頭頸部がんとは|口腔・咽頭・喉頭の原因・症状・治療ガイド

頭頸部がんや咽頭がんは、唇、口腔(口)、鼻腔(鼻の中)、副鼻腔、咽頭、喉頭のいずれかに発生するがんの一種である。頭頸部がんの90%は、これらの部位の粘膜(上皮)から発生する扁平上皮がん(SCCHN)です。このがんは、アルコールの飲み過ぎや噛みタバコが原因で発生することがあります。

概要と分類

頭頸部がんは発生する部位により以下のように分けられます。病変の場所によって症状や治療方針が大きく異なります。

  • 口腔がん(唇、舌、頬粘膜、歯肉、口底など)
  • 咽頭がん(鼻咽頭、口咽頭、下咽頭)— 特に扁桃や舌根にできることが多い
  • 喉頭がん(声帯など)
  • 鼻腔・副鼻腔がん
  • 唾液腺がん(種類が多く、扁平上皮がんとは異なる)

原因・リスク要因

  • 喫煙・受動喫煙:最大の危険因子の一つ。タバコの種類(紙巻・噛みタバコ等)を問わず関連が強い。
  • 飲酒:大量飲酒は喫煙と相互作用してリスクを高める。
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)感染:特に口咽頭(扁桃・舌根)に関連し、HPV16が原因になることが多い。HPV陽性の口咽頭がんは治療反応性が良く、予後が比較的良好なことがある。
  • 職業的曝露・環境因子:有害物質(アスベスト、ニトロソアミン等)の曝露が関係する場合がある。
  • 口腔内の慢性的な刺激や衛生不良、栄養状態の悪さなども関与することがある。

主な症状

初期は軽微な症状しか出ないことが多く、見逃されやすいです。以下の症状が2週間以上続く場合は耳鼻咽喉科や歯科、がん専門医の受診を検討してください。

  • 口内のしこりや潰瘍(治りにくい口内炎)
  • のどの痛み、違和感、飲み込みにくさ(嚥下障害)
  • 声のかすれ・嗄声(特に2週間以上続く場合)
  • 首のしこり(リンパ節の腫れ)
  • 耳の痛み(非特異的耳痛)や難聴、鼻血
  • 体重減少、持続する口臭や出血

検査と診断

  • 診察・内視鏡検査:口腔内や咽喉の視診、喉頭ファイバー(経鼻内視鏡)による観察。
  • 生検(組織診):疑わしい部位を採取し、病理でがんかどうか、組織型やHPV検査などを行う。
  • 画像検査:CT、MRI、超音波、PET-CTなどで腫瘍の広がりやリンパ節・遠隔転移の有無を評価する。
  • 血液検査・機能評価:全身状態や治療耐性を判断するために行う。

病期(ステージ)と治療方針

病期(ステージ)は腫瘍の大きさ(T)、頸部リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)で決まります(TNM分類)。ステージ、発生部位、HPV状態、患者さんの全身状態により治療法が選ばれます。

治療法(主な選択肢)

  • 手術:早期の口腔・咽頭・喉頭がんでの切除、頸部リンパ節郭清(neck dissection)。口腔や咽頭では機能温存を重視した手術(経口的手術、レーザー、ロボット支援手術:TORSなど)が行われることもあります。
  • 放射線療法:局所制御を目的に単独または化学療法と併用(化学放射線療法、CRT)で行われる。強度変調放射線治療(IMRT)により正常組織への被ばくを減らす工夫が進んでいます。
  • 化学療法:進行例や再発・転移例で用いられる。シスプラチンなどが代表的で、放射線と併用することで治療効果を高めることがあります。
  • 分子標的治療・免疫療法:抗EGFR抗体(セツキシマブ)や、進行再発例でPD-1阻害薬(ペムブロリズマブ、ニボルマブ)が使われることがあります。
  • 緩和ケアと支持療法:痛み、嚥下障害、栄養不良、口腔内の合併症に対するケア。栄養管理、歯科処置、言語聴覚士によるリハビリが重要です。

治療の副作用と生活上の注意

  • 放射線・化学療法では口内炎(粘膜炎)、味覚障害、唾液減少(ドライマウス)、嚥下障害、皮膚障害などが生じることがある。
  • 術後は発声や嚥下の機能低下、顔面・頸部の変形が問題になる場合があり、リハビリや補助具(発声補助装置など)が必要になることがある。
  • 治療中は歯科受診や栄養士による介入、感染予防が重要。

予後とフォローアップ

予後はステージ、発生部位、HPV感染の有無、治療反応、患者の全身状態によって異なります。HPV陽性の口咽頭がんは比較的治療に反応しやすく、予後が良い傾向があります。治療後は再発・転移の早期発見のため定期的な診察・画像検査が行われます(一般に頻回なフォローが初期集中し、徐々に間隔が空くことが多い)。

予防とセルフケア

  • 禁煙・節酒:最大の予防策の一つ。喫煙と飲酒は相乗的にリスクを高めます。
  • 口腔ケア:定期的な歯科受診、口内の清潔維持は重要です。
  • HPVワクチン:HPV感染予防に有効で、将来的にHPV関連頭頸部がんのリスク低下が期待されます。接種の適用や推奨年齢は国や地域のガイドラインに従ってください。
  • 早期受診:口内の治りにくい潰瘍やしこり、持続する声のかすれやのどの違和感がある場合は早めに専門医を受診することが大切です。

最後に(受診の目安)

2週間以上続く口内の潰瘍、声の変化、飲み込みづらさ、首のしこりなどがあれば耳鼻咽喉科や口腔外科、適切ながんセンターを受診してください。診断・治療方針は個々の病変場所・病期・全身状態によって異なるため、専門医と十分に相談して最適な治療計画を立てることが重要です。

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  • 喉頭癌(Laryngeal cancer

質問と回答

Q: 頭頸部がんとは何ですか?


A: 頭頸部癌または咽頭癌は唇、口、鼻、副鼻腔、咽頭、喉頭から発生する癌の一種です。

Q-頭頸部がんで最も多いのはどのようなものですか。
A: 頭頸部がんの90%は扁平上皮がん(SCCHN)で、これらの部位の粘膜(上皮)から発生します。

Q: 頭頸部がんは体のどの部位から発生するのですか?


A: 頭頸部がんは口唇、口、鼻、副鼻腔、咽頭、喉頭から発生することがあります。

Q: 頭頸部がんの危険因子は何ですか?


A : アルコールの飲み過ぎや噛みタバコは頭頸部がんの危険因子です。

Q: 粘膜とは何ですか。
A: 粘膜とは、体内の様々な表面を覆っている細胞の保護層のことです。

Q: 咽頭がんは医学用語で何というのですか?


A: 咽頭癌の医学用語は頭頸部癌です。

Q: 頭頸部がんは喫煙によって引き起こされるのですか?


A: 頭頸部がんの原因として喫煙は挙げられていません。しかし、噛みタバコは危険因子として挙げられています。

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