Richard Bruce "Dick" Cheney, 1941年1月30日生まれ。アメリカ共和党の政治家、実業家で、2001年から2009年までアメリカ合衆国副大統領を務めた。2000年のアメリカ大統領選挙に共和党からジョージ・W・ブッシュと共に出馬し、2004年のアメリカ大統領選挙で再選に成功した。
経歴の概要
チェイニーは中西部で生まれ育ち、青年期から政治に関心を持っていた。地方選挙やホワイトハウスでの職務を経て、連邦政府で長年にわたり要職を歴任した。代表的な公職には、ジェラルド・フォード大統領下でのホワイトハウス首席補佐官(1975–1977)、ワイオミング州選出の下院議員(1979–1989)、ジョージ・H・W・ブッシュ政権での国防長官(1989–1993)、および民間に戻ってからのエネルギー企業での経営者(1990年代中盤から2000年ごろ)がある。
副大統領として(2001–2009)
2000年の大統領選でジョージ・W・ブッシュの副大統領候補に指名されて以来、チェイニーはブッシュ政権で強い実務的影響力を持った人物と評価された。特に2001年の同時多発テロ以降、安全保障・対外政策分野で中心的な役割を果たし、テロ対策、諜報活動の強化、対外軍事行動に関する意思決定で大きな影響を及ぼした。イラク戦争に至る過程での判断や、政府の行政権限を拡大する考え方(いわゆる「統治権の強化」や大統領の広範な権限の支持)などは国内外で賛否を呼んだ。
実業家・行政経験
政界を離れた時期には民間企業の経営にも携わり、エネルギーや軍需関連企業での役職を経験した。これらの経歴は、副大統領就任後に一部で利益相反の懸念や企業との関係についての批判を招いた。政治とビジネスの結びつきや政策決定プロセスにおける透明性が論点となった。
評価と論争
チェイニーは政策実行力と国家安全保障分野での経験を高く評価する向きがある一方で、判断の秘密主義、過度に強い行政権主張、拷問や強制的尋問とされた尋問手法の容認に関する論争など、批判も多い。歴史的評価は賛否両論であり、後年の研究や報告書で政策決定過程の検証が続いている。
私生活と健康
私生活では妻のリン・チェイニー(Lynne Cheney)と結婚し、娘のエリザベス(通称リズ・チェイニー)は共和党の政治家として活動している。チェイニーは長年にわたる心臓病歴があり、何度かの心臓発作や手術を経験した後、2012年に心臓移植を受けたことが公表されている。
遺産
チェイニーの政治家としての足跡は、現代アメリカの安全保障政策と行政権論争の重要な一端をなしている。支持者は強硬な安全保障政策と実務的リーダーシップを評価し、批判者は透明性や法の枠組みに関する問題点を指摘する。いずれにせよ、2000年代のアメリカ政治を形作った中心人物の一人であることは間違いない。