エプスタインバーウイルス(EBV)とは|症状・感染経路・がんとの関連と予防

エプスタインバーウイルス(EBV)の症状・感染経路・がんとの関連と最新の予防対策をわかりやすく解説。リスクと対処法を確認。

著者: Leandro Alegsa

エプスタインバーウイルスEBV)は、ヒトヘルペスウイルス4(HHV-4)とも呼ばれ、ヘルペス科の8つのウイルスのうちの1つです。それは、ヒトで最も一般的なウイルスの一つです。EBVは、唾液などの体液を介して人から人へ広がり、多くの人が幼少期または思春期に一度は感染しますが、多くは無症状か軽症で経過します。

感染経路と感染のしくみ

EBVは主に唾液を介して伝播します。口移し(キス)や同じ食器・飲み物の共有、歯ブラシの共有などが原因になることがあります。性器分泌物を介した感染も報告されています。まれに、輸血や臓器移植での伝播、母子感染、免疫抑制下での再活性化に伴う伝播が起こることがあります。

初感染後、ウイルスは主にB細胞と上皮細胞に感染し、免疫系により急性期が制御されると非活動状態(潜伏感染)となり、感染者のB細胞に一生残ります。潜伏期のウイルスは時折再活性化して唾液中に排出されるため、無症状のキャリアからも感染が広がり得ます。

症状(臨床像)

EBV感染は年齢によって症状の出方が異なります。多くの幼児感染は無症状か軽症で経過しますが、思春期以降に初感染すると、感染性単核球症(腺熱)を発症することがあります。米国では、5歳児の約半数、成人の約90%が以前に感染したとされています。思春にEBVに感染すると、35~50%の割合で腺熱を発症します。

  • 主な症状:発熱、喉の痛み、首や脇のリンパ節の腫脹、強い倦怠感(疲労)
  • その他:扁桃腫大、脾腫(脾臓の腫れ)、肝腫大や肝機能障害、発疹
  • まれな合併症:気道閉塞、脾破裂、神経学的合併症(髄膜炎、脳炎)、溶血性貧血や血小板減少などの免疫性合併症

ウイルスと免疫応答・潜伏感染

EBVは感染初期に増殖(溶解サイクル)し、その後B細胞に潜伏します。潜伏期にはウイルス遺伝子の発現が制限され、免疫系(特にT細胞)によって抑えられますが、完全に排除されることはありません。免疫が低下するとウイルスが再活性化し、症状やウイルス排出が起こることがあります。これが移植後の合併症(PTLD:移植片対宿主、または移植関連リンパ増殖性疾患)などにつながる場合があります。

がんとの関連

EBVは一部の悪性腫瘍と関連しています。代表的なものに、ホジキンリンパ腫、バールトリンパ腫(Burkittリンパ腫)、鼻咽頭がん(特に東南アジアや北アフリカで多い鼻咽頭癌)、胃癌の一部、免疫抑制下でのリンパ増殖性疾患(PTLD)などがあります。ウイルスはEBNAやLMPといった遺伝子産物を通じて宿主細胞の増殖・分化に影響を与え、がん化を助長すると考えられています。年間約20万人のがん患者が、EBVによって(またはEBVに関連して)引き起こされている可能性があると推定されていますが、多くの感染者はがんを発症しません。発がんにはウイルス以外の因子(遺伝的因子、環境因子、共感染、免疫状態など)が関与します。

診断

臨床所見だけではひとつに絞れないことがあるため、以下の検査が用いられます。

  • ヘテロフィル抗体検査(Monospot試験):感染性単核球症のスクリーニングに用いられますが、特に早期や小児では感度が低いことがあります。
  • EBV特異的血清検査:ウイルス核抗原(VCA)IgM/IgG、EBNA(エプスタイン・バール核抗原)IgGなどを組み合わせて急性感染・既往感染・潜伏感染を判定します。
  • 血中EBV DNAのPCR検査:免疫抑制患者や移植後の監視、腫瘍診断で有用です。
  • 組織診、免疫組織化学、in situハイブリダイゼーション:腫瘍組織でのEBV関与を評価するために用いられます。

治療・管理

急性の感染性単核球症の治療は主に支持療法が中心です。十分な休養、水分補給、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs)で症状を和らげます。重度の扁桃肥大や気道閉塞、重篤な血液学的合併症がある場合は入院しての治療やステロイド投与が検討されます。

抗ウイルス薬(アシクロビルなど)は一部でウイルス複製を抑える作用があり、唾液中のウイルス排出を減らすことはありますが、潜伏感染を消失させる効果は限られており、標準治療とはなっていません。EBV関連リンパ腫や鼻咽頭がんなどが疑われる場合は、化学療法、放射線療法、免疫療法(リツキシマブなど)が適応となることがあります。

予防

  • 現時点で広く利用可能なEBVワクチンはありませんが、研究・開発が進められています。
  • 日常的な予防としては、唾液の直接的な接触を避ける(キスや食器共有の回避など)、手洗い、衛生管理が有効です。
  • 輸血や臓器移植ではドナーのスクリーニングや受給者の監視が行われ、免疫抑制下の患者では血中EBV DNAのモニタリングや早期介入が推奨される場合があります。

いつ受診するか(注意点)

高熱が続く、激しい喉の痛みで飲食ができない、激しい全身倦怠感、脾臓の腫れが疑われる(左上腹部の圧痛・腫脹)、呼吸困難、神経症状(意識障害、けいれんなど)がある場合は速やかに医療機関を受診してください。思春期や若年成人で感染性単核球症と診断された場合、脾臓破裂のリスクがあるため接触スポーツや激しい運動は医師の指示があるまで避けるべきです。

疫学・予後

世界的に非常に一般的なウイルスで、ほとんどの人が生涯のうちに感染します。多くは軽症で自然に回復し、後遺症は少ないですが、疲労感が長引くことがあります(慢性疲労症状の一因とされることもあります)。一方で、EBVは一部のがんや免疫抑制下の重篤な疾患と関連するため、特に免疫不全の患者では注意が必要です。

以上のように、EBVは広く存在するウイルスであり、多くは問題なく免疫を獲得しますが、一部で重篤な合併症やがんを引き起こす可能性があるため、症状が強い場合や免疫抑制下の患者では適切な診断・管理が重要です。

質問と回答

Q:エプスタイン・バー・ウイルスとは何ですか?


A: エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)はヘルペスウイルスの一種で、ヘルペス科に属する8つのウイルスのうちの1つです。ヒトに最も多く存在するウイルスの一つであり、伝染性単核球症(腺熱)の原因として最もよく知られています。

Q: EBVはどのように広がるのですか?


A: EBVは経口感染で広がります。つまり、唾液や性器の分泌物によって感染するのです。

Q: どれくらいの人がEBVに感染しているのですか?


A: 米国では、5歳児の約半数、成人の約90%が過去に感染した形跡があると言われています。多くの子供たちがEBVに感染していますが、通常は症状が出ないか、あるいは軽度の短期間の疾病にとどまります。

Q: 思春期にEBVに感染するとどうなるのでしょうか?


A: 思春期にEBVに感染すると、35~50%の確率で腺熱を起こします。

Q: EBVは体のどこに感染するのですか?


A: EBVは免疫系のB細胞や上皮細胞に感染します。

Q: 非活性のEBVは、初感染が治った後も一生体内に留まるのですか?


A: はい、一度初期感染を抑えると、非活性型EBVは一生その人のB細胞にとどまります。

Q: EBVに起因または関連する癌は、年間何件くらい発生するのでしょうか?A: 年間およそ200,000人の癌患者が、EBVによって、あるいはEBVに関連して発症している可能性があります。


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