新石器時代とは:農耕・家畜化の始まりと地域差をわかりやすく解説
新石器時代の定義・農耕と家畜化の始まり、地域差を図解と事例でやさしく解説。初心者でも歴史の流れがつかめる入門ガイド。
新石器時代とは、石器時代の中でも最も新しい時代のことである。英語の「Neolithic(ネオリシック)」という語は、ギリシャ語の「neos(新しい)」と「lithos(石)」に由来し、従来の打製石器中心の文化から、研磨した石器や新しい生活様式へ移った時期を指す。
何が変わったのか(主な特徴)
- 農業の開始:新石器時代は、農耕が発明され、人々が定住して作物を栽培するようになった時代である。小麦や大麦、後には稲や雑穀、中央・南米ではトウモロコシなどが重要作物となった。
- 家畜化:人々は野生動物の中から飼いやすい種類を選び、計画的に飼育を始めた。たとえば、牛、羊、豚などの動物が家畜化され、肉・乳・毛・労働力として利用された。
- 道具と技術の変化:石を磨いてつくる研磨石器や、土器(陶器)、織物・繊維加工、農具(プラウの原型など)といった新しい技術が広がった。
- 定住と集落形成:狩猟採集時代に比べ、長期的に住む集落が増え、家屋・貯蔵施設・共同作業場の発達が見られる。規模の大きな集落や初期の都市的な性格を持つ遺跡もある。
- 社会の変化:余剰生産による貯蔵と交換、専門職の分化、階層化の芽生え、宗教や儀礼の複雑化などが進む。
地域差と時期
新石器時代の始まりは地域によって大きく異なる。農耕や家畜化が一度に世界中で起きたわけではなく、各地で独自に始まったり、文化が伝播したりした。
- 西アジア(肥沃な三日月地帯):およそ紀元前10000年頃から紀元前8000年頃にかけて農耕・家畜化が始まったとされ、世界で最も早い新石器化の中心の一つ。
- 中国:黄河・長江流域で早期農耕(粟・稲)と土器文化が発達し、地域によって紀元前7000年〜前3000年頃にかけて新石器文化が成熟した。
- ヨーロッパ:西アジアから農耕が伝わり、紀元前7000年頃から地域ごとに新石器化が進行。北へ行くほど遅れて普及した。
- 日本と東アジアの一部:縄文文化は早期に土器を持ち、長期の定住的狩猟採集社会を示す一方、稲作文化が本格化するのは弥生時代以降で地域差が大きい。
- アメリカ大陸:トウモロコシなどの栽培が独自に発展し、新石器的変化は地域により紀元前3000年〜前1000年頃と遅れることが多い。
代表的な遺跡や文化
新石器時代の理解には遺跡の発見が重要である。たとえば、トルコのチャタル=ヒュユク(Çatalhöyük)や中東のジェリコ(Jericho)、中華圏の仰韶文化、日本の縄文遺跡など、それぞれの地域で特色ある集落や土器文化が見られる。これらの遺跡から、住居のかたち、食物の種類、埋葬や儀礼のあり方などが明らかになっている。
影響と注意点
- 農耕と定住は人口の増加や技術発展を促したが、栄養の多様性の低下や疾病の拡大、環境への影響(森林伐採・土壌劣化)などの問題も引き起こした。
- 「新石器時代=文明の始まり」と単純に結びつけるのは誤りで、地域ごとの特殊性や漸進的な変化を重視する必要がある。狩猟採集と農耕が混在する地域や、器物のある狩猟採集社会も存在する。
まとめると、新石器時代は人類の生活様式が大きく変わった時期であり、農耕と家畜化、定住化、技術革新が特徴である。しかし始まりや進み方は地域ごとに差が大きく、各地の遺跡や考古資料から多様な展開が明らかになっている。新石器時代の後は、青銅器時代となる地域が多く、そこからさらに金属器や複雑な社会が展開していった。

色の違いは、中新石器時代の文化の種類を表している
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