ヘレフォードシャー州(Country of Herefordshire)は、イングランドのウェスト・ミッドランド地方に位置する州である。北はシュロップシャー州、東はウスターシャー州、南東はグロスターシャー州、南西はグウェント州、西はポーイス州と国境を接している。ロンドン北部のハートフォードシャーとは混同しないように注意が必要である。
発音は ['herəfədʃə](カタカナではおおむね「ヘレフォーダシャー」または「ヘレフォードシャー」)とされ、最初の音節にアクセントが置かれる。
ヘレフォードシャーの郡庁所在地は、大聖堂のあるヘレフォード市である。ヘレフォード大聖堂は中世以来の歴史的建造物で、世界的に有名な中世地図「マッパ・ムンディ(Mappa Mundi)」や古書を収めたチェインド・ライブラリー(Chained Library)を所蔵している。
地理と自然
ヘレフォードシャーはイングランド西部の農村地帯が中心で、起伏に富んだ景観と広大な牧草地、果樹園、ホップ畑が特徴である。主要河川はWye(ワイ)川で、ワイ川渓谷は美しい景観が続くAONB(特別景観保護地域)として知られる。その他にはLugg(ラグ)川などの小河川があり、豊かな自然環境はウォーキングやカヌーなどのレジャーに適している。
歴史(概略)
ヘレフォードシャーは古くから人が住んだ地域で、ローマ時代から中世にかけて要衝として発展した。ノルマン征服後には城や教会が多く築かれ、国境地帯(Welsh Marches)として軍事的にも重要な役割を果たした。近代には農業を基盤に発展し、産業革命による大規模工業化は比較的限定的であった。
行政面では1974年に近隣のウスターシャーなどと統合されて「Hereford and Worcester」という行政区が設けられたが、1998年に再び分割され、現在の単一自治体(unitary authority)としてのヘレフォードシャーが復活した。
経済と産業
経済は主に農業と食品加工が中心で、特にリンゴや洋ナシの果樹栽培、サイダー生産、ホップ栽培が盛んである。また、ヘレフォード牛(Hereford cattle)は全国的にも有名な牛種で、肉用牛として広く飼育されている。小規模の製造業や観光業も地域経済を支えている。
人口と生活
人口密度は低めで、田園地帯と小さなマーケットタウンが点在する。主要な町には、ヘレフォードのほか、Leominster、Ross-on-Wye、Bromyard、Kingtonなどがあり、地域内の商業・行政・文化の中心となっている。住民は比較的保守的で自然志向のライフスタイルを好む傾向がある。
交通
道路ではA49やA438などが主要な幹線道路として州内外を結ぶ。鉄道は本数が限られるが、ヘレフォード駅はWelsh Marches Line上にあり、カーディフやロンドン方面へ結ぶ路線が利用できる。公共交通の便は都市部に比べて劣るため、自家用車が主要な移動手段となっている。
観光と見どころ
- ヘレフォード大聖堂 — マッパ・ムンディやチェインド・ライブラリーを所蔵する歴史的建築。
- ワイ川渓谷(Wye Valley) — 景観保護地域で、ハイキングやカヌー、リバークルーズが人気。
- 農村景観とマーケットタウン — 伝統的なマーケットや地元の食材、市場祭など。
- ヘレフォード牛とサイダー — 地元の食文化として観光客にも人気。
気候
温暖で比較的穏やかな海洋性気候で、冬は厳しくなりにくく、夏は穏やか。降水は年間を通じてあるが、山間部や渓谷は局地的に多雨になることがある。
ヘレフォードシャーは豊かな自然と歴史遺産、伝統的な農業文化が調和する地域であり、ゆったりとした田園生活やアウトドア、歴史散策を求める人々にとって魅力的な場所である。