カリフォルニア州バークレーにあるローレンス・バークレー国立研究所のAdvanced Light Source (ALS)は、シンクロトロン光源です。1987年から1993年にかけて建設され、1993年に運転を開始しました。ALSは低エネルギーのストレージリング(設計エネルギー約1.9 GeV、周長は約196メートル)を用い、特に紫外線から軟X線領域に強い輝度と高いコヒーレンスを提供することで知られています。現在、研究・運営に関わる科学者や技術スタッフが多数在籍しています。
特徴と用途
ALSは国立のユーザー施設として、幅広い分野の基礎研究や応用研究に用いられています。提供する光は高い時間・空間分解能とエネルギー制御性を持ち、次のような研究に特に有用です。
- 材料科学(ナノ構造解析、界面・表面研究、磁性体の電子状態)
- 化学(触媒反応の分子レベル観察、反応中間体の同定)
- 生物学・生命科学(タンパク質結晶構造解析、細胞・組織のイメージング)
- 環境科学(微量元素分析、大気・土壌中粒子の同定)
- ナノテクノロジー(ナノフォトニクス、デバイス評価)
設備と技術
ALSには40本以上のビームラインがあり、各ビームラインは特定の実験手法(分光、顕微鏡、回折、イメージング、時間分解測定など)に特化しています。光源としては、undulatorや
利用者プログラムとアクセス
ALSは、科学技術研究のための国際的ユーザー施設であり、毎年世界中から2000人以上の研究者が利用しています。利用を希望する研究者はビームラインの使用申請(プロポーザル)を行い、他の研究者による査読(ピアレビュー)を経て採択されれば実験が行えます。一般に、研究成果が公開されることを条件に、利用料は免除される利用枠が提供されています(商業利用や特殊なサポートを要する場合は有料となることがあります)。
運営と資金
ALSは米国エネルギー省(Department of Energy, DOE)の基礎エネルギー科学局(Office of Basic Energy Sciences)から資金提供を受ける国立研究施設です。運営はラボ内の専任スタッフが行い、ビームラインの維持管理、ユーザーサポート、放射線安全管理などが組織的に行われています。
ALS-U(アップグレード)
より高い輝度とコヒーレンスを求める研究ニーズに応えて、ALSでは大規模な改修計画「ALS-U」が進行中です。ALS-Uによりビームの集光性や時間・空間コヒーレンスが大幅に向上し、ナノスケールでの高分解能イメージングや高速現象の追跡など、新しい実験手法の実現が期待されています。改修に伴うビームラインの更新や新規ビームラインの追加も計画されています。
成果と社会的意義
ALSから得られたデータは、材料開発、エネルギー変換(触媒・電池)、環境分析、医学生物学など多くの分野で基礎知見や応用技術につながっています。産学官連携のプロジェクトや産業利用も活発で、新材料や診断法、プロセス改良など実社会への波及効果も大きい施設です。
The Advanced Light Sourceの現在のディレクターはRoger Falconeです(記載は執筆時点の情報に基づきます)。