概要
欧州経済共同体(一般にEECと略記)は、1957年のローマ条約によって創設され、加盟国間の経済統合を促進することを目的としていた。関税同盟と共通市場の確立をめざし、財・サービス・資本・人の自由な移動を可能にすることを想定していた。その多くの政策と制度は、マーストリヒト条約による変更の後、欧州連合に引き継がれた。
基本的特徴
EECの中核は、加盟国間の関税撤廃と対外共通関税、さらに協調的な経済政策の組み合わせにあった。主要な政策分野には、貿易自由化、競争ルール、農業政策のような分野別施策が含まれていた。時代が進むにつれて、その範囲は規制の調和や単一市場への歩みにまで広がっていった。
制度と意思決定
EECは超国家的な制度枠組みを発展させた。すなわち、立法を提案し実施を監督する委員会、措置を採択するために各国政府を代表する理事会、権限を強めていく議会的な議会、そして共同体法を解釈する司法機関である。これらの機関は、後の欧州の枠組みにおいて用いられる中核機構へと発展した。
加盟と拡大
- 原加盟国:ベルギー、フランス、西ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ。
- その後の拡大には、1973年のイギリス、アイルランド、デンマーク、1981年のギリシャ、1986年のスペインとポルトガルなどが含まれる。
影響と重要性
EECは、数十年にわたる経済成長、国境を越えた貿易の拡大、西ヨーロッパ全体での規制の収れんを促した。貿易障壁の削減、企業と消費者にとってより大きな統合市場の形成、そして大陸における政治協力と安定に寄与する枠組みの提供に役立った。
遺産と区別
20世紀後半には、マーストリヒト改革の後、EECの制度と政策はより広い欧州連合の枠組みに組み込まれた。その協力範囲は通貨政策や外交にも広がった。EECは、マーストリヒト条約以前の枠組みや、石炭鉄鋼共同体のような分野別機関、そして後のEUとしばしば区別される。主眼は、全面的な政治統合ではなく、経済統合にあったからである。