ドーン(NASA無人探査機):ベスタとケレスを初めて周回した小惑星探査機
ドーンは、NASAの無人探査機で、小惑星帯にある主要天体のうち、ベスタの軌道と現在のケレスの軌道を周回して詳細に観測した初の探査機です。ベスタとケレスはともに小惑星帯に位置し、それぞれ異なる成り立ちと地質を示すことから、太陽系形成・進化の理解に重要な標的となりました。ドーンは、2つの異なる地球外天体の軌道を実際に周回した初めての探査機でもあります。
ミッション経緯と航行
Dawnは2007年9月27日にケープカナベラル空軍基地でデルタ7925-Hロケットで打ち上げられました。推進には従来の化学ロケットに加えて電気推進(イオンエンジン)を採用しており、少量の推進剤で長期間の軌道変更・巡航が可能でした。打ち上げ後、重力アシストのために火星に向かい、2009年2月に火星最接近(フライバイ)を行って軌道を修正しました。
その後ドーンは小惑星ベスタへ向けて移動し、2011年7月にベスタ周回軌道に到達して詳細観測を行いました。観測期間中は高解像度カメラや分光計などで地表の地形・鉱物組成を解析しました。2012年9月5日、ドーンはベスタの周回軌道を脱して再びイオン推進を用いてケレスへ移動し、2015年3月6日にケレスの周回を開始しました。
搭載機器(主な観測機器)
- フレーミングカメラ(Framing Camera):高解像度の可視光撮像で地形観測に用いられました。
- 可視・赤外分光計(VIR):鉱物組成や水和物の検出に使われました。
- ガンマ線・中性子検出器(GRaND):元素組成(鉄、酸素、カルシウム、放射性元素など)の推定に貢献しました。
主な発見と成果
- ベスタでは、内部分化(核・マントル・地殻を持つ天体)とそれに伴う多様な地質構造が明らかになりました。これは地球近傍で発見されるHED隕石(ハウル射、エウクリプト、ディオジェネス:HED)との関連を強く支持します。
- ベスタの南極付近にある巨大衝突盆地「Rheasilvia」は直径約500 kmに及び、その中心にそびえる中央峰は非常に高く、衝突史や内部構造の情報を与えました。
- ケレスでは、クレーター内部に見られる明るい斑点(ファキュリ=faculae)、特にオケーター(Occator)クレーターの明所が注目され、これらがナトリウム塩を含む塩類であり、地下の塩水の蒸発・昇華や局所的なブラニー(塩水)活動を示唆することが示されました。
- ケレス表面にある独特の山「アフナ・モンス(Ahuna Mons)」はおそらく氷・塩を材料とする氷火山(冷たい火山活動=クリオヴォルカニズム)の痕跡であり、内部熱や流体移動の痕跡を示しています。
- ケレスでは有機物や水分子の痕跡、局所的な水蒸気放出の可能性なども示され、太陽系初期の水や有機物の輸送・保存に関する貴重なデータが得られました。
意義と運用終了
ドーンのイオン推進技術は、効率的に長期間の巡航と複数天体の周回を可能にした点で宇宙探査の新たな手法を示しました。また、ベスタとケレスという性質の異なる天体を同一探査器で比較観測できたことは、太陽系形成史の理解を大きく前進させました。
ミッションはその後もケレスで詳細観測を続けましたが、運用資源(姿勢制御用のヒドラジン推進剤)の枯渇により探査機を安全に維持できなくなったため、2018年11月に公式に運用が終了しました。ドーンは現在もケレスの安定軌道を周回しており、将来のミッションに向けた保護対象(状態保存)の役割を果たしています。
ドーンは、打ち上げから最終運用終了までの長期にわたって得られたデータにより、小惑星帯の多様性、天体内部構造、流体・塩の存在と動態など、多くの重要な科学的知見を世界にもたらしました。


ドーンが撮影したベスタの写真の一枚
質問と回答
Q: Dawnとは何ですか?
A:ドーンはNASAの無人の宇宙探査機です。
Q:Dawnは何を周回し、何を研究したのですか?
A:小惑星ベスタを周回・調査し、現在は矮小惑星ケレスを周回しています。
Q: ベスタとケレスはどこにあるのですか?
A:小惑星ベスタとケレスは、ともに小惑星帯に位置しています。
Q: Dawnがケレスとベスタを訪問する意義は何ですか?
A: Dawnは、ケレスとベスタを初めて訪れた探査機です。また、2つの地球外天体を周回する初めての宇宙船でもあります。
Q: Dawnはいつ打ち上げられたのですか?
A:2007年9月27日、ケープカナベラル空軍基地にて、デルタ7925-Hロケットで打ち上げられました。
Q:「Dawn」は火星からの援助を受けながら旅をしたのですか?
A:はい。2009年2月に火星に最接近し、重力の補助を受けました。
Q: Dawnはいつケレスの軌道を回り始めたのですか?
A: Dawnは2015年3月6日にケレスの周回軌道を開始しました。