コモンズ(共有地)とは:定義・権利・中世イングランドから現代の変遷
コモンズ(共有地)の定義と権利を、中世イングランドから現代への変遷とともに解説。歴史的背景・法制度・コミュニティ資源の現状までわかりやすく紹介
共有地(コモン)とは、地域の人々が一定の権利を持つ土地や資源のことです。典型的には、村や集落の住民が自分の羊を放牧したり、薪を集めたり、燃料となる芝(切り草)を切ったりするなど、共同で利用できる権利が認められています。こうした共有地は単なる土地利用の制度にとどまらず、地域の生計・文化・生態系サービスを支える重要な資源でもあります。
中世イングランドにおける起源と制度
コモンの多くの仕組みは、もともと中世のイングランドの荘園制度と深く結びついていました。荘園の領主が土地全体を所有している一方で、村の借地人(小作農)には特定の共有権が認められていました。これにより、共同で使える放牧地や薪取り場、泥炭採取地などが維持されていました。
当時のコモンは必ずしも「公有地」と同義ではなく、領主の所有権の下で居住者に利用権が与えられるという形が多く見られました。権利を持つ人は英語で“commoner”と呼ばれ、日本語では「コモナー」あるいは歴史的に「平民」と表現されることがありますが、ここでの意味は「共通の利用権を有する者」です。
コモンズの典型的な権利(例)
- 放牧権:家畜を一定頭数放すことができる権利(grazing)。
- 薪取り(エストーバー):燃料や小径木を取る権利(estovers)。
- 泥炭採取(ターバリー):燃料用の泥炭を採る権利(turbary)。
- 狩猟・養殖権:特定の水域での漁や狩りを行う権利(piscaryなど)。
- 落ち木の利用や採草:共同で草を刈る、堆肥の材料を取るなど。
囲い込み(Enclosure)と近代への移行
17世紀以降、特に18〜19世紀にかけてイングランドでは「囲い込み(enclosure)」が進み、共有地が私的に囲われて個別所有に移されました。囲い込みは農業の効率化や市場経済の拡大に貢献した一方で、多くの小規模農民が共有権を失い、生計や共同体の在り方に大きな影響を与えました。その結果、かつては数百万エーカーに上ったコモンは大幅に縮小しました。
現代の状況:保護と法制度
現在でもイギリスやアメリカにはコモンズが残っていますが、その面積や利用形態は17世紀とは大きく異なります。イギリスでは19世紀以降の囲い込みに続き、20世紀にはコモンの登録制度や保護策が整備されました。例えば、コモンの登録を行う法制度や、村のグリーン(Common/Green)を保全する制度があります。イギリスの近年の法改正(例:Commons Act 2006)や1965年の登録制度といった措置により、一定の保護と管理が試みられています。
アメリカでは、ニューイングランドの町の「Common」や市民共有地(例:Boston Common)が歴史的なコモンズの名残として残る一方で、所有形態や利用ルールは自治体やコミュニティごとに異なります。都市部では公園的な役割を果たすケースも多く、商業開発や公有地化の圧力と保全のはざまで管理が行われています。
現代的な意義と新しい「コモンズ」概念
「コモンズ」という概念は土地に限らず拡張され、共有される知識やデジタル資源、漁業・大気・水資源など、共同管理が必要な多様な資源を指すようになりました。ノーベル経済学賞を受賞したエリノア・オストロム(Elinor Ostrom)は、地域共同体による自主管理が「コモンズ」の持続的利用を可能にすることを示し、トップダウンの規制だけでなく地域レベルのルール設計と監視・制裁の重要性を強調しました。
課題と保全のための方策
現代のコモンズが直面する主な課題は以下の通りです。
- 都市化や開発による減少・分断
- 権利関係の不明確さや法的保護の不足
- 過放牧・過剰利用による生態系の劣化(いわゆる「コモンズの悲劇」)
- 気候変動による環境変化
保全や持続可能な利用のための方策としては、登録制度や法的保護、地域住民による協定・管理計画、共同体ベースの監視と罰則、自然保護団体や行政との連携などが挙げられます。また、文化的価値や景観、レクリエーション機能を評価して保全資金を調達する仕組みも有効です。
まとめ
コモンズは歴史的には村落の生活を支えた共有資源として発展し、囲い込みや近代化を経てその形を変えながらも今日まで残ってきました。土地としてのコモンズだけでなく、知識やデジタル資源など新しい形の共有資源にも「コモンズ」の考え方は適用されます。持続可能な利用と公正なアクセスを両立させるためには、法的保護、地域共同体の管理能力、そして社会全体の理解と支援が不可欠です。
ニューフォレストの現代のパンネージ(マストの共通点)。
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質問と回答
Q:コモンランドとは何ですか?
A:コモンランドとは、家畜の放牧や薪集め、燃料用の芝刈りなど、地域の人々が一定の権利を持っている土地のことです。
Q: 中世のイングランドでは、もともとコモンランドは何に使われていたのですか?
A: 元々、コモンは荘園の一部であり、借家人はコモンに対して一定の権利を持っていました。
Q: 中世イングランドでは誰がコモン(共有地)を所有していたのですか?
A: コモンは荘園領主の所有地の一部でしたが、借地人はそれに対して一定の権利を持っていました。
Q: 「コモンズ」という言葉は、時代とともにどのように広がっていったのでしょうか?
A: 「コモンズ」という言葉は、コミュニティが権利やアクセス権を持つ他の資源にも適用されるようになりました。
Q:「コモンズ」という言葉は、現在では主に何に使われているのですか?
A: 今日、「コモンズ」という言葉は、主に特定の権利を行使するための土地に使われています。
Q:コモンとは何ですか?
A:共有の土地に対して権利を持つ人がコモンズです。
Q:コモンズは現在も存在するのでしょうか?
A: はい、コモンズは現在もイギリスとアメリカに存在します。しかし、その範囲は17世紀に存在した数百万エーカーから大幅に縮小されています。
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