砂漠のイナゴ(Schistocerca gregaria)とは:生態・被害・大発生の歴史
砂漠のイナゴ(Schistocerca gregaria)の生態・農作物被害・歴史的大発生と最新対策を図解で解説。被害軽減の実例と予防策を詳述。
砂漠のイナゴ(Schistocerca gregaria)は、イナゴの一種である。アフリカ、中東、アジアなどで、砂漠のイナゴの大発生により農業生産が脅かされている。何世紀もの間、この脅威は続いている。世界人口の10分の1がこの貪欲な昆虫によって影響を受けている可能性がある。イナゴの大群は毎年発生するわけではなく、発生する条件が整ったときにだけ発生する。
砂漠のイナゴは、群れをなして長距離を高速で飛び回るため、イナゴの害虫の中で最も危険な害虫となる可能性がある。1年に2〜5世代を繰り返す。2004年から2005年にかけて発生したイナゴの大群は、西アフリカの農作物に被害を与え、同地域の食料供給を減少させた。イナゴは単独で飢饉の原因とはならないが、その一因となる。
生態と生活環
砂漠のイナゴは不完全変態を行う昆虫で、卵→若齢(ハッチしてからの幼虫)(ニンフ、通称「ハッパー」)→成虫という段階を経る。卵は主に砂質で湿り気のある土壌に塊状に産み付けられ、温暖で植物が豊富な条件が続くと孵化・成長が早まる。ハッパーは翅がなく、群れを成して歩行移動しながら作物を食べ尽くすことがある。成虫になると飛翔能力を持ち、長距離移動が可能になる。
- 繁殖サイクル:気候条件によるが、1年に2〜5世代が報告されている。
- 食性:雑食傾向で、草本から作物・樹木の若芽まで幅広く食べる。大群では短時間で大面積の植生を破壊する。
- 密度依存的フェーズ転換:個体密度が高まると行動・形態・色彩が変化して「孤独相」から「群生相(群れを形成する相)」へと転換する。これが大群化の鍵となる。
大発生の引き金となる条件
- 異常な降雨やサイクロンによる一時的な植生の急増 → 繁殖に適した場所が増える。
- 温暖な気候と適度な土壌湿度 → 卵の生存率と孵化率が上昇。
- 人為的要因や過放牧による生息地の変化が、局地的な高密度集団を作ることがある。
被害と社会的影響
砂漠のイナゴの大群は移動しながら広範囲の作物や牧草を食い尽くすため、被害は直接的かつ深刻である。個々の大群は数千万から数億匹に達し、面積で表すと数平方キロメートルに及ぶこともある。一般的に、1平方キロメートル規模の大群が数万人分の食料を一日で消費すると推定されるため、農村部の食料安全保障に大きな脅威をもたらす。
- 食料供給:収穫前の作物や牧草地が一夜にして失われ、収入と食糧を失う農家が多発する。
- 経済的損失:地域経済や市場価格の変動、復旧費用が膨らむ。
- 健康・福祉:被害による栄養不足や生活手段の喪失が長期的な社会問題を引き起こす。
歴史的な大発生と近年の事例
砂漠のイナゴの大発生は何世紀にもわたって記録されており、古代から現代に至るまで各地で農作物被害を引き起こしてきた。近年では、2004〜2005年の西アフリカでの被害や、2019年以降の東アフリカ~南アジアにかけての大規模な再発が国際的な注目を集めた。これらの事例では、異常気象(熱帯低気圧やサイクロン)による繁殖地の拡大が大群化を助長したとされる。
監視と防除の方法
効果的な対応には早期警戒と迅速な防除が不可欠であり、国際的な協力と科学的な監視が重要である。
- 監視・予報:衛星データや気象予測、現地の地上調査を組み合わせて繁殖の兆候を早期に検出する。国際機関や各国の防疫部門が情報を共有して対応を調整する。
- 化学的防除:地上噴霧や航空散布による殺虫剤の使用が一般的だが、非標的生物や環境への影響を考慮して実施する必要がある。
- 生物的防除・低環境負荷技術:特異的な菌類(例:Metarhizium属)を使ったバイオ農薬やフェロモン・物理的防御など、環境負荷の低い手法も研究・導入されている。
- 地域レベルの対策:早期検出時点での局所的駆除、農民への情報提供、被害軽減のための備蓄食糧の確保など。
国際的な取り組みと今後の課題
砂漠のイナゴ対策には国境を越えた協力が不可欠で、情報共有・資材支援・技術移転が行われている。一方で、気候変動に伴う極端な気象イベントの頻度増加が大発生リスクを高める可能性があり、予防的監視体制の強化や環境負荷の少ない防除法の普及が今後の重要課題となる。
一般向けのアドバイス
- 地域でイナゴの初期群を見かけたら、地方の農業担当部署へ速やかに通報する。
- 農家は被害軽減のため、早期防除の情報や支援を活用すること。自己判断での農薬使用は周囲の生態系や健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、専門家の指示に従う。
- 被害が深刻な場合は、国際機関や支援団体による食料・資金援助に関する情報を確認する。
砂漠のイナゴは古くから人類の食料生産にとって脅威であり続けているが、早期発見と国際的な連携、そして環境影響を最小化した防除技術の導入によって被害を抑えることが可能である。
開発
この昆虫は完全な変態をしない。幼虫は「齢(れい)」と呼ばれる段階を経て成長する。幼虫が成虫に近づくと、「ニンフ」または「ホッパー」と呼ばれるようになります。ホッパーには、単独で行動するものと群れで行動するものがある。
単独行動期では、ホッパーは集団で行動せず、単独で動き回る。後期には草の色に合わせた緑色や茶色を帯びた色彩になる。
群生期にはホッパーが束になり、後期には黄色地に黒のマークが入った大胆な色彩になる。未熟児はピンク色、成虫は鮮やかな黄色で、日中は密集して飛ぶ。
孤立した昆虫から貪欲なイナゴの群れに変わるのは、たいてい干ばつが続いた後、ようやく雨が降り、砂漠のイナゴの繁殖地に植物が茂ったときだ。このとき、イナゴの群れは急速に増え、食料をめぐる競争が激化する。
ホッパーが密集すると、物理的な接触が多くなるため、昆虫の後ろ足がぶつかり合うようになる。この刺激が代謝の連鎖的変化を引き起こし、昆虫は単独行動期から群れ行動期へと移行する。ホッパーが群生すると、体色は大部分が緑色から黄色や黒色に変わり、成虫は褐色からピンク色(未熟)または黄色(成熟)に変化する。体は短くなり、フェロモンを出して互いに引き合うようになる。これにより、群れを形成する。

砂漠のイナゴの幼虫の群れ(上)と群れ(下
質問と回答
Q: 砂漠のイナゴとは何ですか?
A:砂漠のイナゴはイナゴの一種です。
Q:砂漠のイナゴの脅威は何ですか?
A:アフリカ、中東、アジアの農業生産に脅威を与え、世界人口の10分の1がこの貪欲な昆虫の影響を受けると言われています。
Q:イナゴの大群はいつ発生するのですか?
A:イナゴの大群は毎年発生するわけではなく、条件が整ったときに発生します。
Q: なぜイナゴの中で最も危険な害虫なのですか?
A:イナゴの中でも最も危険な害虫である可能性があるのは、イナゴの大群が長距離を高速で飛行する能力があるためです。
Q: 砂漠のイナゴは1年に何世代あるのですか?
A:砂漠のイナゴは、1年に2~5世代を繰り返します。
Q: 2004-05年に発生した砂漠のイナゴの大発生による影響は?
A: 2004-05年に発生した砂漠のイナゴの大発生により、西アフリカで農作物が失われ、食料供給が減少しました。
Q: 飢饉の原因はイナゴだけなのですか?
A:いいえ、砂漠イナゴだけが飢饉の原因ではありませんが、その一因にはなっています。
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