フラジオレットとは|16世紀発祥の木管楽器:種類・構造・歴史
16世紀発祥の木管楽器「フラジオレット」の種類・構造・歴史を図解で紹介。フランス式・イギリス式、リコーダー・ピッコロとの関係や名曲も解説。
フラジオレットは、16世紀に登場した古い木管楽器で、吹き口(ふいご)を持つフルート族に属します。民謡や舞曲で広く用いられ、やがて演奏様式や構造の違いから、主にフランス式とイギリス式の2種類に分かれて発展しました。
種類と構造
代表的な2つの型は次の通りです。
- フランス式フラジオレット:表面に4つ、裏面に2つの指穴がある構成が典型的です。吹き口はリコーダーに似たふいご(フイプル)式で、音の出し方や指使いに独特の特徴があります。リコーダーと外見・原理が似ているため、入門者にもイメージしやすい楽器です。
- イギリス式フラジオレット:表に6つの穴を配したタイプが一般的で、指使いがフルートやほかのふいご楽器と異なるため、別個の奏法体系が生まれました。
材料は主に木材が用いられましたが、18世紀以降には象牙や骨で作られた細いマウスピースが上部に取り付けられる変型が現れました。そのマウスピースは膨らんだ別部とつながり、その内部に湿気を吸収する柔らかいスポンジが入れられていることが多く、これにより吹奏感や音色が変化しました。こうした仕様のものはフラウティーノと呼ばれることもあり、後のピッコロ類へとつながる発展を見せます。
歴史と発展
フラジオレットは16世紀に民謡の伴奏や舞曲で使われ始め、地域や用途に応じて形や指孔配列が分化しました。17〜18世紀には室内楽や声楽伴奏にも登場し、装飾的なパッセージや愛らしい高音域を活かした曲が作られました。著名な作曲家としては、ヘンリー・パーセルやジョージ・フリデリック・ヘンデルがこの楽器のために曲を書いており、当時の室内楽曲や声楽伴奏にフラジオレットの音色が好まれて使われました。
19世紀以降、横吹きフルートやピッコロ、鍵盤楽器の発達によりフラジオレットの使用は減少しましたが、20世紀以降の古楽復興運動により復元・演奏される機会が増え、現在では歴史的演奏や民族音楽の再現で用いられています。
演奏法と音色
基本的な音の出し方はふいご(fipple)式で、息を吹き込んでエッジに当てることで音を発生させます。音域は種類や個体によりますが、おおむね1オクターブ半から2オクターブ前後が得られ、明るく澄んだ高音が特徴です。運指には半孔や交差指(クロスフィンガリング)を用いることで半音や装飾を表現します。
関連楽器と文化的影響
- フラジオレットから発展した楽器に、ピッコロや各種の小型横笛が挙げられます。
- また、単純化・廉価化された民族楽器であるティン・ホイッスル(アイリッシュ・ホイッスル)も系譜の一端を持つとされています。これらは民族音楽やダンス音楽で現在も広く使われています。
- 特異な用途としては、小型化した「バード・フラジオレット」が作られ、鳥に歌を教えるために使われたという記録があります。小型で高い音域を持つため、鳥の鳴き声に似せた模倣が可能でした。
今日では、歴史的資料や復元品を基にした演奏や、当時の奏法を再現する研究が進んでおり、古楽アンサンブルでフラジオレットの独特の音色を聞く機会が増えています。興味があれば、歴史楽器の製作家や古楽団体の情報を参照すると、実演やワークショップに触れることができます。
フラジオレット - 19世紀
質問と回答
Q: フラジオレットとは何ですか?
A: フラジオレットは、エンドブローフルートに属する古い木管楽器です。
Q: フラジオレットの歴史は?
A: フラジオレットは、16世紀に民俗音楽で使われ始めました。やがて、フランス式とイギリス式の2種類になりました。
Q: フランス製とイギリス製のフラジオレットはどう違うのですか?
A: フランスのフラジオレットは、前面に4つ、背面に2つの穴が開いていました。イギリスのフラジオレットは、前面に6つの穴が開いていました。
Q: フラジオレットは他の楽器と似ていますか?
A:はい、フラジオレットはリコーダーとよく似ています。
Q: 18世紀にフラジオレットはどのように変更されたのですか?
A: 上部に象牙や骨でできた細いマウスピースが付けられました。これが別の部分につながっていて、膨らんでいます。この先には柔らかいスポンジが付いていました。
Q: フラジオレットから発展した他の楽器にはどんなものがありますか?
A: ピッコロとティン・ホイッスルがフラジオレットから発展した楽器です。
Q: フラジオレットのために曲を書いたのは誰ですか?
A: ヘンリー・パーセルとジョージ・フリデリック・ヘンデルの2人がフラジオレットのための曲を書きました。
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