聖パトリック騎士団(正式名称は最も輝かしい聖パトリック勲章)は、アイルランドに関わる功績を顕彰するために設けられた英国の騎士団である。1783年にジョージ3世によって創設され、イングランドのガーター勲章、スコットランドのシッスル勲章に相当するアイルランド版として構想された。その名称と性格は、国の守護聖人である聖パトリックと、独自のアイルランド的象徴性に基づいている。
成立の背景と目的
この勲章は18世紀後半、英国王室がアイルランドの貴族層や高官との結びつきをより強めようとしていた時期に設立された。通常は、王権を支持するアイルランドの貴族、上級政治家、裁判官、軍の指導者に授与された。授与式や任命は、君主制とアイルランドのエリート層との関係を強め、名誉的な役割と政治的な役割の双方を果たした。
記章と儀式
会員は、正式の場で特定の記章を着用した。この勲章は、淡い青、すなわち「セント・パトリック・ブルー」と結び付けられ、伝統的な装束には星章、バッジ、叙任式で用いるマントが含まれていた。叙任式はしばしばダブリンの聖パトリック大聖堂で行われ、アイルランドの守護聖人と島の教会史的な遺産との結びつきを強調した。
会員、著名人物、衰退
任命は君主によって行われ、君主が勲章の首長を務めた。受章者には、上級軍人やアイルランド貴族の構成員が含まれた。たとえば、アイルランド生まれの英国軍人ハーバート・キッチナーも、この栄誉を受けた人物の一人である。20世紀初頭のアイルランドにおける大きな政治的変化、とりわけアイルランド自由国の成立後は、任命数が大きく減少した。現在では英国の叙勲制度の中で実質的に休止状態にあり、通常の新設は行われていない。
遺産と特徴
活動は停止しているものの、聖パトリック勲章は英国の騎士団制度の歴史的枠組みの一部として残り、しばしばガーター勲章やシッスル勲章と並べて語られる。その儀礼的装いと聖パトリックとの結びつきは、長く文化的な印象を残してきた。「セント・パトリック・ブルー」や勲章の意匠は、歴史展示や紋章学の中に今も見られる。この勲章は、名誉が歴史的に地域のエリート層を王室に結び付ける手段として用いられていたことを示している。
要約
- 1783年、ジョージ3世によって創設されたアイルランド向けの騎士団。
- 古い英国の勲章を手本とし、聖パトリックとアイルランドの象徴性に結び付けられた。
- かつてはアイルランドの貴族、高官、軍指導者に授与されたが、現在は実質的に休止状態。