厚紙(段ボール)とは:定義・歴史・製造・用途と環境への影響

厚紙(段ボール)とは:定義・歴史・製造工程、用途から環境影響まで図解でわかりやすく解説。再生素材や最新のエコ包装動向も詳述。

著者: Leandro Alegsa

厚紙は重い紙の一種で、その硬さと耐久性で知られています。15世紀に中国で発明され、様々な用途に使用されています。そのより一般的な用途の一つは、包装材料としてです。

ダンボール箱は1817年にイギリスで初めて商業生産されました。段ボール(プリーツ紙とも呼ばれる)は1856年にイギリスで特許を取得し、背の高い帽子のライナーとして使用されましたが、段ボールが特許を取得して輸送材料として使用されるようになるのは1871年12月20日まででした。片面段ボールの特許は、ニューヨーク州ニューヨーク市のアルバート・ジョーンズに与えられました。ジョーンズは、この段ボールを瓶の包装やガラス製のランタンの煙突に使用しました。1874年、G. Smythによって大量の段ボールを生産するための最初の機械が作られ、同年、Oliver LongはJonesの設計を改良し、両面にライナーシートが付いた段ボールを発明しました。これが現在の段ボールでした。

アメリカ人のロバート・ゲアーは、1870年代にブルックリンの印刷会社で紙袋メーカーとして活躍していましたが、種袋の注文を印刷しているときに、通常は袋を折り目をつけるのに使う金属製の定規がずれて袋を切ってしまいました。ガイヤーは、段ボールを切断して折り目をつける作業を一度に行うことで、プレハブのカートンが作れることを発見しました。これをダンボールにまで拡張することは、ダンボールの素材が入手可能になったときには、簡単な開発でした。20世紀に入る頃には、以前は取引に使用されていた特注の木枠や箱に代わって、ダンボール箱が使われるようになりました。

ケロッグ兄弟は最初、フレークコーンのシリアルを入れるために段ボール箱を使用していましたが、その後、一般の人々に販売するようになったときに、ワクタイトのヒートシールされたワックス入りの袋が箱の外側に巻き付けられ、ブランド名が印刷されていました。これがシリアルボックスの起源ですが、現代では密封された袋はプラスチック製で、箱の外ではなく箱の中に入れられています。

近年、環境志向の高まりからダンボールの包装にも大きな変化が見られるようになってきました。現在では再生繊維を多く使用したダンボールの製造が一般的になってきています。

定義と構成

厚紙(段ボール、段ボール板、コルゲートボード)は、一般にライナー(平滑な表裏の板紙)と、中間に波状の芯材(フルート)を接着した多層構造の紙製ボードを指します。基本構成は次のとおりです。

  • ライナー(linerboard): 表面および裏面の平らな板紙。白色度や印刷適性が求められる。
  • フルート(flute): 波形に加工された芯紙(corrugating medium)。フルートの高さや形状により強度やクッション性が変わる。
  • 接着剤: 主にでんぷん糊(澱粉系)が使用され、ライナーとフルートを接着。

種類と規格

  • 片面段ボール: 片側のみライナーが付いたタイプ。保護材や緩衝材として使われる。
  • 片胴(シングルウォール): 1層のフルート+2枚のライナー。家庭用・配送用の段ボール箱で最も一般的。
  • 複層(ダブルウォール・トリプルウォール): 2層または3層のフルートを持ち、高耐荷重・長期保管向け。
  • フルートの種類: A, B, C, E, F 等。Aは厚くクッション性が高く、EやFは薄く印刷性に優れる。
  • 強度指標: ECT(Edge Crush Test)、バースト試験(Mullen)などで評価。

製造工程(概要)

段ボールの製造は連続的な工程で行われます。主な工程は以下の通りです。

  • 原料調達: パルプ(古紙含む)を原料にライナーやフルート用の板紙を準備。
  • フルーティング: フルート用の紙を波状に成形するロールで加工。
  • 接着・圧着: フルートの山頂にでんぷん糊を塗布し、ライナーと貼り合わせる(片面→両面→多層)。
  • 乾燥と冷却: 接着を安定させるための工程。
  • スリッティング・カット・スコアリング: 必要な寸法に裁断し、折り目(スコア)やスロット加工を行う。
  • 印刷・成形・組立: 表示(印刷)を施し、箱形に加工して出荷。

用途(代表例)

  • 輸送用・物流用の包装箱(通販・食品・家電など)
  • 収納箱、引越し用ボックス
  • 緩衝材(片面段ボール)や間仕切り
  • ディスプレイ什器、化粧箱、プロモーション用パネル
  • クラフト用途(工作、広告、DIY)

歴史のポイント(要約)

  • 紙の発明と普及(15世紀 中国)—厚紙の原型となる紙技術の発展。
  • 19世紀初頭〜中頃(イギリス、米国)—商業生産と初期の特許。片面段ボールやライナー付きの発明が段ボールの原型を形作る。
  • 1870年代〜20世紀初頭—ロバート・ゲアーの折り目・打ち抜き工法、機械化の導入でプレハブ箱が実用化。
  • 20世紀以降—大量生産、印刷技術の進展、物流・小売の発展とともに広く普及。

環境への影響とリサイクル

段ボールは紙資源を原料とするため、他の汎用包装材(特に石油由来プラスチック)と比べて以下の特徴があります。

  • リサイクル性が高い: 多くの地域で回収・再生利用が進んでいる。古紙として回収後、再生パルプにより新たな段ボールや紙製品に生まれ変わる。
  • 生分解性: 純粋な紙素材は生分解性があるが、ワックス・プラスチックコーティングや油分で汚染されるとリサイクル不能または分解が遅れる。
  • 環境配慮の取り組み: 再生繊維比率の向上、FSCなどの持続可能な林業認証、製造時のエネルギー効率改善が進む。
  • 注意点: 食品の油汚れや湿気、プラスチックライナーの混在はリサイクル効率を下げる。分別と洗浄、汚れた面の切り離しなどが重要。

強度評価と設計上の注意

  • ECT(エッジクラッシュ値): 箱の縦方向荷重(スタッキング耐力)に関係。高いECTは積載時の耐久性を示す。
  • バースト強度(Mullen): 面全体にかかる圧力に対する耐性を示す指標。
  • 用途に合わせてフルート種類、層数、板紙のグラム数(g/m²)を選定することが重要。
  • 再利用・廃棄・エコな活用法

    • そのまま再利用(保管・発送・収納)
    • 工作や仕切り材、園芸の保護マルチなど二次利用
    • 資源ごみとして分別収集(地域のルールに従う)
    • 汚れや油が付着した場合は可燃ごみや産業廃棄物扱いとなることがあるため、事前確認を推奨

    実務的なポイント

    • 箱は湿気に弱いので乾燥した場所で保管する。
    • 重い物を積む際はダブルウォールや強化段ボールを選ぶ。
    • 印刷をするときは表面の紙質(コート有無)によりインキや仕上がりが変わる。
    • 組立・閉梱時は適切なテープ・接着方法を採用し、角部分や開口部を補強する。

    まとめ

    段ボールは軽量で高い強度と緩衝性を併せ持つ、非常に汎用性の高い包装材料です。製造工程やフルートの種類、層構成を適切に選ぶことで、輸送・保管・陳列など多様なニーズに応えます。近年は再生繊維の活用やリサイクル体制の整備が進み、環境負荷低減の観点からも重要な素材とされています。一方でコーティングや汚染によってリサイクル困難になるケースもあるため、設計・使用・廃棄時に環境配慮を行うことが求められます。

    ダンボールの破片。Zoom
    ダンボールの破片。

    質問と回答

    Q:ダンボールが発明されたのはいつですか?


    A:15世紀ごろに中国で発明されたといわれています。

    Q:一般的な用途は何ですか?


    A:段ボールの一般的な用途の1つは、梱包材です。

    Q:段ボールの特許はいつ、誰が取得したのですか?


    A: 段ボール(プリーツとも呼ばれる)は、1856年にニューヨークのアルバート・ジョーンズによってイギリスで特許を取得されました。

    Q:段ボールを大量に生産する最初の機械は誰が作ったのですか?


    A:大量の段ボールを生産する最初の機械は、1874年にG.Smythによって作られました。

    Q:ロバート・ゲイルはどのようにしてプレハブ段ボールを発見したのですか?


    A: ロバート・ゲアーは、1回の操作で段ボールを切断し折り目をつけることで、種子袋の注文を印刷しながらプレハブカートンを作れることを発見し、金属定規で位置をずらしながら袋を切断したのです。

    Q:シリアルボックスの起源は何ですか?


    A:ケロッグ兄弟がフレーク状のコーンシリアルを入れるために段ボール箱を使用し、その外側にブランド名を印刷した蝋引き袋を巻いて熱シールしたものがシリアルボックスの起源とされています。

    Q:環境保護の観点から、最近のダンボール包装はどのように変化しているのでしょうか?


    A:段ボールの包装は、環境保護の観点から、リサイクル繊維の比率を多くして製造されるようになり、マイナーチェンジしています。


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