カッター(船)とは|定義・特徴・種類・用途・歴史を解説
カッター(船)とは 定義・特徴・種類・用途・歴史を初心者にも分かりやすく図解と写真で解説、帆船から沿岸警備や乗降用カッターまで用途別に比較
カッターとは、一般的には小型〜中型で、容量よりも速度や機動性を重視して設計された水上艇を指します。伝統的な意味では、1本のマストを持つ小型の帆船で、前後に艤装され、複数のヘッドセイルを備え、しばしばバウスプリットを有する帆装が特徴です。カッターのマストは、同じ単マスト艇の代表であるスループに比べてやや後方に配置されることが多く、そのためにヘッドセイルの組み合わせで帆装バランスを細かく調整できます。
現代では「カッター」はもう一つの意味で使われます。公権力を行使する小型〜中型の船を指し、沿岸警備や海上保安、国境監視などの任務に就く艇種を総称して「カッター」と呼ぶことがあります。代表例としては港の水先案内人のカッターや、アメリカの沿岸警備隊や各国の沿岸・海上保安機関の持つ哨戒艇が挙げられます。
また「カッター」は大型船と岸壁の間で乗客や軽貨物を運ぶための小型船(船舶の艦載艇・テンダー)を指すこともあります。このタイプのカッターは、オール、帆、あるいはモーターを動力として用いることができ、港内移送や補給、小規模救助などに使われます。
特徴
- 単一マスト+複数ヘッドセイル:伝統的カッターは1本のマストを持ち、ジブやステイスルなど複数の前帆で帆面を分割して扱うため、風向・風力への対応が柔軟です。
- 機動性と速度:設計は風上性能や俊敏な操船を重視しており、短いクルーで効率よく運用できます。
- 用途に応じた構造:公権力用カッターは耐航性・耐久性・法執行装備を持ち、船舶の艦載艇としてのカッターは着岸や乗降のための平易な乗り降り性や積載性が重視されます。
- 多様な動力:伝統的には帆やオール、近代ではディーゼルなどのエンジンを備えたモーターカッターが一般的です。
種類
- 伝統的帆船カッター:単マストでバウスプリットと複数のヘッドセイルを備え、近代でもクルージング艇やクラシックボートの形で保存・復刻されています。レース艇としてのカッターも存在します。
- パイロットカッター:港湾で水先案内人を運ぶための強風・荒天での安定性を重視した艇。速力と乗り降りのしやすさが求められます。
- 沿岸警備・公権力用カッター:沿岸警備隊や海上保安機関が使用する哨戒艇や巡視艇。法執行・捜索救助(SAR)・環境監視などの任務を行います(先に挙げたように、アメリカの沿岸警備隊では特に規模や機能をもって「cutter」と呼ぶ場合があります)。
- シップス・カッター(艦載艇):大型母船に乗せられる小型艇で、乗客や物資の陸揚げ、緊急避難、補給などに使われます。この種はオール、帆、エンジンのいずれでも推進できるものがあります。
- モーターカッター/テンダー:商船や軍艦の補助艇としてエンジン駆動のカッターが多数使われています。速やかな往復が可能で、整備や運用性に優れます。
用途
- 港や沿岸でのパイロット(水先案内)輸送
- 沿岸警備・パトロール、密輸取り締まり、移民取締りなどの法執行活動
- 捜索救助(SAR)や海難対応
- 大型船と岸壁間の乗客・貨物輸送(テンダー)
- レジャー、沿岸クルージング、クラシックヨットの保存・展示、レース
- 儀礼・式典での使用(歴史的カッターの展示運航など)
歴史
「カッター」の概念は18世紀から19世紀にかけてイギリスで発達しました。当時、税関(revenue)や沿岸警備のために用いられた小型で高速の船を「revenue cutter」や単に「cutter」と呼び、追跡や追尾、連絡任務に重宝されました。細長い船体と発達した帆装は、当時の速力要求に応えるものでした。
その後、パイロットボートや沿岸哨戒艇など用途別に形状が派生し、19〜20世紀にかけて帆から蒸気、さらに内燃機関へと動力が変化する中で「カッター」という呼び名は残りました。アメリカではRevenue Cutter Serviceがのちに沿岸警備隊(USCG)に統合され、沿岸警備用の中核艇を「cutter」と称する伝統が続いています。現代では伝統的帆船としてのカッターは趣味・競技艇としても人気があり、また公権力用のカッターは高速パトロール艇や救難艇として進化を続けています。
カッターとスループの違い(簡潔)
主な違いは帆装とマスト位置:カッターは単一マストであっても複数のヘッドセイルを持ちマストがやや後方に位置することが多いのに対し、スループはジブ1枚を前に出す単純なヘッドセイル配置でマストはより前寄りに建てられる傾向があります。これにより操帆の選択肢やトリムの自由度が変わります。


ジェノアニブをセットしたガフカッター「Kleine Freiheit」。
質問と回答
Q:カッターとは何ですか?
A: カッターとは、容量よりもスピードを重視して設計された小型、時には中型の水上バイクのことです。
Q: 伝統的なカッターの艤装はどうなっていますか?
A: 伝統的なカッターは、2枚以上のヘッドセールを備えたフォア・アンド・アフトの艤装で、しばしばバウスプリットを備えています。
Q: 現代のカッターはどこで見られますか?
A: 現代のカッターは、港湾水先案内人のカッター、米国沿岸警備隊や英国国境警備隊のカッターなど、公的な役割を担っているものがあります。
Q: カッターは常に帆船なのですか?
A: いいえ、カッターは、大型船と海岸の間で乗客や軽貨物を運ぶために大型船に奉仕する小型船であり、オール、帆、モーターを動力源とすることができます。
Q: カッターとスループの違いは何ですか?
A:カッターのマストは、スループよりも後方に設置されている場合があります。
Q:カッターの目的は何ですか?
A:カッターの目的は、一般的に容量よりもスピードです。
Q:カッターは主に貨物の輸送に使われるのですか?
A:いいえ、カッターは主に貨物の輸送のために使われるのではなく、スピードと公権力のために使われます。
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