ハーシェル・ウェイン・ゴーバーHershel Wayne Gober1936年12月21日生まれ)は、ベトナム戦争の退役軍人であり、米国の政府高官として退役軍人支援に長く関わった人物です。クリントン政権時代には、米国退役軍人局(VA)の長官代理(Acting Secretary)を二度務めました。1回目は1997年7月1日から1998年1月2日までで、ジェシー・ブラウン長官の辞任からトーゴ・D・ウエスト・ジュニア氏が長官代行に就任するまでの期間をつないだものです。2回目は2000年7月25日に始まり、ウェスト長官の辞任後の2001年1月20日まで続き、クリントン政権の終わりまでVAの長官職を代行しました。

VAでの役割と指名の経緯

ゴーバー氏はVAで副長官(Deputy Secretary)として行政の中枢を担い、1993年2月4日から2000年8月10日まで務めました。1997年には、クリントン大統領が1997年7月31日にゴーバーをジェシー・ブラウンの後任として長官に指名しましたが、上院での手続きが始まる前に指名は取り下げられ、撤回は同年の10月27日に行われました。

業績と取り組み

在任中、ゴーバーは特にベトナム戦争の行方不明退役軍人問題に対する取り組みに力を入れ、ベトナムを訪問して行方不明になった退役軍人の情報を探すための代表団の団長を務めました。こうしたPOW/MIA問題への関与は、退役軍人やその家族への説明責任と情報開示を求める政府の取り組みの一環でした。

また、ゴーバーはVAの医療サービスの改善と、退役軍人が受けられる地域医療の拡充にも注力しました。医療アクセスを広げるための診療所(VA clinic)や地域拠点の整備、医療サービスの質向上に向けた管理運営面での改善を推進したことが評価されています。副長官としては、給付や医療、墓地サービスなどVAの主要事業の日常運営や方針実施に関与しました。

アーカンソーでの経歴

VAに参加する前は、州レベルで退役軍人支援に携わっており、1988年1月4日から1993年2月4日まで、アーカンソー退役軍人局の局長を務めました。州での経験が連邦政府での行政手腕や退役軍人支援政策に活かされたとされています。

人物像と評価

ゴーバーは退役軍人自身の立場から行政に入り、現場の声を反映させることに努めた人物として知られます。ベトナム戦争の退役軍人としての背景と、州・連邦の両方で培った行政経験により、退役軍人医療や行方不明者問題などに継続的に取り組みました。一方で、1997年の長官指名が上院で正式に承認される前に撤回された経緯は、彼の長官就任を阻む出来事となりました。

総じて、ハーシェル・ウェイン・ゴーバーは1990年代を通じて米国退役軍人行政の重要な担い手の一人であり、特にPOW/MIA問題や退役軍人医療の拡充に関する功績が評価されています。(1936年生)