チアパス州(メキシコ)—地理・人口・気候、マヤ遺跡とザパティスタ

チアパス州の地理・気候・人口を詳解。パレンケ等マヤ遺跡とザパティスタ運動の歴史・現状を紹介。

著者: Leandro Alegsa

チアパス州(Chiapas)はメキシコの南東部に位置する州で、国内でも最も多様な地形と文化を持つ地域の一つです。北はタバスコ州、北西はベラクルス州、西はオアハカ州と接し、東はグアテマラ、南は太平洋に面しているという境界を持ちます。州面積は約28,528平方マイル(73,890平方キロメートル)と広大で、地形は海岸平野、熱帯雨林、山地、雲霧林など多彩です。

地理・地形

チアパスは標高差が大きく、低地の熱帯低地からシエラ・マドレ・デ・チアパスに連なる山脈や高原地帯まで幅広い地形を含みます。州内を流れる主要河川にはグリハルバ川(Río Grijalva)やウスマシンタ川(Río Usumacinta)などがあり、ラカンドン森(Selva Lacandona)などの広大な熱帯雨林が残る地域もあります。沿岸部から内陸に向かって降雨量は減少しますが、タパチュラ近郊ではバナナなど熱帯作物の栽培に十分な降水があります。

気候と生態系

一般にチアパスは湿度が高く、熱帯性の気候が支配的です。北部のテアパ周辺では年間降水量が3,000mmを超えることもあります。山岳地帯では気温が下がり、霧の多い雲霧林(クラウドフォレスト)が発達し、ケツァールやツノグァンといった希少な鳥類の生息地にもなっています。かつて広がっていた低地の背の高い多年草による熱帯雨林は多くが農地や牧場に転用され、自然植生は大きく変化しましたが、エル・トリウンフォなどの保護区では原生林や高い生物多様性が保全されています。

主要都市と考古遺跡

州都はトゥクスラ・グティエレス(Tuxtla Gutiérrez)。ほかにサンクリストバル・デ・ラス・カサス、コミタン、タパチュラなどが主要な都市です。州内には多くの古代文明の遺跡が点在し、特に古代マヤの遺跡であるパレンケ(Palenque)、ヤクシラン(Yaxchilan)、ボナンパク(Bonampak)、チンクルティック(Chinkultic)、トニーナ(Tonina)などは世界的にも重要な文化遺産で、観光資源としても注目されています。

人口・先住民

チアパスは多くの先住民族が暮らす州で、人口のかなりの割合が先住系です。かつての記録では2005年国勢調査での人口は4,293,459人とされましたが、その後増加し、近年の国勢調査では約5百万人台に達しています。州内にはツェルタル(Tzeltal)、ツォツィル(Tzotzil)、チョル(Chol)、ラカンドン(Lacandon)など多様なマヤ系民族が居住し、農村部では依然としてスペイン語を話さない人々が多く、先住語が日常的に使われています(複数の先住語が存在)。

経済・生活

多くの住民は小規模農家で、トウモロコシや豆、コーヒー、カカオ、バナナなどの栽培が中心です。観光は考古遺跡や自然景観(滝、雲霧林、熱帯雨林)を目当てに成長している分野ですが、貧困率や基礎的サービスの不足は深刻です。チアパスは国内で最も高い栄養不良率に悩まされています地域の一つで、栄養不良は人口の40%以上に影響していると推定されるなど、社会的な脆弱性が問題となっています。

社会問題と治安

その他の社会問題としては、中米発祥のギャング(いわゆるマラス)の活動や、中米からの不法移民の通過が増え、地域社会や公共サービスに負担をかけています。これらの移動は多くの場合アメリカに向けられますが、通過中の虐待や人権侵害、劣悪な移動条件が多数報告されています。移民や治安に関わる問題は現地の貧困や不平等と結びついており、包括的な対策が求められています(関連する人権問題には虐待や暴力も含まれます)。

ザパティスタと政治的動向

1994年、メキシコ政府とザパティスタ民族解放軍(EZLN、通称ザパティストス)との間で武力衝突が起こりました。EZLNはその後、武力行使を停止し、先住民の権利、自治、土地問題、貧困対策を求める社会運動へと移行しました。組織はエミリアーノ・サパタに敬意を表して名付けられ(エミリアーノ・サパタに敬意を表して命名)、現在は自治的なコミュニティや教育・保健プロジェクトを通じて地域社会での影響力を維持しています。州内にはEZLNが管理するいわゆる「反乱軍自治ザパティスタ自治体」(スペイン語でMAREZと呼ばれる)や自治の試みが存在しており、地方政治や社会構造に重要な影響を与え続けています。

保全と観光の展望

チアパスは生物多様性や先住文化、考古学的遺産に恵まれており、持続可能な観光と自然保護の両立が鍵となります。エコツーリズムや文化観光を通じて地域経済の発展を図る一方で、土地利用の変化や違法伐採、環境破壊を抑え、地域住民の生活向上につなげる政策と実践が求められています。

このように、チアパス州は豊かな自然と深い文化的伝統を持つ一方で、貧困や社会的課題、政治的緊張を抱える地域です。これらを踏まえた地域振興と人権・環境保全の両立が今後の重要な課題となります。

質問と回答

Q:メキシコ最南端の州はどこですか?


A:メキシコの最南端の州はチアパス州です。

Q:チアパス州と接しているのは何州ですか?


A: チアパス州は、北はタバスコ州、北西はベラクルス州、西はオアハカ州と接しています。東はグアテマラに、南は太平洋に面しています。

Q:チアパス州の面積はどのくらいですか?


A:チアパス州の面積は28,528平方マイル(73,890平方キロメートル)です。

Q: チアパス州の気候は?


A:一般的に、チアパス州は湿度の高い熱帯性気候です。

Q:ティアパの北側には、かつて何があったのでしょうか?


A:ティアパの北部には、かつて低地の背の高い多年生雨林がありましたが、現在は農業や牧畜のために破壊されています。

Q:チアパス州にあるいくつかの都市名を挙げてください。
A: チアパス州には、トゥクストラ・グティエレス、サン・クリストバル・デ・ラス・カサス、コミタン、タパチュラなどの都市があります。

Q: チアパス州にはどのような社会問題があるのですか?


A: チアパス州では、人口の40%以上が栄養失調に陥っていると言われています。また、マラスと呼ばれる中米系ギャングの存在や中米からの不法移民が増加しており、移民に対する人権侵害が原因で地域の貧困が悪化しています。


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