変ニ長調(D♭メジャー)解説:音階・調号・代表曲と転調例
変ニ長調(D♭メジャー)の音階・調号・代表曲(ショパン「雨だれ」等)と実践的な転調例を分かりやすく解説。
D♭メジャー(またはD♭メジャー)は、D♭を基にした長音階です。調号は♭が5つで(B♭, E♭, A♭, D♭, G♭)、温かく豊かな響きを持つ調です。
音階(スケール)
変ニ長調の音階は次の通りです(上行・下行同一音名の自然な長音階):
- D♭ – E♭ – F – G♭ – A♭ – B♭ – C – D♭
調号(五つのフラット)は順に B♭, E♭, A♭, D♭, G♭ です。
和声的特徴(主なダイアトニック和音)
- I — D♭(トニック)
- ii — E♭m(スーパー)
- iii — Fm(ミディアント)
- IV — G♭(サブドミナント)
- V — A♭(ドミナント)
- vi — B♭m(相対短調の和音)
- vii° — Cdim(導音の短三和音)
典型的な機能和声では I(D♭)– IV(G♭)– V(A♭) の動きが基本となり、vi(B♭m)や ii(E♭m)を経由した進行もよく使われます。
相対短調・平行短調・異名同音
相対短調はB♭短調、平行短調はD♭短調です。ただし、D♭マイナー(平行短調)は理論上フラットが8つ(ダブルフラットを含む)になってしまうため実用的ではなく、実際の作曲や演奏では通常は同音異名のC♯マイナーが代わりに用いられることが多いです。
音色・演奏上の特徴
- ピアノでは黒鍵(5つのフラット音)が多く含まれるため、手の形が自然に丸くなりやすく、レガートや豊かな和音が得やすい調です。ショパンやドビュッシーなどロマン派〜印象派のピアノ曲で好まれます。
- 管弦楽では柔らかく温かい響きが得られ、緩徐楽章や叙情的な場面に向きます。
代表曲と転調例
以下は変ニ長調やその近縁での転調を特徴的に用いる有名曲の例です(作曲家や楽曲の扱い方により中間部での転調が多用されます)。
- ショパン:前奏曲第15番 変ニ長調(「レインドロップ」) — 主部は変ニ長調、平行短調の中間部で嬰ハ短調(C#マイナー)へ転調します。
- ショパン:幻想即興曲(「Fantaisie-Impromptu」) — 全体は嬰ハ短調(C#マイナー)が主体ですが、中間部に変ニ長調に転じる場面があります。
- ドビュッシー:『Clair de lune』 — 主調は変ニ長調で、作品の重要な部分に嬰ハ短調や微妙な色彩変化が現れます。
- ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 — 緩徐楽章(Largo)は変ニ長調で書かれ、部分的に嬰ハ短調(C#マイナー)に切り替わることがあります。
よく使われる転調手法・実例の解説
変ニ長調から嬰ハ短調(C#マイナー)へ移る場合、作曲家は次のような手法を使います。
- 同音異名(enharmonic)による変換:例えば G♭ を F# と綴り替えて機能を再解釈することで、調をまたぐ橋渡しができます。
- 共通和音(ピボット・コード):vi(B♭m)や iii(Fm)など、両調に共通する和音をピボットとして用いる方法。
- 随伴的(クロマティック)な近親移調や、クロマティックメディアント:和声の色合いを変えながら近接して進行し、自然に目的調へ到達させる手法。
簡単な例(概念的)として、D♭(I)→ B♭m(vi、共通和音)→ Fm(iii)→ ここで G♭(IV)を F# として読替え、C#側の和声へつなぐ、というような流れが考えられます。実際の書法では転調の前後で音形やベースラインを工夫し、自然な導入を行います。
作曲・演奏のヒント
- ピアノで変ニ長調を練習する際は、黒鍵を含むスケールとアルペジオを繰り返し弾き、手の丸みとレガートを意識すると良い音色が得られます。
- 転調を書くときは、共通和音や共通音(維持される音)を利用するとつながりが自然に聞こえます。必要ならば enharmonic な綴り替えを使って大胆に色を変える手も有効です。
- 楽曲分析では、I–IV–V の基本進行に注目し、そこからどの音・和音を借用して転調しているかを追うと理解が早まります。
変ニ長調は豊かなハーモニーと柔らかい響きを持ち、特にピアノ曲や抒情的な楽章で多く用いられます。上に挙げた名曲を聴きながら、調ごとの和声進行と転調の手法を比較してみると学習に役立ちます。
質問と回答
Q:D♭メジャーとは何ですか?
A:D♭メジャーは、音符D♭を基調としたメジャースケールです。
Q:変ニ長調の調号にはいくつの♭があるか?
A:変ニ長調の調号には、5つの♭があります。
Q:変ニ長調の相対的短調は何ですか?
A:変ニ長調の相対短調は変ロ短調です。
Q:変ニ長調の平行短調は何ですか?
A:変ニ長調の平行短調は変ニ短調ですが、変ニ短調は♭が8つもあって実用的でないため、通常は♯短調に置き換えられます。
Q:ショパンの前奏曲第15番変ニ長調では、中間部で何調に転調しているか?
A: ショパンは、「前奏曲第15番変ニ長調」の中間部で嬰ハ短調に転調している。
Q: ショパンはなぜ『幻想即興曲』の中間部で変ニ長調に転調するのですか?
A: ショパンが「幻想即興曲」の中間部で変ニ長調に変えたのは、嬰ハ短調はシャープが多すぎて実用的でないためです。
Q: アントニン・ドヴォルザークの新世界交響曲では、緩徐楽章の重要な部分で何調に切り替えているか?
A: アントニン・ドヴォルザークは、『新世界交響曲』の緩徐楽章の重要な部分で、嬰ハ短調に切り替えています。
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