ダリントン・ウォールズ(Durrington Walls)は、ストーンヘンジの世界遺産に登録されている大規模な新石器時代の集落と後のヘンジの囲いがあった場所ですストーンヘンジの北東約2マイル、エイムズベリーのすぐ北に位置するダリントン地区にあります。

発見と年代

2013年の発掘調査では、約1,000軒分と推定される住居跡が確認され、一時期には数千人規模(研究推定で最大約4,000人)の人々を支えた大集落であった可能性が示されました。この集落の炭素年代は紀元前2600年頃と推定され、多くの研究者はストーンヘンジとほぼ同時代に繁栄していたと考えています。

構造と規模

このモニュメントは研究者に「並外れた規模」と評され、ストーンヘンジ周辺のランドスケープの重要な一部を成しています。ストーンヘンジ・ヒドゥン・ランドスケープのチームによる5年間の地球物理学的調査では、リモートセンシングや地中レーダーなど発掘を伴わない手法で地下構造の詳細な地図が作成され、地中に埋もれた石や構造物の痕跡が100個近く明らかにされています。

ダリントン・ウォールズのヘンジは直径約500mとされ、イギリス最大級の環状遺跡の一つです。最近の研究では、このヘンジがストーンヘンジを補完する一連のモニュメントの一部であり、両者が一定の儀礼的・象徴的な関係にあった可能性が示唆されています。

土塁・溝・出入り口

現在目に見える遺構は主としてヘンジの土塁(ウォール)で、内部は中央の窪地(盆地)を囲む尾根状になっています。調査で示された構造の概要は次の通りです。

  • 溝の深さは最大で約5.5m、底部の幅は約7m、上部の幅は約18m。
  • 土手(バンク)の幅は場所によって最大約30mに達する箇所がある。
  • 北西と南東に入り口があり、溝と土手を介して内部へと通じている。

周囲には木製のサークルや小規模な囲い(円形囲い)が存在し、いくつかの新石器時代の住居の床面や柱穴が発見されています。これらの痕跡は、川に面した緩やかな斜面側に非常に高密度の居住域が広がっていたことを示しています。

埋没した立石列と追加の発見

地球物理学的探査により、ダリントン・ウォールズの土塁の下に多数の立石(stone settings)を示す異常が検出されました。2015年の調査では、約90個に及ぶ石の痕跡が土塁の下方に存在する可能性が指摘され、これらは「わずかに湾曲した列」を成しているように見えます。これらの発見は、磁気探査や地中レーダーなどの特殊な考古学的手法によって明らかになったもので、これらがストーンヘンジの初期段階と同時期のものかどうかはまだ確定していません

考古学的意義と研究の方向

ダリントン・ウォールズは、生活空間としての大規模集落と祭祀的空間(ヘンジ)が同一ランドスケープ内でどのように共存していたかを示す重要な鍵です。出土した動物骨や食器・炉跡などは大規模な宴会や季節的な集会の存在を示唆しており、研究者の間では「生者の場(Durrington Walls)」と「死者の場(Stonehenge)」という対比的解釈がしばしば議論されています。

現在も地中探査・発掘・年代測定・環境分析など複数の手法が併用され、遺跡の成立過程、社会的機能、ストーンヘンジとの関係を明らかにするための研究が続けられています。将来的な発掘や新しい分析法により、さらに多くの詳細が解明されることが期待されています。