フレデリック・サンガー OM CH CBE FRS FAA (/ˈsæŋər/; 13 August 1918 - 19 November 2013)は、イギリスの生化学者。
サンガーはノーベル化学賞を2度受賞している唯一の人物です。サンガーは、個人で、あるいは他の人と同時に2つのノーベル賞を受賞した4人目の人物です。
1958年には、「タンパク質の構造、特にインスリンの構造に関する研究」でノーベル化学賞を受賞しました。
1980年、ウォルター・ギルバートとサンガーは化学賞の半分を「核酸の塩基配列の決定に関する貢献に対して」分け合いました。残りの半分は、「核酸の生化学の基礎的研究、特に組換えDNAに関する彼の研究に対して」ポール・バーグに与えられました。
生涯と経歴
サンガーは1918年にイングランドのRendcombで生まれ、ケンブリッジ大学で化学・生化学を学びました。大学院での研究を経て、分子生物学と蛋白質化学の分野でキャリアを築き、ケンブリッジの研究機関やMRC(医科研)研究所で長年にわたり研究を続けました。晩年まで現場での実験を好み、後進の教育や研究指導にも力を注ぎました。
インスリンの構造決定(1958年ノーベル化学賞)
サンガーの初期の業績で最も有名なのは、タンパク質のアミノ酸配列を決定する技術の開発と、その技術を用いたインスリンの完全な一次構造の解明です。彼は1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(FDNB、いわゆる「サンガー試薬」)を用いてペプチド鎖のN末端を標識し、断片化と分析を繰り返すことでインスリンの二本のポリペプチド鎖の配列を決定しました。この成果は「タンパク質は特定の配列をもつ」という概念を確立し、分子生物学の基盤を作る重要な一歩となりました。
核酸塩基配列決定法(サンガー法)とその影響(1980年ノーベル化学賞)
後年、サンガーはDNAの塩基配列を決定するための「ジデオキシ鎖終止法(サンガー法)」を開発しました。この方法では、DNA合成を行う反応にジデオキシヌクレオチド(ddNTP)を混入することで合成が特定の塩基で止まり、結果としてさまざまな長さの断片が得られます。得られた断片を長さ別に分離して読み取ることで、配列を決定します。サンガー法は精度が高く、当時の技術で大量の配列決定を可能にしたため、微生物からヒトに至るまで多くのゲノム研究や遺伝子解析に広く使われました。ヒトゲノム計画でも初期段階で重要な役割を果たしました。
業績と受賞・栄誉
- 1958年:インスリンの構造研究によりノーベル化学賞を単独受賞。
- 1980年:核酸の塩基配列決定に関する業績によりウォルター・ギルバートとともにノーベル化学賞を受賞(ポール・バーグと分割)。
- その他にも多くの学術的栄誉(FRS、CBE、CH、OM 等)や各国からの表彰・名誉学位を受けています。
人物像と遺産
サンガーは科学的業績だけでなく、その謙虚で実験を重んじる姿勢でも知られていました。華々しい表彰を受けつつも、研究室での着実な作業と簡潔な発想を重視し、多くの研究者を育てました。サンガー法はその後の自動化と高スループット化によりさらに発展し、次世代シーケンシング技術へとつながる道を開きました。彼の研究は分子生物学、遺伝学、バイオテクノロジー分野における基礎を築き、現代の生命科学研究に大きな影響を与え続けています。
サンガーは2013年11月19日に95歳で亡くなりましたが、その業績と影響は現在も科学界で広く評価されています。

