ロバート・バーナード・アルトマンRobert Bernard Altman、1925年2月20日 - 2006年11月20日)は、アメリカ合衆国の映画監督。ミズーリ州カンザスシティに生まれ、白血病のためカリフォルニアロサンゼルスで死去した。2006年、映画芸術科学アカデミーは彼の作品群を認め、アカデミー名誉賞を授与した。

映画『MASH』(1970)、『マッケイブ・アンド・ミセス・ミラー』(1971)、『ナッシュビル』(1975)は、米国国立フィルム登録簿に登録されている。

経歴とキャリアの概略

アルトマンは放送業界でキャリアを始め、ラジオやテレビの演出を手掛けた後、1960年代から長編映画の製作に移行して独自の作風を確立した。1969年に公開された『MASH』で広く注目を集め、以降も米国社会や人間模様を独自の視点で描いた作品を次々と発表した。

作風と影響

アルトマンの作風は、

  • アンサンブル・キャスト(多数の人物を同等に描く群像劇)
  • 重なり合う会話(オーバーラッピング・ダイアローグ)や部分的な即興演技を許容する演出
  • 現実的で多層的な物語構造、社会風刺やブラックユーモアの活用
  • 長回しや空間の活用による音響と映像の同時演出

といった特徴で知られる。これらは従来のハリウッド的映画語法とは一線を画し、後のインディペンデント映画や作家主義的な監督たちに大きな影響を与えた。

主な作品(抜粋)

  • MASH(1970)— 戦争と権威を風刺した黒いユーモアで大ヒットし、アルトマンの名を世界に知らしめた。
  • マッケイブ・アンド・ミセス・ミラー(1971)— 西部劇のジャンルを逆手に取った詩的で空気感のある作品。
  • ロング・グッドバイ(1973)— フィリップ・マーロウものの再解釈で、私立探偵物語を独自の視点で描いた。
  • ナッシュビル(1975)— 多数の登場人物を通してアメリカの文化と政治を描く大作、評論家から高い評価を受けた。
  • 3 Women(1977)、ポパイ(1980)などジャンルを横断する多彩な作品群
  • ザ・プレイヤー(1992)、ショート・カッツ(1993)、ゴスフォード・パーク(2001)— 晩年にも精力的に活動し、現代社会や映画業界そのものを題材にした作品で再評価された。

受賞と評価

生前は賛否両論を呼ぶこともあったが、映画界からは強い敬意を集めた。上で触れた複数の作品が米国の文化的に重要な映画として評価され、国立フィルム登録簿に登録されている。2006年にはアカデミーからアカデミー名誉賞が贈られ、その功績が改めて称えられた。

遺産

アルトマンは演出技法や物語構造において多くの映画作家に影響を与え続けている。俳優へ自由を与える演出法や、群像劇を通じて社会を切り取る手法は、現在の映画表現の幅を広げる一因となった。映画史に残る先駆的な作家監督の一人として評価されている。