カルギル地区(ラダック)とは:地理・行政区分と主要地域ガイド

カルギル地区(ラダック)の地理・行政区分と主要地域を地図つきでわかりやすく解説。アクセス・観光スポット・地域の見どころも網羅。

著者: Leandro Alegsa

カルギルは、インド連邦直轄領ラダックの一地区である。北はパキスタン統治下のギルギット・バルティスタン、西はカシミールバレーとジャンムー州、東はレー州、南はヒマーチャル・プラデーシュ州に囲まれた国境線に位置する。カルギルは、カルギル、ドラス、サンクー、タイスル、シャルゴール、シャカール・チクタン、ザンスカール、GMポーレ/トレスポン、ルンナックの9ブロックに分かれる。カルギル、ザンスカール、サンクーの3つのTehsilがある。ザンスカールとドラスも小地区であり、行政的には小地区行政官が統括している。

地理と自然

カルギル地区はラダック地方の西部に位置し、標高が高く乾燥した山岳地帯が広がる。主要な河川はインダス川とその支流ザンスカール川で、河谷沿いに集落や農地が形成されている。山岳はカラコラム山脈やザンスカール山脈、ラダック山地に囲まれ、冬季は深い雪と厳しい寒さが続く。ドラスは世界でも有数の寒冷地帯として知られ、冬の気温が非常に低くなることが特徴である。

行政区分と主要集落

地区本部はカルギル町(Kargil town)で、行政・商業・交通の中心地となっている。前述のとおり9ブロックに分かれており、代表的な行政区画と主要集落は次の通りである:

  • カルギル(Kargil):地区本部。市場、行政機関、病院などの主要施設が集中する。
  • ドラス(Dras):カルギルの西に位置し、冬季の寒さで知られる。Kargil戦争の舞台となった地域の一つでもある。
  • ザンスカール(Zanskar):仏教文化が色濃く残る高地地域。トレッキングルートや冬季の凍結した川を使った移動(チナン)で知られる。
  • サンクー(Sanku)/シャルゴールなど:小規模な集落や農村が点在し、伝統的な農業・牧畜が営まれている。

人口・言語・宗教

カルギル地区の人口は比較的少なく、住民の多くは高地農牧民である。言語はラダック方言(ラダッキ)、バルティ語、シナ語、ウルドゥー語やヒンディー語など多様である。宗教面では地区全体で見るとイスラム教(特にシーア派)が優勢な地域が多い一方、ザンスカールなどではチベット仏教が強く根付いている。

気候

気候は高山性の寒冷乾燥気候で、夏は短く比較的穏やかだが夜間は冷える。冬は長く厳しい雪と氷に覆われ、主要道路が閉ざされることがある。降水量は少ないが標高と地形により局地的な差が大きい。

経済と生活

経済は主に農業、果樹(アプリコットなど)、家畜(ヤク、羊、ヤギなど)の放牧、伝統工芸、そして近年は観光に依存している。標高の高さと短い生育期のため農産物は限られているが、高品質の乾果(アプリコット)などが特産品となっている。

交通・アクセス

道路が主要な交通手段で、スリナガル(ジャンムー側)とレーを結ぶ幹線(国道)はカルギルを経由する。冬季は積雪や雪崩で通行止めになる区間があり、道路状況は季節で大きく変わる。空路はカルギル飛行場があるが、定期便は限られているため、多くはスリナガルやレーを経由する。

観光と見どころ

  • カルギル戦争記念碑(Kargil War Memorial):1999年のカルギル紛争を記念する施設で、多くの訪問者が訪れる。
  • ザンスカール渓谷のトレッキング、ザンスカール川のラフティング(季節限定)や冬の「チナン」(凍った川の上の移動)が体験できる。
  • 伝統的な僧院(ゴンパ)や村落の文化体験、高地の自然景観が魅力。

安全・国境の状況

カルギル地区は国境に近い戦略的要地であり、軍事拠点や検問箇所が多数存在する。歴史的にインドとパキスタン間の紛争の舞台となったこともあり、訪問時には現地の安全情報や通行規制に注意する必要がある。旅行者は必要な許可(場合によっては特別許可)や地域のルールを事前に確認することを推奨する。

まとめ

カルギル地区は、標高の高い山岳地帯ならではの厳しい自然環境と多様な文化が共存する地域である。農牧業や伝統文化、歴史的背景、そして山岳観光が特色であり、訪問には季節や安全情報の確認が重要である。

人口統計

人口14万人のカルギルは、ラダックで唯一イスラム教徒が多い地区である。全人口の85%がイスラム教徒で、そのうち73%がシーア派を信仰している。この地区のムスリムのほとんどは、カルギル市、ドラス、ワカ、スル谷の下流に住んでいる。残りの14%はチベット仏教とボン教の信者で、ほとんどがザンスカール州にいるが、スル谷の上部(ラングダム)、シェルゴル、ムルベック周辺に少数がいる。また、人口の1%はヒンズー教とシーク教を信仰している。

カルギルにはチベット系のプリグやバルティ(16世紀に仏教からイスラム教に改宗)が居住しており、ダルドやモンなどのアーリア系民族と混交している。主にイスラム教徒のダードはドラス谷に居住し、シーナ語を話し、ラマユル僧院の近くのダーハヌ地方には、ブロクパと呼ばれる少数の仏教徒が居住している。また、カルギル町にはアルゴン族が数人住んでいる。近年、カシミール地方やヒンズー教のジャンムーからの移民がカルギルに定住するようになった。

ギャラリー

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カルギルの地元の女の子

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浮かれ女

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スル渓谷の眺め

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カルギル市街のパノラマ

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ラダック地域の生命線、ゾジ・ラ

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ポイエンビレッジ

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山の夕暮れ

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冬のカルギル

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カルギルのクンとヌン山系。

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プルネ村のチョルテン(仏塔)群。チベット仏教では、これらの仏塔を構成する要素やその色には、それぞれ象徴的な意味がある。

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カルギルの農地は、山の下と流れる小川の上にまたがっている。



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