キーサイン(調号)とは?楽譜での意味・種類・書き方をやさしく解説

キーサイン(調号)を図解と実例でやさしく解説。種類・書き方・読み方、転調や偶発音の扱いまで初心者に最適な入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

キーサインとは

キーサインとは、楽譜の各段(各行)や小節の先頭に置かれる、シャープやフラットの記号の並びのことです。楽譜上に印刷された調号は、その譜表上でどの音を恒常的にシャープ/フラットにするかを示します。例えば、調号に1つのシャープがある場合、それは通常Fシャープを意味します。つまり譜面にFの音符が現れるたびに、代わりにFシャープ(鍵盤ではFの右にある黒鍵)を弾く(または歌う)ということです(例:鍵盤での位置を参照)。また「キーサイン」は曲の調(キー)を理解する助けにもなります。

音の数とモード

西洋音楽ではオクターブ内に12の異なる音があり、鍵盤では7つの白鍵と5つの黒鍵に対応します。これらの音は任意の音から始められるため、12の長調(メジャー)と12の短調(正確にはモードの一種として扱われます)が存在します。各長調・短調(あるいはモード)には対応するキーサインがあります。各鍵盤の関係は「五分音符の輪」の記事(いわゆる五度圏)で分かりやすく示されています。

調号の種類とその数(なぜ15個か)

キーサインは合計で15種類あります。最大で7つのシャープ、最大で7つのフラット、あるいはどちらもないもの(Cメジャー/イ短調)です。なぜ12ではなく15かというと、一部の調は音は同じでも別の名前で表せる(同音異名=エンハーモニック)ためです。例えば:

  • F♯長調(6つのシャープ)は G♭長調(6つのフラット)と同じ音になります。
  • C♯長調(7つのシャープ)は D♭長調(5つのフラット)と同じ音になります。
  • B長調(5つのシャープ)は C♭長調(7つのフラット)と同じ音になります。

調号を書く位置と順序

調号は、譜表の各行の最初に書かれます。譜表の先頭の表記の順序は、音部記号 → 調号(キーサイン) → 拍子記号 の順です。調号は譜表の同じ位置に並んで表示され、ト音記号(高音部)やヘ音記号(低音部)など、音部記号によって具体的に置かれる線や位置が変わります。

シャープとフラットの順序(覚え方)

調号に並ぶシャープやフラットは決まった順番で並びます。一般的な覚え方:

  • シャープの順序(増えていく順): F → C → G → D → A → E → B
  • フラットの順序(増えていく順): B → E → A → D → G → C → F

例えばシャープが3つなら、F♯・C♯・G♯が調号に並びます。

調号がある理由

調号を書く主な理由は二つあります。

  • 曲の中で同じ音に毎回シャープやフラットを書かずに済むため、譜面が見やすくなる。
  • 演奏者が曲全体の調(キー)を把握しやすくなり、音楽的な流れや和声構造を理解しやすくなる。

偶発音(臨時記号)の扱い

もし作曲者が曲中で一時的に別の音(余分なシャープやフラット、または調号で決まったものを打ち消す音)を指示したければ、楽譜上にその記号を書きます。これを偶発音(臨時記号)と呼びます。ルールの要点は次の通りです:

  • 偶発音はその音符の直前に書きます(例:CをシャープにするならそのCの前に♯を付ける)。
  • その偶発音の効力は同じ小節内(同じオクターブ・同じ音高)に限り有効で、小節が変わると元の調号に戻ります(小節の残りまで有効、詳細は小節のルール参照)。
  • 調号にあるシャープ/フラットを打ち消したい場合は「ナチュラル(♮)」を使います。
  • ダブルシャープ(×のような記号)やダブルフラット(♭♭)もあり、それぞれ半音をさらにもう一度上げる/下げることを意味します(例:Fのダブルシャープは実音でGと同じ高さになります)。

調(メジャー/マイナー)の判別方法

調号だけでメジャーかマイナーかを判定できない場合があります。例えば「1つのシャープ」の調号はト長調(Gメジャー)かホ短調(Eマイナー)のどちらかです。どちらかを判断する一般的な方法:

  • 曲の終わりの和音や最終音(終止)を確認する。終止がト長調の和音ならGメジャー、ホ短調の和音ならEマイナーである可能性が高い。
  • 旋律や和声の傾向を見る。マイナー曲では(特に和声的・旋律的短音階では)7度音に臨時記号で#が付くことが多い(例:ナチュラル・マイナーの7度を半音上げるなど)。
  • 相対短調(relative minor)は、メジャーの6度下の音(あるいはメジャーの平行短調ではない)で調号を共有します。例:CメジャーとAマイナーはともに調号なし。

変調(モジュレーション)と調号の変更

曲の途中でキーが変わる(変調)ことがあります。もし新しいキーでしばらく演奏されるなら、作曲者や編曲者は調号自体を変えることを選ぶ場合があります。これは読みやすさの観点から行われることが多いです。たとえば、理論上は嬰ト長調(G♯長調)のようにシャープやダブルシャープが多用されるキーに移るよりも、同じ音を表す変イ長調(A♭長調、4つのフラット)で表記した方が演奏者にとって読みやすい、という判断がされます。

現代作品やモード、無調の場合

現代の作曲家の中には、初めからキーサインを使わないことを選ぶ場合があります。これは音楽が無調であったり、一定のキーにとどまらない場合、あるいはモード的(モーダル)な作風のときにしばしば見られます。また、拍が非常に長くシャープ/フラットがたくさん出るような箇所では、作曲者が小節内で同じ音の前に繰り返し臨時記号を書き、視認性を高めることがあります。その場合は楽譜の最初に演奏上の注意書きが付くこともあります。

まとめ(実用的なポイント)

  • キーサインは譜表の先頭に書かれ、どの音を常に変えるかを示す。
  • シャープとフラットの順番は決まっている(シャープ:F C G D A E B、フラット:B E A D G C F)。
  • 臨時記号は同じ小節内でその音に対して有効。小節を跨ぐと効力は消える(ただし臨時記号のルールを確認)。
  • 調号だけで長調/短調が判別できないことがあるため、終止や旋律の傾向で判断する。
  • 変調の際や読みやすさのために調号を変更することがある。

さらに理解を深めたい方は、譜例を使って実際に調号のある楽譜を読み比べたり、「五分音符の輪」などで五度関係を確認してみると分かりやすいです。

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質問と回答

Q:キーシグネチャとは何ですか?


A: 調号とは、音楽の行/小節の最初に印刷されているシャープまたはフラットのグループのことです。どの音をシャープやフラットに変えなければならないかを示しています。

Q:長調と短調はいくつあるのですか?


A:長調と短調(正しくは「モード」)は12個あります。これは、音階はどの音からも始めることができ、1オクターブの中に12個の音があるからです。

Q:調号はいくつあるのですか?


A: 調号は15種類あります。最大7つのシャープ、最大7つのフラット、またはシャープやフラットのない調号です。なぜ12ではなく15なのかというと、そのうちの3つの調号には2つの名前があるからです。

Q: なぜ作曲家は調号を使うのですか?


A: 作曲家が調号を使う理由は2つあります。1つは、曲中にシャープやフラットをたくさん書かなくて済むから、もう1つは、演奏者がその曲の「キー」(音楽)を考えて、音楽をより理解できるようにするためです。

Q: 曲の途中でシャープやフラットを追加する必要がある場合はどうなりますか?


A: 曲中にシャープやフラットを追加する必要がある場合は、小節中に一度だけでなく、必要な音符の前に偶発的に書き込むことが可能です。

Q: ダブルシャープ記号やダブルフラット記号は楽譜に使われるのですか?


A: はい、ダブルシャープ記号(×印のような記号)とダブルフラット記号(2つの平らな記号)はどちらも必要に応じて楽譜に使用されることがあります。

Q: 現代の作曲家は常に調号を使っているのですか?



A: いいえ、現代の作曲家の中には調号を使わない人もいます。特に無調であったり、一つの調にあまり固まっていない音楽の場合はそうです。


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