エルギン(モーレイ)|スコットランドの大聖堂都市・ロイヤルバーグの概要と歴史
エルギン(モーレイ)の大聖堂とロイヤルバーグの歴史を辿る観光ガイド:中世の城跡、マクベス伝承、デイヴィッド1世やエドワード1世の足跡を詳しく紹介。
エルギン(モーレイ)(発音:/ˈɛlɡɪn/、ゲール語:Eilginn)は、スコットランドのモレー州にある歴史的な大聖堂の街で、かつてのロイヤルバーグ(王室専用バーグ)です。ロッシー川の南側、氾濫原の上に位置する高台に築かれており、中世以来の交易と行政の中心地として発展しました。エルギンの名は1190年のCartulary of Morayに初めて記録されています。
歴史の概略
エルギン周辺は古くから人の往来が多い地域で、1040年8月にはボースガノワン(ピツガベニー)近郊での戦いが起き、そこでマクベスの軍がダンカン1世を破りました。これによりスコットランドの王位を巡る動きが大きく変わります。後の12世紀、デイヴィッド1世がモーレイの勢力を制圧した後、約1130年にエルジンを王室専用のバーグと定め、レディ・ヒルの頂上には城が築かれました。
イングランドのエドワード1世はエルギンを少なくとも2度訪れており、1296年の最初の訪問ではその街並みや教会群に感銘を受けたと伝えられます。中世以降、宗教と行政を背景に町は成長しましたが、16世紀以降の戦乱や宗教改革、そして風雨や偶発的な被害で多くの建物が損傷しました。19世紀には市街地の近代化が進み、古い中世的な区画や建築が一掃され、現在見られる多くの新しい建物やヴィクトリア朝期の街並みが形成されました。
主要な見どころと建築
- 大聖堂(エルギン大聖堂)の遺構:中世に建てられた大聖堂は「北のランタン(Lantern of the North)」とも呼ばれます。現在は部分的に遺跡となっていますが、かつての壮麗さを今に伝える重要な史跡です。
- レディ・ヒル(Lady Hill)と城跡:デイヴィッド1世の時代に築かれた城の痕跡があり、街と周辺を見渡せる高台です。
- 歴史的街路とヴィクトリア朝建築:19世紀の再開発で生まれた建物群が町の中心部を形作っています。
経済・交通・現代の姿
伝統的には市場町・行政の中心として機能してきたエルギンは、現在もモレーの主要都市の一つであり、地域行政、商業、サービス産業の拠点です。周辺は農業地帯やウイスキー蒸留所の多いスピサイド(Speyside)地域に近く、観光と地場産業が経済の重要な柱になっています。交通面では、主要道路や鉄道で近隣の大都市(インヴァネスやアバディーンなど)と結ばれており、訪問しやすい拠点です。
観光と保存活動
エルギン大聖堂の遺跡や歴史的景観は観光資源として大切にされており、保存修復や案内整備が行われています。散策路や博物館、地元のイベントを通じて地域の歴史や文化に触れられる機会が多く、日帰り観光や歴史探訪に適した町です。
このようにエルギンは中世から近代にかけての歴史が色濃く残る街であり、宗教・行政・交易の中心としての役割を果たしてきたことが町並みや遺構からうかがえます。観光・学術の両面で興味深い場所です。

エルジン大聖堂
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