CLIL(内容言語統合学習)とは?定義・4つのCと導入事例・教育効果
CLILの定義・「4つのC」概念、導入事例と教育効果をわかりやすく解説。実践方法や成果を学びたい教育者・保護者必見の記事。
CLIL(Content and Language Integrated Learning)は、外国語または第二言語教育へのアプローチである。生徒は、外国語と学校の教科を同時に学びます。
多くの人がCLILには "4つのC "があると表現します。通常、それらは、認知、内容、コミュニケーション、文化です。文化(culture)の代わりに「コミュニティ(community)」を使うべきと考える人もいます。
CLILは、カナダのバイリンガル教育や、世界中のESLやEFLにおけるContent-based Instructionなど、言語教育に対する以前のアプローチから生まれたものである。CLILは、ヨーロッパ、特にスペインの初等・中等教育で非常に人気があります。しかし、他の多くの国でも人気が出てきています。
CLILの目的と特徴
CLILの主な目的は、言語習得と教科内容の学習を同時に達成することです。単なる語学授業ではなく、理科・社会・数学・芸術などの教科を外国語で学ぶことで、実際のコミュニケーション場面に近い形で言語を使う機会を増やします。特徴としては以下が挙げられます。
- 言語は学習の手段(medium)であり、目的(goal)でもあるという二重の役割。
- 教科の内容理解と語学力向上の両立を目指す授業設計。
- 学習活動は意味重視で、実践的なタスクやプロジェクトが多い。
- 教師間の協働(教科教師と語学教師の連携)が重要。
「4つのC」の詳細
CLILでよく言及される4つのCは、授業設計や評価の指針になります。
- Content(内容):教科固有の知識・概念・技能。例えば理科の実験結果の読み取りや歴史上の出来事の理解。
- Communication(コミュニケーション):学習活動で使う言語。言語の正確さだけでなく、意味の伝達や相互作用が重視される。
- Cognition(認知):思考スキルや高次の認知過程(分析、評価、問題解決など)。CLILでは内容理解と同時にこれらのスキルも育てる。
- Culture / Community(文化・コミュニティ):文化的視点や学習者が所属する地域社会との関わり。文化理解は言語使用の文脈を豊かにする。なお、一部では「コミュニティ」を強調して学校内外の社会的つながりを重視する立場もある。
導入モデルと実践例
CLILの実践モデルは学校や地域、学年によってさまざまです。代表的なパターンを紹介します。
- 部分的イマージョン(Partial immersion):一部の教科だけを外国語で教える。例:週に数時間、理科を英語で実施。
- 全面的イマージョン(Full immersion):多くの教科を長時間にわたり第二言語で学ぶモデル。小学校低学年で見られることがある。
- 統合型授業(Integrated lessons):言語目標と教科目標を明確に設定した上で、タスクやプロジェクトを通して学ぶ。
- 高等教育でのEMI(English Medium Instruction):大学で専門科目を英語で教える方式もCLILの原理に近い。
実践例としては、スペインやフィンランドでの小中学校プログラム、カナダの二言語プログラム、アジア各国での理科や算数のCLIL導入などが挙げられます。具体的な授業では、例えば「英語で行う環境問題の研究プロジェクト」や「スペイン語で学ぶ世界史のユニット」などがあります。
教育効果・利点
- 言語の運用能力(特に学術的・教科横断的な語彙と表現)が向上しやすい。
- 教科知識を外国語で処理することで、深い理解や高次の認知スキルが促される。
- 学習動機や自己効力感の向上。実際に使う場面があることで言語学習への関心が高まる。
- 異文化理解や国際感覚の育成に寄与する。
ただし効果はプログラムの質、教師の力量、導入期間、教材の適切さによって左右されます。初期には教科の理解速度が遅れる場合がありますが、長期的には学力や言語力の両面で利点が報告されています。
課題と対策
CLIL導入にはいくつかの課題がありますが、対策も存在します。
- 教師の専門性不足:教科知識と語学指導の両方を持つ教師が少ない。→ 対策:教科教師と語学教師のチームティーチングや研修、教員間の共同計画。
- 教材・評価基準の整備:CLIL向け教材や評価ルーブリックが限られる。→ 対策:既存教材の言語加工(語彙リスト、前提知識の補強)、言語・内容両方を評価するルーブリック作成。
- 生徒の言語レベルのばらつき:言語力差が学習の障壁に。→ 対策:差別化指導、ペアワークやグループワーク、多様な支援(ワードバンク、図解、ジェスチャーなど)。
- 保護者や管理職の理解:導入目的が十分に伝わらないと反発が出る。→ 対策:成果の可視化、導入前の説明会、段階的導入。
評価方法と授業設計のポイント
CLILでは内容目標と語学目標を明確にして両方を評価することが重要です。一般的な授業設計の流れは次のようになります。
- 学習目標の設定(Content objective / Language objective)
- 導入で前提知識と主要語彙を確認
- インプット(読解・視聴)とタスク(実践活動)
- 言語支援(語彙カード、フレーズ集、モデルテキスト)と認知支援(図表、マインドマップ)
- 形成的評価(進行中のフィードバック)と総括的評価(試験・プレゼンなど)
評価では、内容の理解度、言語の機能的使用、学習過程での思考スキルの発揮をバランスよく見ることが求められます。
教師の役割と研修
CLIL教師には次のような役割が期待されます。
- 教科内容をわかりやすく伝えるスキル
- 言語支援のための具体的なテクニック(語彙の前教示、モデル化、リキャストなど)
- 協働作業を通じた学習環境のデザイン
- 評価設計とフィードバックの提供
研修では、CLIL理論、授業設計、言語支援テクニック、評価方法、教材作成の実践的スキルを学ぶことが有効です。教科教師と語学教師が合同で研修を受けることで連携が深まります。
導入のための実践的な提案
- 小さく始める:まずは週1回の単元やプロジェクトから試行する。
- 明確な目的設定:教科目標と語学目標を必ず二重に設定する。
- 教材の調整:既存教材に語彙支援や図解を付け加える。
- 協働体制の構築:校内外の専門家と連携してサポート体制を作る。
- 評価データの蓄積:導入前後で言語力・教科力を測定し、改善につなげる。
まとめ
CLILは言語と教科内容を統合して学ぶ教育アプローチで、学習者に実践的な言語使用機会を与えると同時に高次の認知スキルや異文化理解を促します。導入には教師の研修、教材の工夫、評価の整備などが必要ですが、適切に設計・運用すれば言語力と教科力の双方に有益な効果をもたらします。学校や教育現場の目的に合わせて段階的に導入・評価を行うことが成功の鍵です。
質問と回答
Q: CLILとは何ですか?
A: CLILとはContent and Language Integrated Learningの略で、外国語教育や第二言語教育のアプローチの一つです。
Q: CLILでは生徒は何を学ぶのですか?
A: CLILでは、生徒は外国語と教科を同時に学びます。
Q: CLILの「4つのC」とは何ですか?
A: CLILにおける "4つのC "とは、通常、認知、内容、コミュニケーション、文化を指します。
Q: CLILは言語教育に対する他のどのようなアプローチから生まれたのですか?
A: CLILはカナダのバイリンガル教育や、世界中のESLやEFLにおけるContent-based Instructionのような言語教育に対する初期のアプローチから生まれました。
Q: CLILはどこで人気があるのですか?
A: CLILはヨーロッパ、特にスペインの初等・中等教育でとても人気があります。しかし、他の多くの国でも人気が出てきています。
Q: CLILの "4つのC "の中で、"culture "に代わるものは何だと思いますか?
A:CLILの "4つのC "の中で "culture "の代わりに "community "を使うべきだという意見もあります。
Q: CLILの目標は何ですか?
A: CLILのゴールは、生徒が外国語と主要教科の両方の知識とスキルを身につけ、周りの世界をよりよく理解し、コミュニケーションできるようにすることです。
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