夏眠(Aestivation)とは:定義・原因・代表例
Aestivation(アメリカでは estivation とも呼ばれる)は、動物の休眠状態の一種です。活動を止め、エネルギー消費や生理活動を抑えることで、高温や乾燥などの過酷な環境を乗り切るための適応です。
概要と特徴
- 冬に起こる冬眠と類似しますが、誘因は主に高温や乾燥であり、季節名としての「夏」に限定されるわけではありません。
- 休眠中は体温や代謝率が低下し、摂食や移動といった通常の活動が停止します。
- 目的は主に「高温による組織の損傷回避」と「体内水分の保存」です。
生理的なしくみ
種によって詳しいメカニズムは異なりますが、一般的には以下のような変化が見られます。
- 代謝の抑制:エネルギー消費を下げ、貯蔵したエネルギーを長持ちさせる。
- 水分保持:表皮や殻で気密化したり、粘液やコクーンで体を覆って蒸発を防ぐ。
- 行動的戦略:穴を掘って土中に潜る、岩陰に隠れる、泥の中で休止するなどの物理的回避。
誘因(原因)
- 高温:持続的な気温上昇は代謝ストレスやタンパク質障害を引き起こすため、活動停止でダメージを避ける。
- 乾燥した環境:水分蒸発の増加を避けるための戦略として休眠に入る。
- 餌資源の枯渇や季節的環境変化も誘因となり得る。
代表的な例と多様性
多くの動物門にわたり夏眠が観察されています。以下は代表例です。
- 無脊椎動物や脊椎動物の双方に見られる行動で、陸上生物だけでなく水中の生物でも確認されています。
- ナイルクロコダイルなど一部の爬虫類は、乾季に合わせて泥の中に潜って活動を抑えることがあります。
- カタツムリは殻の中で粘液の「蓋(epiphragm)」を作り、蒸発を防いで長期間休眠することがあります。
- テントウムシなどの昆虫も高温乾燥期に集団で越冬(夏眠)する・休眠する例があります。
- リュウグウノツカイはデボン紀からこれを行っていた、という報告(古生物学的・系統学的な示唆)もあります。
- その他:両生類(アリスカエル類など)、一部の硬骨魚類(泥中で休眠するもの)、土中で休眠する線虫や昆虫の幼虫など。
冬眠との違い・混同されやすい用語
- 冬眠(hibernation)は低温・低資源期に適応した休眠である一方、夏眠(aestivation)は高温・乾燥期に適応した休眠です。
- 「休止(torpor)」や「休眠(dormancy)」「夏期休眠(summer dormancy)」など用語が使い分けられるため、文脈依存で意味が変わることがあります。
生態学的意義と応用
- 個体の生存率を高め、種の分布や繁殖時期の最適化に寄与します。
- 気候変動の影響を受けやすく、極端な高温化や干ばつが生態戦略を変える可能性があるため、保全面で注目されています。
- 動物福祉や保護区管理、農業害虫の発生予測など実用的な応用もあります。
持続期間と復帰
休眠の期間は種や環境条件によって数日〜数年と幅広いです。復帰(覚醒)は主に温度と水分条件が改善されたときに起こり、体内の代謝やホルモン調節が再び活性化します。
研究上の注意点
夏眠は多様な適応を含む複合的な現象であり、種ごとの生理や行動、環境条件を正確に把握する必要があります。標本観察だけでなく、実験的な生理測定やフィールドでの長期観察が重要です。
まとめ:夏眠(Aestivation)は高温・乾燥に対する重要な生存戦略で、無脊椎動物から脊椎動物まで幅広く見られます。種ごとの具体的なメカニズムや期間は多様であり、気候変動時代にはその理解がますます重要になります。


南オーストラリア、カディナのフェンスの柱の上で休息する導入されたTheba pisanaカタツムリ
関連ページ
- トルポ
- ドーマンシー
- 冬眠
質問と回答
Q:アエスティベーションとは何ですか?
A: 動物が寒いときではなく、暑いときに眠るように休眠することです。
Q: 冬眠とどう違うのですか?
A:冬眠と似ているのは、どちらも動物の動きが鈍くなり、エネルギー(食べ物)の消費量が減るからですが、冬眠は寒い時ではなく、暑い時に起こります。
Q: 動物はいつ休眠するのですか?
A:気温が高く、天候が乾燥しているときに、暑さや乾燥で死ぬのを避けるために、動物は休息をとります。
Q:何百万年前から、どのような動物が羽化していたのでしょうか?
A: 肺魚は数百万年前のデボン紀の頃から、ずっと休眠を続けています。
Q:暑さや乾燥による死亡を避けるために有食化する動物は?
A:無脊椎動物も脊椎動物も、暑さや乾燥による死亡を避けるために羽化しています。
Q:陸棲の動物も水棲の動物も、羽化をするのですか?
A:はい、陸棲動物も水棲動物も同じように羽交い絞めをします。
Q: 動物の中で羽化するものの名前を教えてください。
A:ナイルワニ、カタツムリの仲間、テントウムシなどです。