救急医療(Emergency Medicine)とは:定義と救急部の役割
救急医療の定義と救急部の役割を分かりやすく解説。緊急対応の範囲、医師の専門性、受診の目安まで詳述。
救急医療は医学の専門分野です。ここでいう「専門」とは、医師がより深い知識と技術を持つ医学の特定の領域を指します。たとえば、小児科(子どもの医療を担当する)、老年科(高齢者医療)、循環器科(心臓の病気を専門とする)などがその例です。救急医療は、これらと同じく専門性を持ちながら、全年齢・幅広い疾患に即応することが求められます。
Emergency Medicine(略してEM)は、Accident and Emergency Medicine(AEM)とも呼ばれ、急に発生した病気やけが(緊急事態)に対して迅速に診断・治療を行う分野です。救急を要する状態は、放置すると病状が悪化したり、生命にかかわることがあるため、早期の対応が重要です。
救急部(救命救急科/Emergency Department)の役割
EMの医師は通常、病院の救急部で働きます。救急部は、外傷や急性疾患で来院した人が最初に診察・治療を受ける場で、傷害科や緊急処置室とも呼ばれます。救急部は、多くの病院で24時間体制で運営され、外からわかりやすいように赤い十字や赤い文字などの表示がされていることがあります。これは、文字が読めない人や夜間でも場所が分かるようにする配慮です。
救急医師に求められる知識と技術
救急医は、医学の多くの分野について幅広く理解している必要があります。主な特徴は次のとおりです。
- 全年齢(新生児〜高齢者)・両性(男性・女性)に対応する能力
- 心停止、重症外傷、呼吸不全、ショック、重症感染症などの生命を脅かす状態の初期対応(蘇生、気道確保、止血など)
- 短時間での鑑別診断と優先順位付け(トリアージ)の技能
- 必要に応じて各専門科と連携して入院治療や手術へつなぐコーディネーション能力
- 慢性疾患の長期管理は必ずしも専門外だが、急性増悪への対応や非緊急の相談・初期治療も行う能力
救急部での典型的な流れと対応
救急部では、次のようなプロセスで患者が診察・処置されます。
- トリアージ(優先順位付け):到着時に症状の重さを評価し、治療の優先順位を決めます。
- 初期評価と安定化:生命に関わる問題(呼吸、循環、意識など)をまず安定化させます。
- 検査と診断:必要な血液検査、画像検査(レントゲン、CT、超音波など)を迅速に行います。
- 治療と処置:薬物療法、点滴、止血、縫合、骨折整復、胸腔ドレナージなど、必要な処置を行います。
- 転院・入院・退院の判断:専門治療が必要なら専門科へ引き継ぎ、軽症であれば外来処方や帰宅指導を行います。
救急医療を受けるべきケースと受診前の目安
救急外来の受診が必要な例:
- 激しい胸痛、呼吸困難、意識障害、重度の出血、重い外傷(高所からの落下、大きな事故など)
- 急激な意識低下や麻痺、ひどい頭痛や突然の視力障害(脳卒中を疑う症状)
- 高熱でぐったりしている、けいれんが止まらない、小児のぐったり
緊急ではないが医療が必要な例(場合によっては救急外来でも対応):
- 軽度の発熱、咳、のどの痛み、軽い切り傷や擦り傷
- 慢性疾患の軽い増悪や薬の相談(可能ならまずかかりつけ医に連絡)
可能であれば、救急外来を受診する前に、かかりつけ医や地域の医療相談窓口に電話で相談すると適切な受診先が案内されます。緊急車(救急搬送)が必要かどうかの判断も重要です。
救急医療のチームと連携
救急部では、医師だけでなく看護師、救急救命士(EMS)、放射線技師、臨床検査技師、リハビリスタッフ、事務スタッフなど多職種が連携して働いています。救急医は各専門科と密に連携し、必要時には手術室や集中治療室(ICU)へ迅速に移送します。
教育と課題
救急医療は高度な判断力と技術を要するため、研修やシミュレーション教育が重視されています。一方で、救急外来への軽症患者の受診増加、夜間・週末の人手不足、地域医療資源の偏在などの課題があります。これらに対しては、地域ぐるみの医療体制整備や救急医療への理解促進が必要です。
最後に、救急医療は「いのちと機能を守る最前線」です。重症患者に対する即時対応だけでなく、幅広い症状に対する初期診療や他科への橋渡し、地域住民への予防啓発にも重要な役割を果たしています。

自宅での救急患者の治療は、このようなイメージになるかもしれません(イラストのみのために作られたものです)。
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質問と回答
Q: 救急医療とは何ですか?
A: 救急医療(EM)は、緊急の治療を必要とする病気や怪我の治療に重点を置く医学の専門分野です。
Q: 他の専門分野にはどのようなものがありますか?
A: 小児科、老年科、循環器科などがあります。
Q: EMの医師は通常どこで働いているのですか?
A: EMドクターは通常、救急部(カジュアル部門や緊急治療室としても知られています)で働きます。救急部は、緊急事態が発生したときに人々が駆けつける場所です。
Q: 救急外来はどのように見分けるのですか?
A: 救急外来の看板には、救急外来であることを示す赤い十字や赤い文字が書かれていることがあり、字が読めない人でもどこに行けばいいのかがわかります。
Q: EMの医師はどのような人を診ているのですか?
A: EM医は老若男女を問わず、あらゆる人を診ます。どのような緊急事態にも対応できるような知識が必要です。
Q: EMドクターの専門は救急だけですか?
A: いいえ、緊急事態の治療を専門としていますが、緊急事態でない問題で救急外来を受診する人も多いので、緊急事態でない場合の治療法も知っていなければなりません。
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