スポーツコメディ映画については、「Ladybugs」を参照してください。
テントウムシは、コクヌストモドキ科の甲虫です。多くの種は捕食者に対して身を守るために、アルカロイドやシアン化合物を含むことのある毒性をもつ体液を分泌し、赤地に黒斑などの明瞭な警告色(アポセマティズム)で捕食者に注意を促します。
一般には「テントウムシ」や「てんとう」と呼ばれますが、生物学者は「coccinellid」や「lady beetle」という言葉を好んで使っています。
特徴
- 形態:多くは丸みのある半球形の体で、色・斑紋は種によって多様です。体長は数ミリから約1センチ台のものが一般的ですが、種により差があります。
- 防御:危険を感じると脚の付け根から血液(ヘモリンパ)を出す「反射出血」を行い、苦味や毒性で捕食者を遠ざけます。
- 毒性の性質:分泌物にはアルカロイド類が多く含まれ、シアン化合物を含む場合もありますが、一般に市販の物質である青酸カリそのものを主体とするわけではありません。
分布と種多様性
コクヌストモドキ科は世界中に広く分布し、5,000種以上が知られています。色や斑点のバリエーションが非常に豊富で、生息環境も森林、草地、農地、庭、公園など多岐にわたります。
食性と生態
ほとんどの種は食虫性で、主に半翅目の昆虫(特にアブラムシ、カイガラムシなど)を食べます。成虫も幼虫も捕食性の種が多く、農業や園芸での重要な天敵として働きます。
- 幼虫:テントウムシの幼虫は見た目がアリに似た細長い形をしており、アブラムシを次々と捕食して成長します。
- 例外:一部の種(エピラフナ亜科など)は植物食性であり、作物に被害を与える害虫となることがあります。
- 生活環:卵→幼虫(複数回の脱皮)→蛹→成虫という完全変態を行い、多くは葉の裏などに産卵して密集して育ちます。
農業における役割と利用
テントウムシは天敵として古くから評価され、アブラムシ防除の重要な自然天敵です。化学農薬を減らしたり、天敵を保護する「保護的生物防除」や「集約的な生物防除」などで活用されます。ただし、導入や放飼を行う際は帰化・外来種の影響にも注意が必要です。
外来種と問題点 — Harmonia axyridis(harlequin ladybug)
Harmonia axyridis (harlequin ladybug)は、1988年にアブラムシ駆除のためにアジアから北米に導入されました。以来、極めて繁殖力が強く、在来のテントウムシを圧迫して生態系のバランスを乱す事例が各地で報告されています。特徴として、色・斑紋に大きな変異があり、集団で越冬のため建物に侵入して室内に多量に発生したり、果実などを汚すこと、アレルギー反応を引き起こすことが問題とされています。ヨーロッパや日本でも分布拡大が進んでおり、2004年にはイギリスにも定着しました。
天敵・寄生者と個体数調節
鳥類やクモ、アシナガバチなどが天敵ですが、テントウムシの毒性やアポセマティックな外見が捕食を抑制します。さらに寄生蜂(例:Dinocampus coccinellae のような寄生ハチ)や菌類、病原体も個体群を制御します。
害虫駆除での注意点
- 在来種保全:外来のテントウムシを無分別に放すと在来種が排除されることがあるため、導入は慎重に行ってください。
- 農薬選択:広範囲の殺虫剤はテントウムシも殺してしまうため、選択的な防除や天敵保全を優先することが推奨されます。
- 屋内での対処:越冬で建物に入る場合は隙間の封鎖や換気で追い出すなど、物理的・予防的対策が有効です。大量発生時は専門業者に相談してください。
代表的な種
- Coccinella septempunctata(ナナホシテントウ) — 世界的に広く見られる代表種。
- Harmonia axyridis(ハルレキンテントウ / harlequin ladybug) — 外来化して問題となる種。
- そのほか地域ごとに固有種や普通種が多数存在します。
テントウムシはその愛らしい外見から人々に親しまれる一方、外来移入や農薬の影響で生態系や農業に影響を与えることもあるため、生息状況や種の判別、保全と利用のバランスを考えることが重要です。



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