インド系カナダ人とは?定義・歴史・分布・文化の特徴をわかりやすく解説
インド系カナダ人の定義・歴史・分布・文化の特徴を主要都市の移民背景と共にわかりやすく解説し、多様性と社会的影響を紹介。
インド系カナダ人とは、インドを祖先に持つ、あるいはインド出身の移民の子孫であるカナダ人のことを指します。カナダでは「南アジア系(South Asian)」「東インド人(East Indian)」といった呼称も使われますが、これは歴史的に混同されがちな用語(たとえばネイティブアメリカンを指す「インディアン」、カリブ海出身の「西インド人」など)と区別するためです。多くの当事者は単に「インド人(Indian)」や「南アジア系」と自称します。なお「インディアン」という呼び名の起源は、コロンブスが新大陸をインドの一部と誤認したことに由来すると説明されることがあり、呼称には注意が必要です(歴史的背景や文脈で使い分けられます)。
歴史的背景(簡潔な年表)
インド系の人々がカナダに関わる歴史は複数の経路と時代にまたがります。
- 19世紀末〜20世紀初頭:主にパンジャーブ地方出身の男性労働者がブリティッシュコロンビア州で鉄道や林業、港湾労働に従事するためやって来ました。しかし、入国制限や人種差別的政策(例:Komagata Maru事件など)に直面しました。
- 移民制度の変化(1960年代〜):1967年のポイント制導入以降、職業や学歴を基準とする新たな移民制度により、インドや南アジア諸国からの専門職を含む移民が急増しました。
- カリブ海・アフリカ経由の移民:インド本国以外に、カリブ海諸国、南米、アフリカ、中東の出身者(いずれもインド起源のコミュニティを持つ場合がある)もカナダへ移住し、多様な歴史的経験をもたらしました。
分布と人口動向
インド系(広くは南アジア系)はカナダで最も急速に増えている集団の一つです。多くは都市部に集中し、特にトロント、モントリオール、オタワ、カルガリー、バンクーバーなどの大都市圏で大きなコミュニティを形成しています。世代が進むにつれてカナダ社会のさまざまな分野(ビジネス、医療、教育、政治、文化)で存在感を高めています。2021年の国勢調査では、南アジア系はカナダの主要なビジブル・マイノリティ(visible minority)集団の一つであり、数百万人規模で増加していることが示されました。
言語・宗教・文化の特徴
インド系カナダ人は出身地域や宗教、世代によって非常に多様です。主な特徴を挙げます。
- 言語:英語やフランス語のほか、パンジャビ語、ヒンディー語、ウルドゥー語、グジャラート語、タミル語、テルグ語、ベンガル語、マラヤーラム語など多くの南アジア系言語が家庭やコミュニティで使われます。
- 宗教:ヒンドゥー教、シク教、イスラム教、キリスト教、ジャイナ教、仏教などが見られます。特にシク教徒のコミュニティはブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州に大きな存在感を持ち、宗教施設(グルドワラ)や行事が地域社会に深く根付いています。
- 食文化:インド系のレストランや食材店は都市部で広く普及しており、バラエティ豊かな料理(カレー、ビリヤニ、ドーサ、ロティなど)はカナダの食文化の一部になっています。
- 祭りと行事:ディワリ(Diwali)、バイサキ(Vaisakhi)、ホーリー(Holi)、イード(Eid)などの宗教的・文化的行事が公的にも祝われ、コミュニティの連帯と文化継承に寄与しています。
社会的地位と貢献
- インド系カナダ人は医師、エンジニア、IT専門職、学者、起業家、小売業など幅広い分野で活躍しています。
- 政治分野でも影響力を持ち、連邦・州レベルでの当選者や内閣経験者などが増えています。若い世代は両文化をつなぐ役割を果たし、社会参加が進んでいます。
直面する課題と今後の展望
多くの成功例がある一方で、課題も存在します。
- 差別や偏見:過去の入国制限や差別的な扱いの歴史があり、現代でも人種差別や偏見に直面する事例があります。
- 資格認定や雇用の壁:海外で取得した資格・経験の認定問題や、言語・文化的障壁により就労・昇進が難しい場合があります。
- 世代間ギャップ:文化の継承と同化のバランス、結婚・家族観の違いなどで世代間に摩擦が生じることがあります。
しかし、教育水準の向上、コミュニティ組織の強化、政治参加の拡大により、インド系カナダ人の社会的地位と影響力は今後も高まると見られます。
まとめ
インド系カナダ人は出自や移住経路、宗教、言語において非常に多様な集団であり、カナダの多文化社会を形成する重要な一員です。歴史的には困難な時期もありましたが、現在では政治・経済・文化の各分野で顕著な貢献をしており、地域社会に深く根付いています。地域や世代ごとの違いを理解し、多様性を尊重することが重要です。
質問と回答
Q:インドカナディアンとは何ですか?
A: インドカナディアンとは、インドに遡ることができる家族を持つ人のことです。
Q:なぜインド出身者を「東インド人」「南アジア人」と呼ぶのですか?
A: 「東インド人」と「南アジア人」という言葉は、インド出身の人々を、しばしばインド人と呼ばれるカナダの先住民族や、西インド人と呼ばれるカリブ海諸国の人々と区別するために使われています。
Q: なぜほとんどのインド系カナダ人は自分たちを「東インド人」ではなく「インド人」と呼ぶのですか?
A:インド系カナダ人の多くは自分たちを「インディアン」と呼んでいますが、これはクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸はインドであり、ネイティブ・アメリカンはインディアンであると考えたからです。
Q: インド系カナダ人の多くは、どこから来たのですか?
A: ほとんどのインド系カナダ人はインド出身ですが、カリブ海諸国、南米、アフリカ、中東から来た人もいます。
Q: インド系カナダ人は通常カナダのどこに住んでいるのですか?
A: インド系カナダ人は通常、トロント、モントリオール、オタワ、カルガリー、バンクーバーなどの都市に住んでいます。
Q: なぜインド系カナダ人は、カナダで最も急速に成長している人種のひとつなのですか?
A:インド系カナダ人は、移民のため、カナダで最も急速に成長している人種の1つです。
Q: インド系カナダ人の中には、インド以外の世界のどの地域から来た人もいますか?
A: インド系カナダ人の中には、カリブ海諸国、南米、アフリカ、中東から来た人もいます。
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