両唇鼻音(/m/)とは:定義・発音方法・国際音声記号と例
両唇鼻音 /m/ の定義・発音方法・国際音声記号(⟨m⟩)と世界の使用例を分かりやすく解説。初心者向け発音練習と代表語を掲載。
両唇鼻音(/m/)は子音の一種で、唇(両唇)を閉じ、軟口蓋を下げて鼻腔から空気を抜くことで作られる音です。声帯は振動するため、音声学的には「有声両唇鼻音」として分類されます。多くの言語で非常に一般的な音で、国際音声記号ではこの音を表す記号は ⟨m⟩、X‑SAMPA でも ⟨m⟩ です。
発音方法(調音の手順)
- 両唇を閉じる:上下の唇をしっかり合わせて気流を口腔側で止めます。
- 軟口蓋を下げる:口腔の気流を鼻腔へ逃がすために軟口蓋(velum)を下げます。
- 声帯を振動させる:声帯を振動させて有声の共鳴を作ります(これが /m/ が有声である理由です)。
- 音の放出:唇を開放して放出することもありますが、語末や同音節内で閉鎖のまま終わることもあります(例:英語の "map" [mæp] や "rum" [rʌm])。
記号と変種
- 標準的な表記:IPA ⟨m⟩、X‑SAMPA ⟨m⟩。
- 無声化した変種:稀に無声の両唇鼻音 [m̥] が現れることがあります(主に音声現象や隣接音の影響で)。
- 音素的・隣接による変化:非母語的環境や同化で、/m/ に似た 唇歯鼻音 [ɱ] が現れることがあります(例:/n/ が /f, v/ の前で唇歯鼻音に同化する場合)。
- 音節化:語末や弱形で鼻音が音節化して [m̩] のように振る舞うことがあります(例:英語の "prism" の発音変種など)。
分布と例
ほぼすべての自然言語に存在するため、言語獲得でも比較的早期に出現する音です。一般的な例:
- 日本語:ま /ma/、む /mu/ など(「ま」の先頭音は [m])。
- 英語では map や rumの「m」で確認できる(例:map [mæp]、rum [rʌm])。
- スペイン語:mano [ˈmano](手)。
- フランス語:maman [mamɑ̃](お母さん)。
- ロシア語:мама [ˈmama](ママ)。
- アラビア語、スワヒリ語など多くの主要言語にも存在します。
一方で、まれにこの音をほとんど使わない言語もあります(例としてしばしば挙げられるのがモホーク語など)。
音韻的振る舞いと同化
- 同化:鼻音は隣接する閉鎖音の調音位置に同化しやすいです。たとえば接頭辞 in- は /p, b, m/ の前で [m] に同化して im‑ と発音される(impossible など)。
- 鼻調和・鼻化:一部の言語では鼻音が語内で他の母音や子音に影響を与え、鼻化を引き起こすことがあります。
- 連音・脱落:会話速成や方言により、/m/ が脱落したり短縮されたりすることがありますが、一般には安定した子音です。
習得と生理学的理由
乳幼児が比較的早期に /m/ を発音できることが多いのは、両唇閉鎖と鼻呼吸が授乳などの身体動作と結びついているためで、発声しやすく習得しやすい子音だからです。
まとめると、両唇鼻音 /m/ は有声で鼻腔共鳴を伴う基本的な子音で、世界のほとんどの言語に見られ、発音・音韻挙動ともに安定した特徴を持っています。
質問と回答
Q:有声両唇鼻音とは何ですか?
A:有声両唇鼻音は子音の一種である。
Q:この音を表す国際音声記号は何という文字ですか?
A: この音を表す国際音声記号は⟨m⟩です。
Q: X-SAMPAでこの音を表す記号は何ですか?
A:この音のX-SAMPAの記号は⟨m⟩です。
Q:英語はこの音を使うのですか?
A:はい、英語にはこの音があり、mapやrumの「m」で表される音です。
Q:この音を含まない言語はありますか?
A: いくつかの言語(例えば、モホーク語)は、この音をあまり使いません。
Q:どれくらいの話し言葉が有声両唇鼻音を使うのですか?
A: ほぼすべての話し言葉がこの音を含んでいます。
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