ケイト・グリーナウェイ・メダルとは:英国児童文学イラスト賞の歴史と受賞者
英国児童文学の名誉あるイラスト賞「ケイト・グリーナウェイ・メダル」の歴史と受賞者を分かりやすく紹介。受賞作品と逸話を網羅。
ケイト・グリーナウェイ・メダルは、1955年に英国で創設された賞です。児童文学作家のケイト・グリーナウェイの名前にちなんで名づけられ、児童書における優れたイラストレーション作品を年間で最も高く評価することを目的としています。賞はCILIP(Chartered Institute of Library and Information Professionals)によって運営・授与され、同機関が刊行する選考基準に基づいて審査されます。
第1回は1956年、エドワード・アルディゾーネの『ティム・オール・アローン』が受賞しました。受賞者には金メダルと500ポンド相当の本(book token相当)が贈られ、受賞者が希望する図書館に寄贈される仕組みになっています。このような副賞は、受賞作が公共図書館や児童教育の現場でより広く読まれることを促す役割も果たしてきました。
選考方法と基準
選考はCILIPが任命する専門の審査員(主に児童図書館司書や児童書に精通した専門家)によって行われます。主な選考基準は以下の通りです:
- イラストレーションの独創性と芸術性
- 絵と言葉(テキスト)との相互作用や、物語の補完性
- 対象年齢の読者に対する適切さと表現の効果
- 出版(英国での初版または英国での刊行)が選考対象となる点
通常、年ごとにショートリストが発表され、その中から最終受賞作が決定されます。対象は絵本だけでなく、児童向け図像表現の優れた作品全般が含まれます。
賞の意義と歴史的影響
ケイト・グリーナウェイ・メダルは、イラストレーターの創造性と児童文学におけるビジュアル表現の重要性を広く認知させてきました。受賞作は書店や図書館での注目度が高まり、作家・画家の国際的評価にもつながることが多いです。また、同じCILIPが運営するカーネギー賞(Carnegie Medal、文章部門)と並んで、英国における児童文学の最も権威ある賞の一つとされています。
賞金とコリン・ミアーズ賞
伝統的に受賞者には金メダルと書籍相当の副賞が贈られてきました。2000年以降、ケイト・グリーナウェイ・メダルの受賞者にはコリン・ミアーズ賞(Colin Mears Award)としてさらに5000ポンドが贈られることになり、受賞作の普及や著者・画家の支援に充てられています。
最近の動向
近年は、伝統的な水彩や線描だけでなく、デジタル技術やコラージュなど多様な表現方法が受賞対象に含まれるようになり、児童書イラストレーションの領域が広がっているのが特徴です。多様なバックグラウンドを持つイラストレーターが評価される傾向も強まり、国際的な影響も増しています。
参考と関連
ケイト・グリーナウェイ・メダルは、児童文学におけるイラストの価値を示す長い伝統を持つ賞であり、図書館や教育現場、出版界において今も重要な指標となっています。受賞作やショートリストは、児童書選びや教育教材の参考として広く利用されています。
受賞者一覧
- 2007年 ミニグレイ『お皿とスプーンの冒険
- 2005年 エミリー・グラベット(ウルブズ
- 2004年 クリス・リデル、ジョナサン・スウィフトの "ガリバー"
- 2003年 シャーリー・ヒューズ『エラのビッグ・チャンス』(原題:Ella's Big Chance
- 2002年 ボブ・グラハム、ジェスロ・バーデ、フェアリー・チャイルド
- 2001年 クリス・リデル 海賊版ダイアリー
- 2000年 ローレン・チャイルド「I Will Not Ever Never Eat a Tomato
- 1999年 ヘレン・オクセンベリー『不思議の国のアリス』(原題:Alice's Adventures in Wonderland
- 1998年 ヘレン・クーパー かぼちゃのスープ
- 1997年 P・J・リンチ 「ジェシーが海を渡ってきたとき」(原題:When Jessie Came Across the Sea
- 1996年 ヘレン・クーパー『The Baby Who Wouldn't Go To Bed
- 1995年 P・J・リンチ『ジョナサン・トゥーミのクリスマスの奇跡
- 1994年 グレゴリー・ロジャーズ『ウェイ・ホーム
- 1993年 アラン・リー「トロイ以前の黒船
- 1992年 アンソニー・ブラウン(動物園
- 1991年 ジャネット・アールバーグ『陽気なクリスマスの郵便配達人』(原題:The Jolly Christmas Postman
- 1990年 ゲイリー・ブライス『クジラの歌』(原題:The Whales' Song
- 1989年 マイケル・フォアマン『ウォー・ボーイ:ある田舎の子供時代
- 1988年 バーバラ・ファース『Can't You Sleep Little Bear?
- 1987年 アドリアン・ケナウェイ、クラフティ・カメレオン
- 1986年 フィオナ・フレンチ『スノーホワイト・イン・ニューヨーク
- 1985年 ファン・ウィングハルト「ガウェイン卿と憎むべき女」。
- 1984年 エロール・ル・カイン『ハイアワサの幼年時代
- 1983年 アンソニー・ブラウン(ゴリラ
- 1982年 マイケル・フォアマン 「長い首と雷の足」「眠れる森の美女」他、お気に入りの童話集
- 1981年 チャールズ・キーピング『ハイウェイマン
- 1980年 クエンティン・ブレイク、マグノリア氏
- 1979年 ヤン・ピエンコウスキー『お化け屋敷
- 1978年 ジャネット・アールバーグ それぞれの桃・梨・プラム
- 1977年 シャーリー・ヒューズ、ドガー
- 1976年 ゲイル・E・ヘイリー『郵便局の猫』(原題:The Post Office Cat
- 1975年 ビクター・アンブルス「戦いの馬とミシカ
- 1974年 パット・ハッチンズ『風が吹いた』(原題:The Wind Blew
- 1973年 レイモンド・ブリッグス(ファーザー・クリスマス
- 1972年 クリスティナ・トゥルスカ『木こりのアヒル』(原題:The Woodcutter's Duck
- 1971年 ヤン・ピエンコウスキー『海底の王国
- 1970年 ジョン・バーニンガム「ミスター・ガンピーのおでかけ
- 1969年 ヘレン・オクセンベリー 『クアングルワングルの帽子』『ある平凡な家族のドラゴン
- 1968年 ポーリーン・ベインズ「騎士道辞典
- 1967年 チャールズ・キーピング『シャーリー、シャーロットと金のカナリア』(原題:Charley, Charlotte and the Golden Canary
- 1966年 レイモンド・ブリッグス「マザーグース・トレジャリー
- 1965年 ビクター・アンブルス『三人の貧しい仕立て屋』(原題:The Three Poor Tailors
- 1964年 C・ウォルター・ホッジス、シェイクスピア・シアター
- 1963年 ジョン・バーニンガム『ボルカ』。羽のないガチョウの冒険
- 1962年 ブライアン・ワイルドスミス(A.B.C.
- 1961年 アントニー・メイトランド『コックリさん』の猫
- 1960年 ジェラルド・ローズ「ウィンクル爺さんとカモメたち
- 1959年 ウィリアム・ストッブス「カシュタンカとバラードの束
- 1958年、いい本がなくて保留になった賞
- 1957年 V・H・ドラモンド「イースター夫人とコウノトリたち
- 1956年 エドワード・アルディゾーネ、ティム・オール・アローン
- 1955年、いい本がなくて保留になった賞
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