エリザベス・リン・チェイニー(Elizabeth Lynne Cheney)、通称リズ・チェイニー(1966年7月28日生)は、アメリカの弁護士・政治家であり、2017年からワイオミング州の全州選挙区を代表して連邦下院議員を務めた。共和党員として下院共和党の上級指導部に昇進し、その後、2020年大統領選挙と2021年1月6日の出来事をめぐって同党の多くと袂を分かったことで広く知られるようになった。

背景と初期の経歴

チェイニーは政治的に活動的な家庭の出身で、元副大統領のディック・チェイニーと、著述家であり公共知識人でもあるリン・チェイニーの長女である。法曹として訓練を受け、選挙で選ばれる公職に就く前は、法務および政策関連の職務に携わった。初期の経歴には、民間の法律実務や、共和党の政策圏および政府部門での職務が含まれ、国家安全保障と立法問題に関する経験を積んだ。

議会活動と指導部

チェイニーは2016年に下院議員に初当選し、2017年1月に就任した。在任中、彼女は下院共和党会議議長に選出され、この役職によって下院における共和党指導者の上位3人の一人となった。この指導的立場では、メッセージ発信や党政策協議の取りまとめに責任を負った。2021年5月12日、彼女がドナルド・トランプ大統領の2度目の弾劾を支持し、2020年選挙結果を覆そうとする動きを支持しなかったことを受け、下院共和党会議は彼女をその職から外した。その措置は、選挙後の時期と議会襲撃への責任をめぐる党内の深刻な対立を反映していた(関連する動きはこちら)。

立場、公的役割、そして2020年以後

多くの政策分野では一般に保守的立場と結び付けられてきたが、チェイニーは、憲法上の規範と選挙の公正性を守るべきだと公に強調したことで全国的な注目を集めた。2020年の選挙後、彼女はトランプ氏に対する最も目立つ共和党批判者の一人となり、結果を変えようとする試みは民主的制度を損なうと主張した。彼女の発言と行動は党内の主流派と対立し、ワイオミング州でも全米でも物議を醸す人物となった。

敗北とその後も続く影響

チェイニーは2022年に再指名を目指したが、2022年8月16日の共和党予備選で、トランプ元大統領が支持した候補に敗れた。この敗北は、多くの共和党予備選有権者の間で親トランプ感情が強いことを浮き彫りにした。選挙での後退にもかかわらず、チェイニーは共和党の進む方向、党への忠誠の限界、そして民主的手続きを守るよう選出公職者に求められる責任をめぐる議論で、なお重要な発言者であり続けた。

注目すべき事実と特徴

  • 彼女は、上級の共和党指導部ポストである下院共和党会議議長を務めた。
  • 党指導部からの除名は、2020年選挙と2度目の弾劾に対する彼女の立場と直接結び付いていた。
  • チェイニーの経歴は、伝統的な保守の外交政策観と、共和党の一部におけるポピュリスト=ナショナリスト的転換との緊張を示している。

制度上の規範を守る擁護者と見るか、党内の異論者と見るかにかかわらず、リズ・チェイニーの公務は、説明責任、指導力、そして党への帰属意識の意味をめぐる現代アメリカ政治の議論に長く影響を与えている。