのような形をしています



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