ヒマリア群は、ヒマリアと似た軌道をたどる木星の順行性非球形衛星群で、共通の起源を持つと考えられている。これらの衛星は木星を遠く周回する不規則衛星に分類され、軌道傾斜角が比較的揃っていることや、スペクトル特性や大きさ分布から「一つの破砕破片群(コラージェン家族)」である可能性が指摘されています。

特徴(軌道と物理性質)

  • 軌道半長軸(木星からの平均距離)はおおよそ1.1×10^7〜1.3×10^7 km の範囲に分布するとされ、木星系の不規則衛星の中でも比較的近い方に位置します。
  • 軌道傾斜角は概ね26°〜31°程度と、同じ傾向を示します(順行性)。
  • 離心率はやや高めで、典型的には0.1〜0.3程度の値をとることが多いです。
  • 物理的には不規則で暗く、反射率(アルベド)が低く、スペクトルはC型や類似した性質を示すものが多く、小惑星系起源を示唆します。

起源

現在の有力な説は「捕獲された小天体が木星近傍で破砕され、破片がほぼ同じ軌道を持つ衛星群になった」というものです。すなわち、元の親天体(直径数百km程度の天体)が木星に捕獲され、その後の衝突や潮汐的な破壊によって複数の断片(現在のヒマリア群のメンバー)が生じたと考えられます。スペクトルや色、サイズ分布が一致することがこの仮説を支持しています。

既知のメンバー

既知のメンバーは以下の通りです(木星に近いものから遠いものの順)。各衛星の直径は観測に基づくおおよその値です。

  • レダ(直径:約20 km程度)
  • ヒマリア(グループの名前の由来となった最大のもの、直径:約150–170 km)
  • Lysithea(直径:約30–40 km)
  • エララ(直径:約70–80 km)

最近発見された月S/2000 J 11の軌道推定でも、このグループの一員として認められましたが(傾きが同じで、半長軸が少し大きいようです)、その軌道は正確にはわかっておらず、平均軌道要素もまだ計算されていません。今後の追跡観測で所属が確定される可能性があります。

命名規則と観測の現状

国際天文学連合(IAU)では、このグループの月に-aの名前を付けています(順行性の不規則衛星には通常末尾が -a の名前が与えられます)。ヒマリア群は比較的近年まで発見・同定が進められており、新しい観測・追跡によって小さなメンバーがさらに見つかる可能性があります。スペクトル観測や高精度の軌道解析は、起源解明に重要な手がかりを与えます。

まとめと今後

ヒマリア群は、軌道や物理的性質が類似した順行性不規則衛星のまとまりで、捕獲→破砕という起源モデルで説明されることが多いです。既知の主要メンバーはヒマリアを中心に数個が確認されており、S/2000 J 11 のように追加候補もあります。今後の精密観測が群の全容把握と形成史の解明に寄与するでしょう。