エレーナ・ミラシナ — 人権擁護と暗殺事件を追うノヴァヤ・ガゼータ記者
エレーナ・ミラシナ—ノヴァヤ・ガゼータの調査記者が人権擁護と暗殺事件の真相を追う。受賞歴を持つ勇気ある報道の全貌を描く衝撃ルポ。
エレナ・ミラシナ(ロシア語:Милашина, Елена 1978年生まれ)は、ノヴァヤ・ガゼータ紙の調査報道記者である。主に北カフカス地域、特にチェチェン共和国における人権侵害、恣意的拘束、拷問、失踪事件や民間人に対する暴力などを長年にわたり追及してきた。報道はしばしば政府や地域権力者を批判する内容となり、そのために繰り返し脅迫や圧力の対象になっている。
経歴と主な取材分野
エレナ・ミラシナはノヴァヤ・ガゼータの主要な調査記者の一人として、現地取材と目撃者・被害者の証言に基づいた詳細なルポルタージュを多数発表している。報道の焦点は以下のような人権問題に向けられている:
- チェチェンや北カフカスでの恣意的拘束・失踪・拷問
- 民間人や反体制派に対する暴力・集団処罰
- 女性や性的少数者(LGBTQ+)に対する迫害や差別
- 司法や行政の不正、情報隠蔽
脅迫と襲撃
2006年、同紙の同僚であるアンナ・ポリトコフスカヤがモスクワで暗殺された後も、ミラシナは調査報道を続けている。彼女自身も取材の過程で複数回の脅迫や嫌がらせを受けており、命の危険にさらされることがある。
2012年4月5日早朝、モスクワのバラシカ地区で、正体不明の2人組がミラシナと彼女の友人エラ・アソヤンを襲撃した。両者は暴行を受け負傷したが、その後もミラシナは取材活動を継続している。この事件は国際的にも注目され、記者や人権擁護者に対するロシア国内での安全問題が改めて問題視された。
受賞と国際的評価
ミラシナの人権報道は国内外で高い評価を受けている。2009年にはヒューマン・ライツ・ウォッチのアリソン・デ・フォルジュ賞(特別活動家賞)を受賞し、2013年には「国際勇気ある女性賞」を受けるなど、国際的な人権団体や機関から功績が認められている。
現在の状況と意義
国内での圧力や危険が高まる中でも、エレナ・ミラシナは被害者の声を拾い上げ、記録を残すことを続けている。彼女の報道は、国際社会による人権監視の重要な情報源となっており、法の支配や公的責任を問う上で欠かせない役割を果たしている。

ケリー国務長官、ミシェル・オバマ大統領夫人とエレナ・ミラシナさん2013年3月8日
関連ページ
- 2013年国際女性勇気賞、米国務省フォトストリーム on Flickr
- 長官国際勇気ある女性賞(米国国務省)
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