エノク(聖書人物と外典的伝承)
創世記でヤレドの子、メトシェラの父として言及されるエノクは、「神と共に歩んだ」とされ、神に取られたと伝えられる。外典や後代のユダヤ教・キリスト教・イスラム教伝承でも重要な人物。
概要
エノクはヘブライ語聖書に登場する、短いながら重要な人物である。創世記の系譜ではアダムの子孫として記され、ヤレドの子でありメトシェラの父とされる。創世記には、エノクが「神と共に歩んだ」こと、そして通常の死を迎えるのではなく神に取られたことも記されている。聖書本文や研究については、より広い聖書と、創世記の該当箇所を参照するとよい。
画像ギャラリー
6 画像聖書的記述と特徴
正典におけるエノクの記述は簡潔で、義しさと、死を経ない異例の去り方で知られる。創世記は、神との親しい関係を「神と共に歩んだ」という表現で示しており、後代の解釈では、特別な恩寵、預言者的地位、あるいは神秘的な交わりを意味すると読まれてきた。また創世記に記される寿命は、後の族長たちのそれと対照的であり、宗教的注解で注目を集めてきた。
外典・偽典文学
創世記の外でも、エノクは彼に帰せられる外典・偽典文書に長く登場する。もっとも有名なのは1エノクと呼ばれる文書群である。これらの文書は、彼を幻視者であり仲介者として描き、天上界への旅、天使や悪しき者の運命に関する啓示、そして将来の審判についての教えを広げている。大半の聖書正典には含まれないが、こうした著作は第二神殿時代のユダヤ教の一部や初期キリスト教思想に影響を与えた。
宗教的意義と後世への影響
エノクは新約聖書や後代の伝承でも言及される。ヘブライ人への手紙は彼の信仰に触れ、ユダの手紙はエノク書の一節を引用、またはそれに言及している。ラビ文献とキリスト教の伝承では、預言者、書記、あるいは敬虔さの模範としてさまざまに描かれる。イスラム教の伝承では、一般に彼は預言者イドリースと同一視される。
注目される特徴と受容
- 聖書人物の中でも特異で、エノクは通常のように死んだのではなく、神に取られたと記される。
- 彼は天使論、終末論、啓示に関する考え方を形づくった、広範な偽典文書群の着想源となった。
- エノクの解釈は、実在した歴史的人物から、従順な生の象徴的範例まで幅広い。
入門的な理解には、現代の注解書や翻訳で、短い創世記の記述と広範なエノク文献の双方を扱うものが有用である。専門的研究では、後代の共同体がエノクを神学的・文学的伝統にどのように取り入れたかが検討されている。
関連項目
著者
AlegsaOnline.com エノク(聖書人物と外典的伝承) Leandro Alegsa
URL: https://ja.alegsaonline.com/art/31542
出典
- wol.jw.org : Enoch