トニ・ミシェル・ブラクストン(Toni Michelle Braxton、1967年10月7日、メリーランド州セヴァン生まれ)は、アメリカのR&Bシンガーソングライター、レコードプロデューサー、女優として広く知られています。主にトニ・ブラクストンの名で活動し、ハスキーで深みのあるアルトの声質(アルト・ヴォーカルの音色)と感情豊かなバラードで人気を博しました。キャリアを通じて、7つのグラミー賞、7つのアメリカン・ミュージック・アワード、および5つのビルボード・ミュージック・アワードなど多数の受賞歴を持ち、アメリカレコード産業協会(RIAA)は彼女を史上最も売れたアーティストの一人として挙げています。世界でのアルバム累計売上は約4,000万枚以上とされています。
ブレイクと代表作
ブラクストンのセルフタイトル・デビューアルバム『Toni Braxton』(1993年)は、ビルボード200アルバム・チャートで1位を獲得し、商業的に大成功を収めました。アメリカではRIAAより8倍のプラチナ認定を受け、この作品は全世界で1,000万枚以上を売り上げています。続くセカンド・アルバム『Secrets』(1996年)も同チャートで1位を記録し、シングル曲「You're Makin' Me High」と「Un-Break My Heart」はビルボード・ホット100で共に1位を獲得。「Un-Break My Heart」は特に長期間にわたりチャート上位に留まり、ブラクストンの代表曲として広く知られています。
その後の作品と活動
2000年には3作目のアルバム『The Heat』を発表しましたが、これまでの2作ほどの全米1位には届きませんでした。2002年の『More Than a Woman』はチャートでトップ10入りを果たし、2001年に亡くなったアーティストアリヤの事故(飛行機事故)での喪失感が音楽シーン全体に影響を与えた時期の作品として位置づけられています。一部報道では、当時の音楽界の空気や敬意が作品に影響したとも伝えられました。
2005年の『Libra』は前作よりも好調な成績を収め、Libraはビルボード200で高位を記録しました。アルバムのジャケットはマキシム誌に「最もセクシーなアルバムカバー」の1つと評されるなど話題を呼びました。同アルバム収録曲「Stupid」は、タイラー・ペリーが監督した映画『Diary of a Mad Black Woman』(2005年)で使用されました。
2009年に音楽活動に復帰し、後にリリースされたアルバム『Pulse』はトップR&B/ヒップホップアルバムチャートで1位を獲得するなどジャンル内での存在感を示しました。また、テレビ出演や舞台、シングル・コラボレーションなど多岐にわたる活動を続けています。
受賞と記録
歌声・影響
ブラクストンはその特有のハスキーで温かみのあるアルトヴォイスと、感情表現に優れた歌唱力で知られています。バラードを中心とした楽曲が多く、特に失恋や情感をテーマにした曲が高い評価を受け、同世代の女性R&Bシンガーや後続アーティストに影響を与えました。
私生活と近年の出来事
キャリアの中で複数回にわたり資金面での困難を経験し、1990年代後半に1度目の破産申請を行い、その後も2010年に再び破産申請を行っています。音楽活動以外では、リアリティ番組やテレビ出演も精力的に行っており、リアリティテレビ番組『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』第7シーズンへ出場したほか、家族のプライベートを追う番組『Braxton Family Values』が2011年にWE TVで放送されました(番組は家族の人間関係や仕事を描き、複数シーズンを展開)。また、2011年9月18日にはジョージアの音楽殿堂入りを果たすなど、功績が正式に評価されています。
まとめ
トニ・ブラクストンは、強烈な代表曲と独特の歌声で国際的な成功を収めたアーティストです。商業的成功とともに、私生活や健康、財政面での困難を公にしてきたことから、アーティストとしてだけでなく一人の公的な人物としても多くの注目を集めています。現在も音楽活動やメディア出演を通じて存在感を保ち続けており、そのキャリアはR&B史において重要な位置を占めています。