サイクロトロンとは:粒子加速器の定義・仕組み・歴史と用途
サイクロトロンの定義・仕組み・歴史と用途を図解でわかりやすく解説。発明背景から医療・研究利用まで基礎知識を短時間で習得。
サイクロトロンとは、1930年にカリフォルニア大学バークレー校のアーネスト・ローレンスによって発明された粒子加速器の一種。サイクロトロンは、荷電粒子を円の中で回転させて加速する。最初のサイクロトロンは手のひらサイズでした。最近の円形加速器の中には、市の幅ほどの円を使うものもある。
サイクロトロンは、磁界を垂直にして電界をかけ、電子や粒子を半円状に曲げて通過させます。この電界により、磁界領域のD電極(deesとも呼ばれる)間の電子が加速される。
電子が半円を描き終える頃に加速電界が反転し、ギャップを越えて加速されるのだ。電子の速度が上がると、より大きな半円を描くようになります。これを何度か繰り返すと、電子は出口から高速で出てくる。
仕組み(基本原理)
サイクロトロンは円周方向に荷電粒子を螺旋状に加速します。主な構成要素は恒久または電磁の磁石、D字型電極(dees)、および高周波(RF)電源です。
- 磁場:円軌道を維持するために、軌道面に垂直な磁場を与えます。磁場が一定だと、粒子の角周波数はおおむね一定で、これがサイクロトロンの同期性を支えます。
- RF電場:dees間のギャップに交互に反転する電界を印加し、粒子がギャップを越えるたびに速度(運動エネルギー)を増やします。
- 軌道半径の増加:速度が増すと遠心力により半径が大きくなり、粒子は中心から外側へ螺旋状に移動します。
理想的な(非相対論的)場合、サイクロトロン周波数 f は次の式で与えられます:
f = qB / (2πm)(q:電荷、B:磁場、m:質量)。このため一定のBと粒子種を選べば、RF周波数は一定でよい、という特徴があります。
種類と改良(相対論効果への対応)
- 古典的サイクロトロン:非相対論的エネルギー領域で有効。磁場とRF周波数が固定されます。
- シンクロサイクロトロン(synchrocyclotron):粒子が相対論的になり質量が増えると共鳴周波数が変化するため、RF周波数を変化させて同期を保つ方式。これによりより高エネルギーまで加速可能になりますが、パルスビームになることが多いです。
- 等時円周サイクロトロン(isochronous cyclotron):磁場を半径方向に工夫して大きくすることで、相対論的質量増加を補正し、RF周波数を一定にしたまま連続ビームで高エネルギー化できます。医療用や放射性同位体製造で多用されます。
- 分離セクタ(separated-sector)型や超伝導磁石を用いた小型高磁場型:大きな出力や高エネルギーを、小型化して実現するための設計です。
抽出方法
- 電気的偏向子(electrostatic deflector):軌道の外周で粒子を電場でわずかに偏向させ、加速領域から取り出します。
- ストリッピング法:負イオン(例:H−)を加速し、目標前で薄いフォイルに通すと電子が剥ぎ取られて陽子になり、磁場の影響で軌道が変化して取り出せます。医療用プロトン源などでよく使われます。
歴史と発展
- 1930年代:アーネスト・ローレンスが初期の実験的サイクロトロンを開発。これにより比較的高エネルギーの粒子を小型装置で得られるようになり、核物理学・放射化学の発展に寄与しました。
- 1939年:ローレンスはサイクロトロンの業績によりノーベル物理学賞を受賞(受賞理由は「サイクロトロンの発明と発展」)。
- 戦後~現代:等時円周型やシンクロサイクロトロン、分離セクタ型、超伝導磁石を使った小型高性能機が登場し、研究・医療・産業用途が拡大しました。
用途(代表例)
- 医療:プロトン治療(がんの放射線治療)、および放射性同位体(例:18F、11Cなど)製造のための病院用小型サイクロトロン。
- 核物理・素粒子研究:ビームを用いた散乱実験や核反応の研究。
- 物質科学・材料解析:イオン照射による材料改質、薄膜作製、イオンビーム分析。
- 中性子源:ターゲットに高エネルギー粒子を当てて中性子を生成し、検査や材料試験に利用。
- 産業応用:イオン注入、トレーサーの製造、非破壊検査用の放射線源など。
利点と限界
- 利点:構造が比較的単純で連続的なビームが得られやすく、医療・同位体製造用途で実績がある。小型化が可能で病院内設置ができる機種もある。
- 限界:粒子が相対論的速度に達すると同期が崩れやすく、単純型では高エネルギー化に限界がある(これがシンクロ/等時改良の動機)。大型化すると磁石や真空系のコストと遮蔽が増える。高エネルギー運転では中性子放出などによる装置の活性化(放射化)や安全対策が重要。
現代の動向
- 超伝導磁石を用いた小型で高磁場のサイクロトロンが開発され、設置スペースを小さくしつつ高性能を達成している。
- 医療分野では、より高精度なビーム制御と小型化により、プロトン治療装置の普及が進んでいる。
- また、同位体需要の増加に応じて、病院や地域施設向けのコンパクトな同位体製造用サイクロトロンが多数導入されている。
まとめると、サイクロトロンは円形軌道を利用して荷電粒子を効率よく加速する装置で、発明以来改良を重ねながら研究・医療・産業で幅広く用いられています。用途や必要エネルギーに応じて設計(古典型、シンクロ型、等時型、超伝導型など)を選び、抽出法や安全対策を組み合わせて運用されます。

放射線治療用の最新型サイクロトロン
サイクロトロン周波数
サイクロトロンの中で動いている電荷は、一定の磁場の影響を受けて円軌道を描きます。1回の軌道が完成するまでの時間を計算すると
T = π 2r v = π2 m v q B v = π2 m q B {\displaystyle T={{{2\pi r}{v}}={{2\pi mv}{qBv}}={{{2\pi m}{qB}}}} .
その結果、周期は半径に依存しないことがわかりました。したがって、角周波数qB/mの矩形波を印加すると、電荷は外側に向かって螺旋状に速度を増していきます。
角周波数ω=qB/mの矩形波を両側の磁極の間に印加すると、電荷はちょうど良いタイミングで再び昇圧され、ギャップを越えて加速される。このように、サイクロトロン周波数が一定であれば、電荷を加速し続けることができる(相対論的でない限り)。
質問と回答
Q:サイクロトロンとは何ですか?
A:サイクロトロンは粒子加速器の一種で、荷電粒子を円形に回転させることで加速させます。
Q: サイクロトロンを発明したのは誰ですか?
A: 1930年にカリフォルニア大学バークレー校のアーネスト・ローレンスがサイクロトロンを発明しました。
Q: サイクロトロンはどのように動作するのですか?
A: サイクロトロンは、垂直磁場によって電子や粒子を半円の軌道に曲げ、電界を印加しています。印加された電場は、磁場領域の「D」電極(「ディーズ」とも呼ばれる)間の電子を加速させます。電子が半円を描くタイミングで加速電界が反転し、電子を加速してギャップを通過させる。より速い速度で、より大きな半円を描くように移動する。これを何度か繰り返すと、出口から高速で出てくる。
Q:初期のサイクロトロンの大きさは?
A: 初期のサイクロトロンは手のひらサイズでした。
Q: 現代の円形加速器はどのくらいの大きさですか?
A: 最近の円形加速器では、都市と同じ幅の円を使うものもあります。
Q: サイクロトロンではどのような磁場が使われているのですか?
A: サイクロトロンは、垂直磁場によって電子や粒子を半円状に曲げ、電場を印加しています。
Q: サイクロトロンでは、どのように電子を加速するのですか?
A: 磁場領域のD電極(ディーズ電極とも呼ばれる)間で、印加電界により電子を加速します。
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