A1(イギリスの道路)とは:ロンドン〜エディンバラ660kmの概要と歴史
イギリスのA1(ロンドン〜エディンバラ660km)の概要と歴史を詳解。ローマ道の痕跡、主要ジャンクション、A1(M)化など地図・写真で分かりやすく紹介。
A1は、イングランドのグレートノーザンロードの正式名称である。イングランドの東側をロンドンからスコットランドのエディンバラまで縦断している。全長は660kmで、イギリスで最も長い番号道路である。A1には高速道路との主要なジャンクションが6つ、他のA道路との主要なジャンクションが20以上あります。現代では幹線輸送や長距離旅客輸送にとって重要な幹線であり、貨物輸送や観光ルートとしても広く利用されています。
歴史的背景
A1は古代からの交通路を受け継いでおり、ルートの多くはローマ時代の道、エルマイン通りや古い馬車道のコースに沿って走っています。ローマ時代には軍事や行政のための直線的な幹線が整備され、中世以降は街道(Great North Road)として通行人や馬車、郵便輸送で栄えました。18〜19世紀にはターンパイク(有料道路)の整備や宿場町の発展により旅客輸送が活発化し、産業革命以降は道路の改良が進みました。
20世紀初頭の道路番号制導入で「A1」として指定され、以降、自動車交通の増加に対応して複数の区間で拡幅やバイパス建設が行われました。第二次大戦後からは自動車専用の高標準道路化が進み、特に1960年代以降に高速規格へ改良された区間には、後述のようにA1(M)という番号が付与されました。
ルートと地理的特色
A1はロンドンから北へ向かい、イングランド東側の複数の郡や都市を貫いてスコットランド境へ至ります。本文でも触れた通り、特にノッティンガムシャーを通過すると道路はシャーウッドフォレストの遺跡を横切り、ノース・ヨークシャーのスコッチ・コーナー(Scotch Corner)では、グラスゴーやスコットランド西部へ向かう交通とエディンバラへ向かう交通が分岐します。
ノース・ヨークシャーからダラムまでの区間は、一部がローマ時代の路であるデレ通りに沿っており、古代ローマの都市エボラカム(ヨーク)から当時の北方境界にあるアントニヌスの壁まで続く回廊の一部でした。こうした歴史的背景のため、A1は単なる現代道路にとどまらず、文化・歴史的な意味合いも持っています。
A1(M) と道路規格
A1の一部は高速道路規格に改良され、番号にA1(M)が付けられています。A1(M)は連続しているわけではなく、いくつかの独立した区間が存在します。これらの区間は制限速度や出入口の形式、中央分離帯の有無などが高速道路(モーターウェイ)基準に合わせられており、長距離輸送のスピード向上や安全性改善に寄与しています。
交通と利用状況
A1は貨物輸送や長距離バス、個人旅行で広く利用されますが、路線の性格は区間ごとに大きく異なります。都市近郊や交通量の多い区間は混雑しやすく、単線の地域道やバイパス、双方向の高規格道が混在しています。速度規制や追い越し規制、工事による片側交互通行などが行われることがあり、所要時間は交通状況や経路選択(例:M1などの別ルート利用)によって変動します。おおむね無停車で走行した場合の理論上の所要時間は6〜8時間程度ですが、実際には休憩や混雑を考慮して7〜9時間を見込むことが多いです。
安全性・改善と将来
歴史的な街道を基にしているため、旧来の平面交差や幅員の狭い区間が残る所もあり、これらは事故要因となることがあります。そのため近年も広域的な改良工事やバイパス建設、合流・分岐の改修などが継続的に行われています。路線の一部は将来的にもモーターウェイ化や更なる拡幅の検討対象となっており、交通需要の変化に応じて段階的に改善が進められています。
まとめ
- A1はロンドンからエディンバラまでの歴史ある東側幹線で、全長約660kmのイギリス最長の番号道路である。
- ルートは古代ローマ道や馬車道に由来し、歴史的・文化的価値を有する区間が多い。
- 一部は高速道路規格に改良されA1(M)となっているが、路線全体は様々な規格が混在しているため、運転時は区間ごとの特性に注意が必要である。
- 幹線輸送や観光の重要路であり、今後も段階的な改良が続く見込みである。
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