2017年のフランス大統領選挙は、2017年5月7日に行われたフランスの大統領選挙で、政治地図が大きく塗り替えられた選挙でした。現職の大統領であるフランソワ・オランドは、任期中の支持率低下を理由に再選出馬を断念し、従来の主要政党が低迷する中で新しい政治勢力が台頭しました。
立候補者は非常に多様で、既存の右派・左派の有力候補に加え、新党や小党の候補も相当数いました。主な候補者と属性は次の通りです(代表的なものを抜粋):
- Debout la France(独立主義系) — Nicolas Dupont-Aignan
- 国民戦線 — Marine Le Pen(移民規制・EU懐疑を掲げる極右)
- En Marche! — Emmanuel Macron(中道・親EUの新興勢力)
- 社会党 — Benoît Hamon(社会党の候補として出馬)
- 新左派/反資本主義系 — フィリップ・プウトゥ(Nouveau Parti Anticapitaliste)
- 労働者闘争(Lutte Ouvrière) — ナタリー・アルトー(Nathalie Arthaud)
- 連帯と進歩(Solidarité et Progrès) — ジャック・シュミナード(Jacques Cheminade)
- Résistons! — ジャン・ラサール(Jean Lassalle)
- La France insoumise — ジャン・リュック・メランション、(急進左派、反緊縮・反欧州統合寄りの主張)
- 「人民共和国連合」関連候補 — フランソワ・アセリノー(France souveraine 系)「人民共和国連合」
- 「共和党」(共和派) — フランソワ・フィヨン(保守派の有力候補)「共和国」
選挙は2回投票制で行われ、2017年4月23日の第1回投票(第一回投票)では、Emmanuel Macronが約24%、Marine Le Penが約21%の得票を得て1位・2位となり、両者が5月7日の決選投票(第2回投票)に進出しました。従来の主要政党である共和党(Les Républicains)や社会党(PS)は支持を大きく切り崩され、フランソワ・フィヨンやジャン=リュック・メランションらがそれぞれ第1回で健闘したものの、最終的にはマクロンとルペンの対決になりました。
第2回投票の結果は、Emmanuel Macronの圧勝で、マクロンが約66%、ルペンが約34%を獲得しました。マクロンは39歳で当選し、フランス史上最年少の大統領となるとともに、従来の左派・右派の二大政党を超えた新しい中道勢力の勝利として注目されました。
勝因と背景には以下のような要素がありました:
- 既存政党の弱体化:オランド政権下の社会党の支持低下、保守系のフィヨン候補を襲ったスキャンダル(いわゆる「ペネロペゲート」)などで伝統的な政党が信頼を失った。
- マクロンの中道・刷新路線:2016年に結成したEn Marche!を軸に、既存の左右枠にとらわれない改革志向と欧州統合支持を掲げ、若年層や都市部の支持を集めた。
- 極右の躍進とそれへの反発:Marine Le Penは移民・治安・EU批判で強い支持を得たが、決選投票では「共和主義者」や「反極右」傾向の有権者がマクロンに集まった。
- 政治的分断と新しい選挙力学:メランションら急進左派や小党の支持も無視できず、投票行動が従来の左右二分法では説明しにくくなった。
選挙後、マクロンは中道連合を基盤に首相に共和党出身のエドゥアール・フィリップを任命し、2017年6月の総選挙でも新党系が大勝して議会の過半数を確保しました。これにより、マクロン政権は労働市場改革や企業支援、欧州統合の推進といった政策を比較的円滑に進める基盤を得ましたが、一方で反発や抗議も続き、社会的な調整課題は残りました。
総じて、2017年のフランス大統領選は、従来型の政党政治の解体と新たな中道勢力の台頭を示す分岐点となり、欧州全体の政治潮流にも大きな影響を与えました。








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